6月は梅シロップの季節・2
昨日の記事に引き続き、梅シロップのつくり方。
基本の流れはこう↓です。
洗った後はザルにあげて、一個ずつ丁寧にキッチンペーパーで水気を取ります。特に、ヘタのところはへこんでいるので、ペーパーの先をとがらせて突っ込んで、丁寧に取ります。水気が残っていると、カビてしまうのです。
水気を取ったら、ヘタの部分をきれいにします。
なり口のホシといいまして、枝が取れたところの根元部分が実に残っていることがあるのです(時には2、3ミリくらいの枝がついてることも)。
ここが残ったままだと、それこそアクになって雑味が出てしまう&カビやすくなる為、竹串で丁寧に取り除きます。
つまようじでもいいんですけど、結構力がかかるのですぐに使い物にならなくなってしまう。100円ショップのものでいいので、竹串使った方がラクです。
これが、気持ちよくぽろっと外れる時と、ぼろぼろと崩れてしまう時とある。できるだけ梅に傷をつけたくないので、なるべく本体が傷つかないよう気を使います。
わたしはやりませんが、人によっては梅をフォークで刺したり、冷凍してから漬けたりもするそうで、その場合はそこまで気を使わずガシガシやっていいと思いますが。
この、梅に傷をつけたり凍らせたり、というのは、浸出を早める為だろうと思うのですが、わたしはやりません。
梅シロップについては、わたしは厳密な原理主義者なのです。
優れたシロップという結果を得る為には、きちんと日数をかけるのが正しい。
まあそれもともかくも、別にそんなに急がなくてもいいやと思っているのと、むしろ傷をつけない方が、最終的に出るエキス分が多いし、味も良いと思うのです。
その理由は実体験から。
初回、穴を開けてみたのですが、色が濁り雑味が出て、エキスも完全に出切らず、最終的にふくらみが残ったままの梅だったのです。
そこで2度目は開けずにつくったところ、色も綺麗で風味良く、入れた梅は骨と皮だけのシワシワになった為、以後ずっと穴開けず。
ちなみにサッポロビールが2007年に出した「果実シロップ作製機械」の特許によると、果実を固形の糖に浸けてシロップをつくる際に、果実に傷がつくと雑味が出る為、熟練した人の手でそーっと慎重に混ぜるのが大変、だからそれができる機械をつくりました、だそうで。
この辺りを見ても、やはり表面に傷をつける方法は、味の為には微妙ではないかと思わざるをえません。
こちら↓参照。
また、糖分にはロック氷砂糖を使用します。
これは、溶ける速度が速いからです。
梅酒なんかは長期間漬ければ漬ける程味が熟成していくものですが、シロップはエキスをさっと出す必要がある為、速く溶ける方が良いのです(あまり期間がかかり過ぎると傷んでダメになる)。
こちら↓参照。
お酢には黒酢を使っています。
リンゴ酢使ったり、黒酢もいろんなメーカーのものを使ってみましたが、最終的に一番美味しかったのはミツカンの純玄米黒酢かな。
まろやかでふくよかな味に仕上がるなと思います。
これは好みがあると思うので、いろいろ試してみるのも楽しいかと。
瓶は、熱湯で消毒します。
室温状態の瓶に、直接熱湯を注いでぐるぐるまわして捨てる(やけど注意)。その後完全に乾燥させて室温に冷めるまで置く。
これで割れたことはないですけど、心配なら40度ちょいくらいのお湯で事前に温めておけば、熱湯入れても割れることはないと思われます。
ちょっともったいないですが、シロップに使用するお酢で中を完全に濡らして消毒する手もあります。
また、最近はアルコール消毒液がいろいろ出ておりますから、その中で「食品や食器にも使用できる」ものを使ってみても。
お勧めはドーバー パストリーゼ77です(今は品切れてますが)。
一日一回、振って混ぜて4週間。
これで今まで一度も、発酵させたことはありません。
上手くできると、梅のエキスが完全に出切って、シワシワに縮みます。
台湾の干し梅に「話梅」ってのがあるそうですが、見た目あれに近いレベルまで縮む。
こうなるともう、どう加工しようとも全く美味しくはならないので、もったいないですが捨てることとなります。
このシワシワになるぞ度合も梅によって違って、やはり月向農園さんの梅が一番よくエキスが出るなと思う。お高いだけはあります。
シワシワの梅を取り出し、きちんと密閉できる蓋のついた、消毒済みの入れ物にシロップを移して冷蔵庫にて保管。
長期保管の際は、移す前に鍋に入れて一度煮立てると持ちがいいそうですが、その分風味も落ちますので、煮立てずさくさくと飲んじゃうのが良いと思います。
水割り、お湯割り、ソーダ割り、意外なところでは牛乳割りが美味しいです。もろもろっとした感じになって、乳酸菌飲料っぽい味になる。
かき氷のシロップにしたり、プレーンヨーグルトにかけても美味しい。
できあがった梅シロップを見るといつも、ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』を思い出します。
夏の季節をアルコールに抽出して瓶詰めされた、蜂蜜色のお酒。
日本人にとっての「夏シロップ」は、梅酒や梅シロップだなあ、と。
今の季節はどのスーパーでも、大瓶や梅やリカーや氷砂糖が並んでいて、見るだけでうきうきわくわくします。
皆さんもぜひ、夏を瓶に閉じ込めてみられては。
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