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【はがきサイズの短編】土曜日の秋晴れ公園 テーマ:剛の者

こんにちは!高木梢です。

今回のテーマは、「剛の者」です!
読んで字のごとく、すぐれて強い者という意味だそう。

(剛といったらジャイアンしかイメージされませんでした。)

そうそう、長い間UPしていなかった手書きverのはがきも今度まとめて追記しますね。
字が米粒サイズである意味ホラーなので、こっそりとですが・・・。成長の記録ってことにしましょう!そうしましょう!(無理矢理)(記事の最後の方に小さく出すので、見たくない方はテキスト版を読んだらブラウザバックしてください。)

さて、前置きが長くなりましたが、物語で幸せを感じていただけますように!



  強き者とは、弱きものを助けることだ。

 俺は、亡くなった自衛隊の祖父にそう教わった。

 武蔵家は代々傭兵の家系だが、その身体能力を自らの欲にゆだねたことはなかった。お前が持つその力を、弱き者のために使うのだ、と。

 昨日は、階段から落ちそうになった女子を片腕で保健室まで連れていき、公園で蛇におびえる子どもからそれを投げ飛ばし、川でおぼれていた猫を救出し、ブレーキが利かなくなったトラックをその身で受け止めた。

 俺は、女子にも金にも名誉にも興味がない。より多くの者が、平穏に生きられるにはどうしたらよいか、それだけだ。

 「いつの時代の話しだよ。てか、人見下しすぎじゃね?」

 そう言ってコンビニスイーツの棚を物色するのは、幼なじみのトモヤだ。甘いものを食いたいというので、(俺は食べないが)こうしてついてきたのだ。

 「なぜだ。弱っている猫を助けて何が悪い。」

 「猫は知らんけど、別にお前だけがヒーローじゃないってこと。人助けしたお礼もいつも受け取らないし、もうちょっと頭柔らかくしようぜ。」

 トモヤはホームランバーを選び、俺たちは街を散歩することにした。

 緑が多いこの街に、今度大型ショッピングモールが建つらしい。工事現場を眺めていたら、あのトラックに乗っていたおじさんが作業をしていた。

 人通りの多い駅まで出ると、児童合唱団がイベントをやっていて、蛇から助けた子どもがソロを歌っていた。

 公園では、川から助けた猫が女子高生たちに撫でられゴロゴロいっていた。

 俺は、自分では不思議なほど心が温かくなっているのを感じた。

 トモヤおすすめのケーキ屋に向かうと、昨日助けた女子が店番をしていた。

 何度もお礼を言われ、甘いものが苦手な俺に選んでくれた黒胡麻のケーキを持って、おれたちはあの猫がいる公園に向かった。

 太陽の光が辺りを包み、木陰のベンチには心地いい風が吹いた。

 「な、こういう日も悪くないだろ?」

 黒胡麻のケーキを食べながらトモヤは言った。

 全くだ、とおれはうなづく。猫のお腹はこんなに柔らかいのだな。

 強き者とは、弱きものを助けること。俺もまた、気づかぬうちに彼らに助けられていたのだ。


Fin

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
素敵な画像をお借りしました。



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