【はがきサイズの短編】ナスガシスターの悩み相談室 テーマ:写実
こんにちは!高木梢です。
今回のテーマは「写実」です。
実際のものをそのままあらわすこと…だそうです。(ざっくり)
ちなみに、写実の反対は抽象です。
最近めっきり寒くなりましたね❄️
みなさま、寒暖差に気をつけてくださいね。
わたくしはアルガママ教のシスター、ナスガです。
なぜだか町民の悩み相談を受けることが多く、よい評判をいただいております。
きっとアルガママ教の教祖、ソノマから授かった魔法の言葉のおかげでしょう。
木造の扉が開く音が聞こえます。わたくしはどうぞおかけくださいと言いました。この小部屋は薄い壁が1枚隔たっていて、互いの顔は見えません。
「あの、僕、学校の試験でやばい点数をとっちゃって…」
「詳しくお聞きしましょう。」
少年の高い声を聴きながら、わたくしはそのお話をメモにしたためました。
「つまり、苦手な算数の試験が100点中58点だったから親に言えないということですね。」
「うう、そうなんですけど、そんなにはっきり言わなくても…」
「わたくしはありのままを申しているだけです。」
「ど、どうしたらいいでしょうか!ママは僕を私立校に行かせたがっているんです!」
「アルガママ教は、自然な状態を受け入れます。あなたの持つ紙には、赤い点で58と書いてある。そう、ただそれだけなのです。」
わたくしはここで言葉を区切りました。
「ちなみに、わたくしが小学生の頃、算数はよくて100点中15点でした。」
「えっ」
少年は驚いたようで、黙りました。わたくしは、ソノマの魔法の言葉を口にしました。
「あとは、あなたの心のままに。」
ガタンと椅子から立ち上がったような音をたて、少年は大声をあげました。
「ありがとうございます、シスター!僕、なんだか元気がでてきました!」
勢いよく木造の扉を開き、少年は出てゆきました。
ああ、ソノマ、あなたの言葉がまた民を救ったようです。
Fin
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。素敵な画像をお借りしました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?