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日曜暮れ六つ奇話

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サザエさん症候群にやられた人が現実逃避をして眠りにつけるよう、これまで収集・体験した不思議だったり怖い話を詰め込んでおります。 名前の通り、毎週日曜の夕方更新予定。 【主な登場…
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記事一覧

猫盆 ~黒い守護者たちの盆~

猫盆 ~黒い守護者たちの盆~

うちは猫を飼い始めた当初から"自宅守護役"という黒猫を置いている。

置いているというか、最初の一匹に冗談半分でそんな役割を与えたら、何故かそんな風に育って、いつの間にか二代目に引継ぎされていた。

今回は、そんな守護役たちの不思議な話。

浮世も常世も帰省ラッシュの盆早いもので、今年も盆がやってきた。
盆といえば「帰省ラッシュ」である。
生者は故郷に帰り、死者は浮世に帰る。
あの世もこの世もかき

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脳内散歩 ~天狗舞踏オマケ~

脳内散歩 ~天狗舞踏オマケ~

「天狗舞踏」という投稿の中で、「眠る前にする遊び」として
「脳内散歩」の話をしている。

「脳内散歩」「脳内旅行」「脳内観光」「脳内登山」「脳内ツーリング」
呼び方はどれでもいい。

参考までに私が作ったルールを紹介させて頂くので、お暇なあなたは一度試してみるといいかもしれない。

脳内旅行・散歩ゲーム・ルール「脳内●●」というと、妄想や想像とイメージしてしまうだろうが、以下に紹介するルールを遵守

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天狗舞踏

天狗舞踏

「まぶた閉じても、自分のまぶたの裏が見えるでしょう?」

と口にすると、大概の人に「はぁ?」という顔をされる。

「まぶたを閉じる」という行為は、"=目の機能を完全offにする"というものではない。
単純に外界からの視覚情報が遮断されるだけである。

今日は、そんな閉じられたまぶたの裏にある「個人シアター」に映った"面白いもの"の話。

寝る前の遊び ~脳内散歩~一日のうちで最も長くまぶたを閉じ

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犬の恩返しは死ぬまで(後編)

犬の恩返しは死ぬまで(後編)

十数年前、私は一匹のラブラドル・レトリバーと出会った。
犬の摂理に従い、彼女も人より早く亡くなったのだが、その後も私は度々彼女を視かけた。

「犬の恩返しは死ぬまで、猫の恩返しは死んでから」
恩を返し終わった後の彼女には、一体どんな望みがあるのだろう?
今日も彼女は、幽霊にあるまじき輝く笑顔で主に付き従いつつ、私にもアイコンタクトビームを照射する。

これは、そんな"犬が死んでから"の物語。

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犬の恩返しは死ぬまで(前編)

犬の恩返しは死ぬまで(前編)

「犬の恩返しは死ぬまで、猫の恩返しは死んでから」

根拠も出典も知らないが、私のダンナさんはよくこの言葉を口にする。
以前、死んでからの猫の恩返し的な話を書いたが、犬はどうなのだろう?
今日は、そんな"犬が死んでから"の物語。

※猫の恩返しは以下からどうぞ。

犬の怪・イレギュラー私は動物好きだが、別に直接動物を扱う仕事をしているわけではない。
確かに動物の絵を描いてお金を頂く時もあるが、ほぼ「

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あなたが視た最も怖いものは?

あなたが視た最も怖いものは?

「あなたが今まで視た中で、最も怖いモノはなんですか?」

長らく「なんか知らんけど、たまに変なモノを視る人」をやっているが、この質問をされるといつも答えに窮する。

もちろん、私が思うところを素直に答えてもいい。
その場合、相手は残念かつ「わけわからんわい」という顔をする。

そう、この質問をする人が期待する答えは、「怖い話のテンプレ霊」
つまり、単純にビジュアルが怖い奴。

しかし、私はビジュア

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白銀の龍を背に乗せて ~雨犬と龍~

白銀の龍を背に乗せて ~雨犬と龍~

「雨男・雨女」という言葉がある。
これは雨によく降られる人間を指す言葉だが、我が家の愛犬・柴子(柴犬・メス・14歳)は、雨女ならぬ「雨犬」だ。

そんな柴子の雨犬理由を今回も妄想パワー全開で考察してみた。

※今回の話は、まだ愛犬が生きていた頃に書いた記事をリライトしたものです。当時の様子をそのままにしたいため過去形にはせずに掲載しています。

■ちょび柴・柴子の雨犬パワー

柴子と散歩に行くと、

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柴犬の龍神参り

柴犬の龍神参り

古今東西、動物の不思議な話、奇怪な話は、心なしか猫にまつわるものが多い気がする。

もちろん、犬の話がないわけではないが、猫の話に比べるとインパクトに欠ける気がする。
そして「しっぺい太郎」のような英雄譚が多い気がする。

世の中が「犬派」「猫派」に分かれる中、「犬猫派」というコウモリ野郎の立ち位置にいる身としても 「これは!」と思うエピソードは、明らかに猫のほうが多い。

……とはいえ、やはり犬

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守護者の条件 ~黒猫・二代目~

守護者の条件 ~黒猫・二代目~

我が家には30年ほど前から「邪払いの黒猫」がいる。

………………

………………

………………

「猫が30年も生きるわけないだろう!」というツッコミありがとう。

確かに最近は猫も長寿化しているが、それでも平均的な寿命は16歳から18歳あたりだ。
実際、我が家の初代・黒猫も、享年18歳である。

だから今日の主役は「邪払いの黒猫・二代目」なのだ。

■家庭内後継問題

黒猫初代が10歳を越え

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花の怪 ~桜奇譚~

花の怪 ~桜奇譚~

昔から、花の咲く木が好きだ。
梅、桃、木蓮、椿、そして桜。

桜は花が咲いても若葉でも、冬の裸木でも好きだ。
付属される毛虫はさておき、枝ぶり、葉、幹の質感、どこを取っても美しい。
好きだから特別なのか、何か繋がりがあるから好きなのかは分からない。分かっているのは
「桜の木にだけ視えるものがある」
ということ。

花の怪20年以上前に住んでいた家の目と鼻の先には神社があった。
ここは数ある白山社の

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猫の恩返しは死んでから ~黒猫・初代奇話~

猫の恩返しは死んでから ~黒猫・初代奇話~

うちのダンナが犬猫を愛でながら、よくこのようなことを言う。

「犬の恩返しは死ぬまで。猫の恩返しは死んでから」

これは、犬は生きている間、主人に付き従いながら恩を返し、猫は生前好き勝手に生き、死後に恩を返しに来る……ということらしい。

犬はさておき、猫は「家につく」「恩を三日で忘れる」などと言われているが……はてさて、本当のところはどうなんだろう?

黒猫、死しても恩を忘れず ~幽霊初代の奇行

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黒い守護者~黒猫・初代~ 

黒い守護者~黒猫・初代~ 

古今東西を問わず、猫を愛し、猫に狂う人々がいる。

ダ・ヴィンチは「猫は神の作った最高傑作である」 という言葉を残し、ピカソやダリも猫を愛した。
我が国でも室生犀星や大佛次郎、果ては宇多天皇までもが猫の下僕となった。

猫の魅力は、時代や場所を違えて人々の心を鷲掴み……いや"猫掴み"にする。
そして、こんなことを言っている私もその肉球と爪に捕らえられた一人だ。

「働いたら負け」とは、猫と貴族とニ

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幻想桜譚 ~春を乞うもの~

幻想桜譚 ~春を乞うもの~

あれよ、あれよという間に2月が過ぎ、気付いたら明日は啓蟄。
なるほど、冷たい風にも一筋の春の香りが混じるわけだ。

この国で春を表す花と言えば「桜」だ。
他にも梅、桃、木蓮、色々あるが、やはり桜が一番いい。

今夜は、そんな春と花の不思議な話。

■立春と花

「それ」がいつから視えるようになったのか、 よく覚えていない。
覚えちゃいないが、桜の木に「不思議なモノ」を見かける。

毎年、立春を過ぎ

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蛇顔の女

蛇顔の女

以前、お師さんがこんな話をしていた。

「その手の才や加護が強い奴は、視える以上に "やったらいかんこと"ができないようになっている」

これをもう少し細かく説明すると、

人外や異界を理解する素養がある、いわゆる「霊感が強い」人間、
あるいは人外の守護者から強力に守られている人間は、「やってはいけない行動」を絶対にとらないし、とれない。

……という摩訶不思議な話だ。

お師さん曰く、下手にアレ

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