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#オリジナル連載小説
復讐の女神ネフィアル 第1作目『ネフィアルの微笑』 第1話
マガジンにまとめてあります。
暗い灰色ばかりが視界に入る街がある。ジェナーシア共和国の中部に位置する、大きな河川沿いの街だ。
河川には様々な舟が行き交い、人々や物を流れに乗せて運ぶ。大抵は商用だが、単なる楽しみのために旅する者も少ないが全くいないわけではない。
街の名は《暗灰色の町ベイルン》。見た目そのままだ。街の建造物や河に掛かる橋、道の全ての石畳も、暗い灰色だけの街であった。
復讐の女神ネフィアル第7作目『聖なる神殿の闇の魔の奥』 第39話
マガジンにまとめてあります。
「あなたは随分と遠慮のないことを言うのね」
「それは失礼いたしました。性分なもので」
そうでなければネフィアル神官など堂々とやっていられるわけはない。
現状のジェナーシアに、ジュリアン神殿のやり方に、不満があるのだとしても他にもやり方はある。
ジュリアの元に馳せ参じるか、でなければクレア子爵令嬢のようにまともで民を思う心を持つ貴族に仕えるか。そのような
復讐の女神ネフィアル【裁きには代償が必要だ】第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第15話
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もはや どれだけ言っても従者は頑なな心を変えず令嬢を連れて逃げ去ることもしないであろう。そうと察したのでアルトゥールは、もうそれ以上言わなかった。
無意識のうちに抑え込んできた冷ややかな闘志が、体の中に、そして精神にも湧き上がる。神官は通常は鋭利な刃物を使わないものだが、その時の意識は従者が持つ剣よりも、なお鋭く研ぎ澄まされていた。
ラモーナの悲鳴が聞こえ
復讐の女神ネフィアル【裁きには代償が必要だ】第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第14話
マガジンにまとめてあります。
従者は、彼はおそらく馬車の御者をしてここに来たのだろう。そう察せられるが、その忠実な男の目には怒りが燃えていた。
従者が持つ剣は刃が短く、従者自身の二の腕の長さほどしかないが、剣先は極めて鋭く、優れた腕の鍛冶屋の鋳造によるものと見て取れた。それだけのことを瞬時に、アルトゥールは見て取った。
まっすぐに自分の方へ向かってくる剣先を弾こうとして、メイスを横に払
復讐の女神ネフィアル 第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第5話
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足音は大きくはない。あたりの静けさを引き立てるように、微かに響く。
この広間は客間のようで、来客を迎えるための設えが整えられてるようだった。かつては。今はほこりが積り、花瓶に飾られていた花々も枯れて、貧相な様子を見せていた。
そんな中に、開け放たれた扉の向こうから彼は来た。
「これはこれは」
まるで道端で偶然に知り合いに出会ったかのように、その壮年
復讐の女神ネフィアル 第3作目 『美女トリアンテの肖像』 第2話
次の日には、すでに二人で森の奥へと進んで行った。恐るべき魔女ルードラの住む土地へ。村人たちは、香草で香付けした干し肉や、滋養のある果物の干した物を布袋に詰めて、数日保つだけの量をくれた。
アルトゥールもジュリアも、礼を言ってその場を去った。二人とも必要なだけの食物は神技を使えば出せる。それでも断る理由は無いし、一日に使える神技には、この二人ほどの高位の神官と言えど限界もある。
こんな森の