【エッセイ】あの夏の日、名画座で僕の手は
高校2年の夏休み。
男子校で彼女も作れずに暇を持て余していた僕は、中学からの腐れ縁である同級生のKに誘われて、街のはずれにあるちっぽけな名画座に映画を観に行った。
Kは、気が良くて友達が多いやつだったけど、僕と特別に気が合ったのか、休みになるとしょっちゅう遊びに誘ってきた。
観た映画は、もうタイトルさえ忘れてしまったけれど、当時流行っていた死者が蘇る系のイタリアかどこかのB級ホラーだった。
ガラガラの映画館の真ん中に陣取った僕らは、楽しそうにイチャイチャしているカップル