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【読書感想】この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。(著 夕雪*)

2021/03/10 作成

はお。

いつも何かとお世話になってる夕雪*さんの書かれた本を読みました。ネタバレ にもなるのでまだ読んでない方は読んでから、ぜひ感想でも語り合いましょう笑

今回の書籍

主人公の子、可愛いですよね。ジャケ買いしましょう!

  この胸いっぱいの好きを、
        永遠に忘れないから。

このタイトル見てどう思います? 心当たりのある方もいるのではないでしょうか。

夕雪*先生のnote



*** ここより注意 ***



はじめに

方針として著者の世界観は重視せず、自分なりに感じたことを思いのまま綴っています。世界観が合う合わないは伝えたいことにも直結する事と思います。
合えば伝わり、合わなければ上手くその人には伝える事ができなかった。ただ、それだけの事。
伝えきれなかったとしても作品である以上は良し悪しは表れます。想定から外れていたとしても、一概に「この人の解釈はおかしい」と思わず、「そう捉える人もいるのか」と思っていただければ幸いです。(言い訳)
稚拙な文章ですがお付き合いください。

感想はじめ

泣きました。
久しぶりです、この終わり方。

恋愛ものが好きな人はすぐに受け入れられると思いますし、展開の予測もつきやすいと思います。

良く言えば、心が込められている。
悪く言えば、よくある話にオリジナリティを加えた感じ。

話の切り分けがしっかりされててとても読みやすかったです。いろいろなものが混ざり合ってなく、ちゃんとフォーカスを当てるところに当て、メインとなる部分は主張するわけでもなく自然に入り込んでいるところに好感が持てます。

その分、読み進めていく上で、感情の変化も落とされるような感覚になりましたが。

イチョウとヒサ

全体を通してイチョウとヒサの印象がとても強く残っています。読み進んでいくたびに、イチョウにはいろんな記憶が詰められていって、イチョウのことを考えると、あんなことがあったなと振り変えれるのがとても心地よいです。

イチョウがあったからこそ思い出を入れておく場所があって、話をつなげやすかったのかなと思いました。

このイチョウ大好き。

ヒサと優也

ヒサも優也もお互いに最初から好きだったのではないかと思っています。

出会い方はかなり印象的でした。『ごめんね』の一言も大きい。

好きだと思う理由に、序盤、あの性格で女の子に指輪をはめてあげて好きでなかったら最低だと思うんです。でも、どちらかと言うと、優也が元カノをヒサに重ね合わせているようにも思えますが、やっぱり印象から委ねたかったのかなとも受け取れました。

ヒサのほうは最初からわかりやすかったです。それでいて、好きになっていいか自問自答しているところがまた良かった。くすぐりますね。

この本のテーマであると思われる、最初の言葉「健忘症」。コレは来たなって思いました。タイミングも表現の仕方もうまいです。褒めていいところかわかりませんが、物忘れになっていく人はよく言います。〈実際にぼくも薬の副作用で一時ひどい健忘になり(まだ後遺症で残ってる感じ)〉、本人には理解できてないんです。とてもリアルと感じました。それでいてさみしさもありました。

2回目も絶妙。読み手が忘れたことを忘れないうちに出してきて、あの反応は確定。
でも、病気に詳しくない人にはちょっとわかりにくいかもしれません。ちゃんとした原因が出てくるのが後半なので。

ヒサも気付いてない様子でしたし。

病気のことを知っているとこれからの展開が気になり、知らないと後であの時の、となるのかな。

中盤、猫の話が中心で進んでいますがイチョウの印象もあってか、特に違和感なく読み進められました。読んでて猫の知らないことばっかりで感心しながら読みました。ちょっと説明口調が前に出てましたけど、そこは無知のヒサでカバーできてたと思います。
普通に物語に溶け込んでてわかりやすく思いましたし、猫の運命が過酷なこともわかりました。あの部分だけのマンガがあるといいですね。言葉よりも知ってもらえそうです。

ペットを飼っている人なら絶対的な責任を負うことをわかってるので受け入れやすいですが、飼ったことのない人はどう感じるのか個人的に知りたいところです。

あとは、ヒサの行動力がとにかくすごい。物語の進行役としてもつまずくこともなく思い思い進めていかれ、後先考えずに感情で動くタイプなのかなーとか思いながら楽しく。

その行動力

特に学園祭のところは間違いなくよかったです。憧れですよね。ここで生徒会、先生、生徒の溝が無くなっていったのもみどころだと思います。
自分の時の学園祭を思い出しちゃいますよね、あそこまでではないですが。

周りの友達も羨ましいくらいに可愛さがありました。いいな。

奈落

ここからでした。気分が落ちていく感覚。アルツハイマー、ほんとに残酷です。それを知っててもなお思い続けるヒサの悲壮感が伝わってきます。
あとはもう流されるまま。

ヒサの志は立派でした。締めがとてもいいです。ハッピーエンドなのかどうかもやもやする部分がありますが問題にはならないでしょう。

その後のヒサと優也のことは読者が自分なりに解釈する場としていいと思います。

2021年に読ませてもらって、この年はアルツハイマー病の薬の年と言われるくらい、たくさん出る年でもあるので、もしかしたら? も想像できるのがうれしいです。

自分の父もアルツハイマー型認知症のため変わっていく姿は想像できます。泣きたくなります。顔を合わせた時の "間" はとても苦しいです。

うーん、最初と最後、指輪はどうやってつけたんだろう、そんな疑問は残ってます。あとチョコボール。

恋愛ものは好きなので楽しく悲しく読ませていただきました。
意外と横書きでも読めるものですね笑

長さ的にはちょうど良かったと思いますが、長編も期待しています。

気になった点

気になったところとしては「……」が多いというところでしょうか。この部分の感情表現は周りの雰囲気で表現してほしかったです。
感情を表すには便利ですが多用しすぎると句読点と変わらなくなってしまい、ここぞというに薄くなってしまいます。
沈黙とかは難しいと思いますが。

話が飛んでいるところも見受けられたので、少し読み返しが必要になるところもありました。こういう風に書きたいのだなというのは伝わってくるのですが汗

猫ちゃんの説明が詳しすぎます。それはそれでいいのですが、ちょっと学術寄りになりすぎてる感があって、例えばTNRとはこういうことだよ程度でいいのかなと思いました。どうしても説明口調になってしまいがちなので感情が乗りづらくなるのかなと。とくに猫おばさんの口から出てくるとなんだか汗

アルツハイマーの説明が少し煩雑かもと思いました。
本来、アルツハイマー病と認知症は別のもので、二次障害的に認知症が発症することがほとんどですが、近年、どっちも同じようなもんで、どうせ認知症を引き起こすんだからくっつけちゃえってことになって呼び方がアルツハイマー型認知症になってます。
若年性の方は、これも呼び名がばらばらですが、ICDなどを参考に若年性アルツハイマー病が適しているのかなと思いました。
医者でもなんでもないので間違ってるとは言えませんが、知らない人からすると若年性?アルツハイマー?認知症?違いって何?ってなると思うくらい複雑だと思うので。
せめて統一感があったほうがいいと思います。

アルツハイマーを目の当たりにしたところは泣かされます。涙出ますね汗

知っている人にも知らない人にも上手く伝わるいい感じのところが見つけ出せればもっと感情移入できるのかなと感じます。


気になるところは知ってる知らないで差が出ると思うので書かせていただきましたが、内容はとても好きなものです。


えーっと、サインください! 夕雪*先生。


(感想文てこのくらいの長さでいいのかしら)

この本を読んで

自分でもいろいろと考えるようになり、視野が広がりました。

命の大切さはもちろんのこと、もっと見ていかなければいけない事があることを教えてくれます。

精神的にも成長できたと自認する事ができました。

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遊月 ゆうづき
悉く書を信ずれば則ち書無きに如かず