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【授業】知識も学び方も、1回きりでは身につかない

 「この前教えたばかりなのに、なんで覚えてないんだ!(できないんだ!)」と怒る先生がいます。私も教師ですから、気持ちはよーくわかります。一生懸命準備して、わかりやすいように工夫して教えた内容を、簡単に忘れられてしまうのは悲しいものです。でも思い出してみてください。自分が生徒だったころ、一度説明を聞いただけですべてを覚えられたでしょうか。教員として参加した先月の職員会議の内容、すべて頭に入っていますか。

〈私の授業思想〉

 私たちは、1回きりでは何も身につけられません。繰り返し練習して初めて新たな知識や技能を身につけることができます。これは授業でも同じです。一度説明しただけですべて覚えられるはずだ、というのは、教員の傲慢な思い込みです。
 予習・復習をして繰り返し練習すればいい、とおっしゃる先生もいそうですが、生徒も忙しい。9教科すべての予習・復習を、十分繰り返すほどの時間はないでしょう。と言うよりも、ないものと思って授業を組み立てるべきだと考えています。
 傍論ですが、これは生活指導でも同じです。例えばSNSの使い方についての講演会を1回やったからと言って、生徒のSNSの使い方が劇的によくなるとは思えません。一度きりの”イベント”では、効果はすぐに薄れると思っておくべきです。何度も繰り返し同じ内容を伝え続けなくてはなりません。

〈私の工夫〉

 授業内容を確実に身につけさせるため、私は3つの「繰り返し」を取り入れています。第一に「帯活動」、第二に「授業プリント」、第三に「単元構成」です。
 「帯活動」とは、最初の5分で行う復習活動です。と言っても、前時の復習ではありません。地理であれば都道府県名、歴史であれば時代名を、毎回同じスライドを用いて復習します。内容的に不十分に感じるかもしれませんが、「多くのことを教えすぎるな」「教えるべきことは徹底的に教えよ」が教育の原則だと言われます(ホワイトヘッド『教育の目的』)。絞り込んだ内容を徹底的に反復することで、この基礎知識が土台となって他の知識も身につきやすくなると感じています。
 「授業プリント」は毎回必ず同じ形式で作り、特に右端に設けた「メモ欄」を活用する重要性を、毎時間のように伝えています。これは、「よく聞いて情報を取捨選択し、自分に必要なものを記録する」という学び方を身に着けてほしいためです。最初は何も書けなかった生徒も、1年間繰り返すことでたくさんのメモを取れるようになります。
 「単元構成」についてはこの記事だけでは足りないため、別の記事としてまとめようと思います。

〈まとめ〉

 1回しか教えていないことを、生徒が身につけられると思ってはいけません。知識も学び方も、1回では身につきません。だからこそ、大切なこと、絶対に身につけてほしいことは、授業の中でしつこいくらいに繰り返し教える必要があるのではないでしょうか。


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