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【はがきサイズの短編】Young butterflies テーマ:白い羽

  「白い蝶についていくと、素敵な場所に行きつくんだって。」

 小学生のとき、一番の悪友でゲーム仲間の持木弓子は言った。花壇には二頭の蝶が戯れる。

 「結婚したお姉ちゃんが言ってた。本当、お花畑なんだから。」

 おれは全く興味が湧かず、持木の花のヘアピンをぼんやりと見た。

 しかし中学生になった今、一頭の白い蝶を追いかけている。

 部活帰りに通った公園で、季節外れのモンシロチョウが俺の周りをくるりと舞い、ついてこいとでもいいたげにぱちんぱちんと翻ったのだ。

 蝶なんかどうでもいいはずなのに、なぜか気になった。

 それに、私立中に行き会うことがない持木を思い出す。部活や塾が忙しくて、あのときみたいに遊ぶ余裕なんて無くなったな。

 あれ、見失った。辺りを見回すと、蝶は団地の白い壁と同化していた。

 なんだ、とおれは安心して近づくと、からかうように飛んで逃げる。

 それから、やつはいろんなかくれんぼを仕掛けてきた。

 白い犬に止まったり、俺の背にまわったり。

 そういえば持木と遊んでいたときも、こんな感じで楽しかったな。

 やがて、大勢の人が行き交う大通りに出た。

 蝶は無邪気に飛ぶ。気をつけろよ、と心の中で言ったとき、小さな白い羽は垂直に落下した。

 危ない!と走って咄嗟に両手で受け止める。怖々手の中を見ると、そこには白いライラックのヘアピンがあった。

 そして、目の前に立つ人を見ておれははっとした。

 「持木!」

 あいつは、ニヤリと笑った。

 「久しぶりじゃん、朝倉。ありがとね。」

 「すげえよ!白い蝶を追いかけていたら、持木のところに来たんだ!ほら、小学生のとき言ってたじゃん。白い蝶は…」

 そう言うと、なぜか持木は真っ赤になってごにょごにょぼやいた。

 「いや、素敵な場所っていうのはさ、お姉ちゃんが結婚して、ウェディングドレスって白色じゃん。だから…。」

 よく聞こえなかったけど、おれは持木との再会が舞い上がるほど嬉しかった。

 「またゲームしようぜ。 そういや、新しいポケモン買った?」

 持木は何か言いたげだったが、ポケモンという言葉に、おう!と八重歯を出して笑った。


 ツツジの低木から様子を見ていた蝶はひらりと白い羽をきらめかせ、笑うように暗闇の中へ消えていった。

Fin


こんにちは!高木梢です。

遅くなりました!!お待たせしてすみません!

今回のテーマは、「白い羽」です。
蝶がお好きなフォロワーさまからお題を頂きました!素敵なテーマをありがとうございます。

蝶って神秘的ですよね。なんというか、運命とか魔法とかそういった言葉が似合うと思います。

蝶モチーフのいろんな文学が生まれているのも、わかります!だって、おはなしを書きたくなる最高の素材ですもの!
(自作の蝶モチーフの作品を出させてください。)

今回の作品をつくるにあたって、蝶が羽ばたく動画をいろいろ見ていたのですが(その割には作品に落とし込めていないのですが)、あの子たち結構素早く飛び回れるんですね!なんかこう、春の野を、ひら、ひらって感じのイメージが強すぎて・・・。

アニメの影響が強いのかしら?

あ、そんなことはどうでもいいのです。

お題をくださるみなさまには、感謝してもしたりません。こんなに楽しいことをさせていただいて、かつ誰かに喜んでもらえる。幸せだなあ、みんな幸せな気持ちでいてほしいなあと素直に思えるのです。

今回の物語も幸せを届けられますように!

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
素敵なお題と画像をお借りしました。

また、作者がこんなことを言うのはどうかなと思ったのですが、白いライラックの花言葉は「青春の喜び」、白いツツジの花言葉は「初恋」です。




持木のヘアピン、紫のライラックになってしまいました(´・ω・`)

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