板前の常識は世間の非常識
板前の常識は世間の非常識
4年目、初島移動編
忙しく働いているある日、先輩が「店閉まるってよ」と話していた。
早じまい?って思ったら、本当に閉店の事だった。
その後、先輩から親方が会員制のホテルにヘットハントされて、熱海の沖の島に行くらしいから付いて行くか考えろ。って言われた。
1人ずつ親方に呼ばれて意思決定を話しあっていた。
先輩は「何だよ、都落ちみてーで嫌だ。辞める」
(いやいや地方の人に失礼でしょ)
「東京以外じゃ日本料理教われない」
(あんた京都や大阪の人も同じ事言ってるよたぶん。。)
「行かねー方が良いよ。温泉場のホテルだろ?腕が落ちる」
(あんた温泉場の人に失礼だろ!)
色々な意見を聞かされた。
今思うと、全く持って視野の狭い人たちですよね。
でも分からなくも無いの、そうやって教わるから。
昔「味いちもんめ」って板前漫画があったけど、その中の台詞で
「一般に板前をランク付けすると、
1番は料亭で働いている人、2番は料理屋、ホテルや温泉宿は腕が落ちる」ってな事が書いてあったと記憶してる。
だから、平気でこういう事、いや真剣にこういう事言うの。
ようやく自分の番が回ってきて親方の部屋に行くと、
「高浩、いついつから熱海行くから段取りしとけ」
「はい!分かりました」
その間約2秒。
最速の決定…
話し合いじゃないよね…もう強制。
まあ元々、1つの店で煮方教わるまでは辞めるつもりも当時は無かったし、何となく面白そうだったからね。
でも、世帯のある先輩やどうしても東京が良いって言う先輩、単純に親方が嫌いな先輩等は付いてこずに辞めた。
淋しかったけどしょうがないよね。
最終的に2番手の兄貴以下総勢12名だったかな?で熱海の沖10キロの島
初島にある、初島クラブに行く事になった!
2000年10月の事である。
この初島クラブってホテルはもともとニューオータニが運営していた。
バブルの時に何百億もかけて作られた非常に贅沢なホテル。
何にも無い島に下水設備整えたり、機材運び込んだりして、建設の凄さを感じるね。
どんなに破壊をしても、建設の方が上なんだって聞いた事がある。
大震災で瓦礫の山になっも、一生懸命建設して前以上の物に作り上げたり、日本の建設技術ってのは凄い!
「私の初島」だったかな?「愛すべき初島」だったかな?
題名忘れたけど、本も出てる。
安全の為にエレベーターが開くのは早いけど、閉じるのはゆっくりとか、随所に拘りを盛り込んだホテルだそうだ。
でも経営不振で、名古屋に本社のあるリゾートトラストが買い取ったんです。
この会社はご存知会員制ホテル日本最大手、ホテルエクシブを展開する会社。
こちらの会社にその後10年お世話になる事になるとは思っても見なかったが。。笑
かくして初島クラブは名前を「グランドエクシブ初島クラブ」と変えて新生オープンする事となった。
つづく。。