Taka san

ベトナムで割烹料理店を営んでおります。古き良き昔話を少しずつシェアしていきますね。

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最近の記事

板前の常識は世間の非常識 華道編

板前の常識は世間の非常識 華道論 華道って聞くとどんなイメージ持たれますか? 何となく大和撫子っぽい女性が生けてるイメージ? ただ、華道の世界は今も昔も男性社会なんだそうですよ。 僕が華道を始めたのは20歳の時。 華道と同時に茶道も始めたんだけど、それはまた今度話しますね。 さて、何故華道を始めたかって云うと、兄貴が習っていたからです。 兄貴は「小原流」をならっていた為、僕も真似して何も分からずに近所の新小岩にある「小原流生け花教室」に通う事にした。 僕の先生は「中村一

    • 板前の常識は世間の非常識 挨拶編

      板前の常識は世間の非常識 番外編 板前の挨拶 皆さんは知り合いのシェフの店に行く時に何て言って予約しますか? 何日何時から何名で。。。etc これとこれは抜いて下さい。。。。etc 何何が食べれるの楽しみにしてますね! etc はい、フツーの人ですね。笑 板前さんはこういいます。 「冷蔵庫掃除に行かせて頂いてよろしいですか?」 勿論結構近い関係、例えば修業先が同じとか、そういう人に対してはこう言います。 いきなり初めての店では言いません(笑) 全く意味分からないで

      • 板前の常識は世間の非常識 だし汁編

        板前の常識は世間の非常識 さて、日本料理は出汁が命! ってよく言いますよね? そうなんです、出汁が美味しければ本当に仕事が楽なんです。 出汁が薄かったり、濁ってたりするから、余計な調味料やら化学の力に頼る事になるんです。 吸物も出汁が美味しければそのままでも美味しい、塩だけで充分。 下手したら塩も要らない。 余計な物は一切いらない。 自分で鰹節を削って出汁を取った事のある人なら、引き立ての風味と美味しさが素晴らしいのが分かるはず。 僕は小学校に上がるまで、お婆ちゃんが削っ

        • 板前の常識は世間の非常識 続暴力編

          調理場内の指導的暴力について考える。続編 以前、僕は基本的に「今は」暴力に反対と以前書きました。 ただ、まるっきり殴らず指導しない訳ではない。 特例が2つあると考えてます。 先ず1つ目。 調理場は危ない物が沢山あります。 包丁、揚油、熱いお湯、すりこぎ…あげたらキリがない。 これで遊んでる若い子や、包丁扱ってる時に視界を遮って物を渡すアホや、揚げ物揚げてる横で水バシャバシャするアンポンタンや、 焼き上がりそうな焼き物焼いてる後ろを無言で通るバカなどだ。 要は気遣いがない

          板前の常識は世間の非常識 暴力編

          板前の常識は世間の非常識。 叱咤激励と暴力編 板前の世界には指導と称したイジメや暴力が日常的に有ります。 酷い人は包丁投げて来る…(;^_^A 殺す気か!この変態って思う。 原因 先ず親方1番。 親方の言う事は黒くても白、これ常識。 だから、それに添えない人は先輩から正義の名の下に鉄拳制裁。 だから先輩には罪悪感が存在しない。 むしろ正しい事やってると信じてる。 料理は2番 見本を作ってもらい、その通りに出来ないと怒鳴り殴る。 もう1ミリ2ミリのズレも駄目。 まだある

          板前の常識は世間の非常識 暴力編

          板前の常識は世間の非常識 バトルロワイヤル編

          板前の常識は世間の非常識。 三つ巴のバトルロイヤルin初島編 文句を言いながらも白衣を着て調理場に入ると、先ず 「うわっ、汚い調理場だな!」 が第一印象。 冷蔵庫は整理してないし、下には何かの汁が垂れてるし… 「えっ?冷凍イカソーメン?」 「生で食べて大丈夫なの?」 え?既製品ばっかり? どっかのダイニングなの? なんでみんな挨拶出来ないの? なんで睨んでくるの? ヤンキーなの? 書いたらキリがないくらいの事が沢山飛び込んできた… それもそのはず、初島には今までいた

          板前の常識は世間の非常識 バトルロワイヤル編

          板前の常識は世間の非常識 包丁編

          板前の常識は世間の非常識 包丁編 板前以外の皆さんは、板前がどの位包丁持ってるか想像つきますか? 刺身を引く柳刃、魚を卸す出刃、野菜を切る薄刃。。。 こんな感じでしょうか? 正解は、もっともっと多いです。 僕に置き換えます。 薄刃1本 柳刃6本 河豚引き1本 鰻割き1本 鱧切り1本 鶏割き1本 出刃4本 洋包丁3本 もうちょっとあるかな。 全部でたしか30本だと思う。 およそ普通の人には何が何だか分からないし、どうしてそんなに必要なんだろう??ってとこだと思います。

          板前の常識は世間の非常識 包丁編

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          板前の常識は世間の非常識 揚げ場編 揚げ場編 日本料理屋の揚げ物っていうとどんな物想像します? 湯葉がくっ付いてたり、カラフルな道明寺粉が付いてたり... そうそう、そんな感じ。 しかし僕のいた店はあんまりそういう仕事はしなかったんです。 全くしない訳ではなかったけれどね。 どちらかと言うと天ぷら屋の様な揚げ物が多かった。 まあ天ぷらカウンターがあったから、材料も流用出来るし、カウンターで高級食材を揃えていたからコース料理に組み込み易かったんだろうなあと今は考えます。

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          板前の常識は世間の非常識 4年目、初島移動編 忙しく働いているある日、先輩が「店閉まるってよ」と話していた。 早じまい?って思ったら、本当に閉店の事だった。 その後、先輩から親方が会員制のホテルにヘットハントされて、熱海の沖の島に行くらしいから付いて行くか考えろ。って言われた。 1人ずつ親方に呼ばれて意思決定を話しあっていた。 先輩は「何だよ、都落ちみてーで嫌だ。辞める」 (いやいや地方の人に失礼でしょ) 「東京以外じゃ日本料理教われない」 (あんた京都や大阪の人も同

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          板前の常識は世間の非常識 3年目 焼き場編 僕が初めて「しん」と呼ばれる1軍のポジションに付いたのは3年目でした。 「芯」と言うのは責任者の事。 煮方の責任者だったら煮方の「芯」をはる。って言ったりするね。 この頃になるとすっかり洗脳がされて板前っぽくなりはじめる。 笑 それなりに後輩が出来て、偉そうな事言い始めたりする。 これを先輩は「板前を語る」って良く言ってた。 態度が悪い後輩を引っぱたいたり、説教したりして、板前とはどんな職業かを説いたりするんだな。 自分だってま

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          板前の常識は世間の非常識 続2年目編 僕のいた店には天ぷらカウンターがありました。 靴を脱いで寛げる高級なお座敷タイプのカウンターです。 揚げ手は勿論親方。 僕たち脇脇の小僧達にとって、数少ない親方と一緒に仕事が出来る場所でした。 親方は天ぷら山の上のに教わりに行ったそうで、やり方はそちらを踏襲していました。 余談ですが、僕がエクシブ山中湖でやっていた天ぷらはここがベースです。 なので、「君は山の上で修行したの?」とお客様から何度も聞かれてました。 仕事って面白いですね。

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          板前の常識は世間の非常識 「2年目編」 2年目に入ると調理場の事も少しずつ見える様になって来て、あの人とこの人はどうだとか、料理の流れとか板前の非常識にだんだん染まり始めてくる。 賄いの事を書かなかったが、準備は勿論見習いの僕たちの仕事。 利休箸よろしく親方の箸は一寸水に漬けておき口当たりを良くする。 もっともこれは自分がお茶を習っていたからで、他の人間はやっていなかった。 一番後に食べ始めて、一番早く食べ終わり、先輩のご飯のおかわりやお茶のおかわりを聞いて回る。 冷たい

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          板前の常識は世間の非常識 僕のいた店は親方の着替えや身の回りのお世話を手伝うのが、坊主と呼ばれる僕たち見習いの仕事でした。 もう、「仕事しなくていいから親父だけ見とけ」って毎日言われました。 親方は車で通っていましたから、毎日9時10分前に駐車場でお出迎えして、荷物とジャケットを持って、車ドアの開け閉めをした後、料理長室まで先を歩いてドアを開ける。 親方が料理長室に来られたら、服を脱がせてハンガーにかけて、床に付かない様にズボンを脱がせて、折り目をピシッとさせてハンガー

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