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本の感想

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2019年7月の記事一覧

『悪いものが、来ませんように』芦沢央 角川文庫

 不妊と夫の浮気に悩む紗英。彼女のよりどころは幼い頃から一番近くにいた奈津子だったが、彼女も自分の居場所を見つけられず、紗英を支えに生きていた。
 周囲にも理解を得られないほど密接な関係が、徐々に彼女たちを追い込んでいく。人が理解し合うことの困難さを突きつける心理サスペンス。

 なんというか、グロテスクな作品。後味や読み味を意図的に悪くするイヤミスと呼ばれるものとは違うと思うが、とにかく終始ザラ

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『木洩れ日に泳ぐ魚』恩田陸 文春文庫

 引越しの準備の終わったアパートの一室。別れを目前にした男女。夜が明けたら別々の道を進む2人が過ごす最後の夜。彼らはお互いに相手に対して確かめなければならないことがあった。朝の光と共にもたらされる真実い向け、相手の一挙手一投足、一言一言に神経を張り巡らす濃密な心理戦を繰り広げる。

 とてつもない緊迫感のある即興劇のようだった。
 冒頭、お互いが引き出そうとしているのが、ある人物についての死の真相

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『ずっとあなたが好きでした』歌野晶午 文春文庫

 オムニバス形式の恋愛短編集。アルバイト先の女子高生との淡い恋が語られたかと思えば、集団自殺を企てる初老の男の話になり、続いてはまた転校生に心をときめかす小学生の姿を描き出し……と、コンセプトも方向性も分からないままに次々と繰り出される恋愛模様は、最後にどんな姿を現すのか。

 この作品は歌野晶午という書き手について知っているか知らないかで薦め方が全く変わる。
 もし知っているなら、大丈夫、信じて

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『いとみち』越谷オサム 新潮文庫

 相馬いとは青森の高校に通う16歳。祖母譲りの津軽弁と内気な性格のために、クラスメイトに挨拶をするのも苦手な内気な少女。そんな彼女が思い切って始めたアルバイトはメイドカフェ。バイトはドジばかりだし、友達もなかなかできないし、三味線を弾かせたがる祖母ともギクシャクしていて、どうにも上手く行かない毎日だけど、ほんの少しずつでも、たった一歩だけでも前に進むために頑張るいとの青春奮闘物語。

 メイド、ロ

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『さよならよ、こんにちわ』円居挽 星海社FICTIONS

奈良を舞台にした作品であまれた同人誌『NR』に寄せられたものを含む短編集。
奈良盆地にある越天学園に通う、本陣達也は母親の死の原因となった学園を経営する御堂一族に復讐するために生きている。学園関係者の弱みを握り、情報を集める達也。
ただ冷静に冷酷に事を進めているかに見える達也だったが、彼の周りには信頼できる仲間たちが集まっていた。

円居挽といえば『丸太町ルヴォワール』で知られるミステリ作家だが、

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