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高原梢
2022年10月3日 21:53
なんとなく嫌だ、が知らないうちに重なって、今日も誰とも話さずに帰ってきてしまった。お母さんは仕事に行っているので、この家はわたし一人だ。 窓の外の楽しげな声たちが聞こえるのが嫌で、雨戸を閉めてわたしの部屋の隅に座り、ひざにできた小さなかさぶたを眺めている。 クラス替えで、一緒になった慣れない子たち、先生、去年までの友達、いろいろなことが心の中でバラバラになって、自分でも何が嫌なのかわか
2022年10月2日 15:10
始業式が終わってお昼ご飯を食べるのもそこそこに、私は青い自転車にまたがりかすみ叔母さんのお店に向かった。だって、今日は叔母さんに絶対話したいことがあったから。 畑と緑と高い空が広がる小さな田舎道を、ちょろちょろと流れる小川に沿って走ること一五分。メルヘンチックでこぢんまりした白樺の小屋の前に、自転車を停めた。私はぼさぼさになった短い髪をなでつけ、デニムのズボンとグレーのトレーナーをなんとな