![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159118478/rectangle_large_type_2_ebc4279259dffc592461d2ebb859bfad.png?width=1200)
Photo by
bright_eel176
『しらふで生きる』を読む
もともと、新聞で、禁酒成功!との見出しの広告が目に付き、本書の存在を知った。暴飲がちの俳人、中山奈々さんの肝臓を心配し誕生日プレゼントに贈ろうかと購入。しかし内容が極めて特殊で誕プレ向きじゃねー、と即断し今も家の本棚にあるのです。
作者の町田康さんは若いときは町田町蔵という名でパックロックをやっており強烈な無法者イメージが僕の中で育まれてたが、そんな人が酒を断てるのだろうか、という懐疑がやはり念頭にあった。しかし作家として、「くっすん大黒」から着実に作品を書き続けておられ、読売ウイークリーの連載やホームページの日記などもデビュー当時から数年追い続けていたが、どう考えても生真面目で、ちゃんと仕事する人だった。
冒頭、大伴旅人の酒を讃(ほ)むる歌から入り、「人生は酒じゃ」「酒より楽しいこと、なんかあるー?」という挑発から入りドラマチックだが、だんだん、強力な自制心を発動し、酒の誘いは強烈な方針転換精神で断り、酒の場にも強烈な方針転換精神で行かないように習慣づけ、と強烈なニーチェばりの意志で酒を断った経緯が論理的に語られ、読後「余人には真似できねー」と溜め息をつくしかなかった。町田康の、作家として、だけでなく人間としての凄さを知りたい人にはお勧めの一冊である。