おおきく振りかえって【文フリ反省会】
こんにちは、生活リズムが徐々に治りつつある橘です。
去る5月21日は文学フリマ東京36の開催日でした。出店者の方はお疲れ様でした。来場者の方はお楽しみいただけましたか。そして、私のブースにいらっしゃった方、大変ありがとうございました。
さて、ようやく諸々のタスクが落ち着いて、振り返りの記事を書けるようになったので、今回は文フリの反省記事になります。前回の振り返り記事があまりに駄文で冗長だったので、今回はできるだけ簡潔に反省点を整理したいと思います。
(そんな駄文を読みたい奇特な方に)
1、当日の振り返り編
まずは当日の時系列順に反省点や感じたことをまとめていこうと思います。
イベントの始まり
会場入りについては、前回の反省点にも挙げていたにも関わらず、今回もかなりギリギリになってしまいました。
後述しますが、あいさつ回りを開催時間中に行なってしまうとその分ブースが無人になる時間を作ってしまうことになります。できれば早めに会場入りして、事前にあいさつ回りすべきだったなぁと思います。
前回も感じましたが、運営の方の「これより開場します」という声がけとともに各所から拍手が起こる瞬間、あれは何にも代えがたいものがあります。あの瞬間が1番楽しいと言っても過言ではありません。
今回の成果とその要因
さて、開催中の話、というか結果から話しますと前回よりも多くの方にブースにお越しいただきました。誠にありがとうございます。
その要因を考えてみると、正直言って自分のブースの魅せ方が著しく上手くなったとか、知名度が向上したとかそういうわけではないと思います。売り方も前回とはほとんど変わっていません。
今回の成功の要因はひとえに、コロナ禍明けによる来場者数の増加と、コロナ禍にめげずに文フリというイベントを支え続けてくださった運営の皆様のおかげに他なりません。改めて感謝申し上げます。
では、そういった外的要因を差し引いて、自分側の工夫としてより多くの方にブースに来てもらい、作品を販売できるようにするにはどうすればいいか、これはまた次以降の項で書きます。
ブースの構成
ブースの構成としては、前回から大きく変わりません。
ただ、最も目につくであろうポスターのレイアウトを少し見やすくしました。まず、手に取りやすい無料配布冊子の表紙のイラストを大きく配して、文字を縦書きにしました。また、ブース番号も見やすいよう大きくしました。
実際に自分が他のブースを歩いて回ると、ブース番号が書いていないせいでここがどこなのか分かりづらいなと感じることが何度かありました。特に目的のブースがあるときは目安の番号が示されているとかなり助かるのではないかと思います。
これは来場者に対するユーザビリティでもあり、自分のブースを見つけてもらいやすくする工夫だと思うので、ポスターのデザイン性はやや下がりますが、これからも続けていきたいポイントの一つです。
無料配布について
さて、文フリ参加2回目にして、今回は初めて無料配布物を用意したのですが、どれが無料配布なのかわからないお客さんが何人かいらっしゃいました。
他のブースを覗いてみると、たいてい無料配布といえばポストカードであったり、ペライチのフリーペーパーであったりすることが多いようです。それに対して16頁の冊子で、かつ個包装されているタイプは珍しかったのか、「これが無料配布なんですね」とか「本当に無料ですか」と言われることが多かったです。
ページ数こそ多いですが、今回のために書き下ろしたわけではありませんし、中綴じする作業もそこまで苦でなかったので、ひとまず好評いただけたようで何よりです。
部数も30部用意したのですが、2部残して捌けきったのでちょうど良かったと思います。今後出店する際にまた無料配布できるかわかりませんが、一つの指標になるかなと思っています(そもそも無料配布があったおかげでブースに立ち寄ってくれる方が増えたのだと思います)。
売り子の存在
前回の記事で、売り子の必要性について言及しましたが、やっぱり売り子はいたほうがいいなと改めて感じました。
今回も開催時間中に他ブースを回るため離席したのですが、ちょうど離席した時間が1番人が多かった時間帯のようで、もったいないことをしたなぁと後悔しました。
ブースでの仕事量としてはさほど忙しくないのですが、離席の際の代理や、より多くの人に呼び込みすることを考えると、やはり売り子の存在は大きいと思います。次回参加する際には誰かしらに声をかけて売り子をお願いするかもしれません。
虎の威を借る狐
ブースの写真を見てもらうと、右側にぬいぐるみが置いてあるのがわかります。これは「ふわふわのくま」といって、殺伐としたTwitterにおいて格別の癒やしの存在となっているくまさんです。
前回に引き続き今回もブースについてきてもらって、マスコット役として頑張ってもらったわけですが、他人の著作物を使って半ば客寄せパンダ的に利用することに罪悪感を覚えないわけではありません。
Twitter上でご本人(ご本熊)に認知してもらって、一応許可は得た形にはなったのですが、今後も連れて行っていいのかグレーゾーンな気がします。
まあ、名前を勝手に使ったり、2次創作的に著作物を作成しているわけではないので法的には問題ないと思うのですが、ちょっと「虎の威を借る狐」といった形で、申し訳無さもあります。
虎の威といえば、出店した作品のうち短編集と無料配布の表紙は、自分が敬愛してやまない新海誠監督の小説版の表紙のオマージュになっています。
これも一応オマージュの形式を取っていますし、このフォーマットが著作権に引っかかるようなこともないとは思いますが、ちょっと自分の中ではモヤモヤした部分が残っています。
「これって新海誠監督の表紙のやつですよね」と言ってくださったお客さんもいらっしゃって、宣伝効果として働いており、良しとするべきでしょうか。今後は、他人の創作物に頼らずとも宣伝できるよう努力していきたいところです。
2、今後の見通し、目標編
次に、今後に向けてやりたいこと、改善したいことについて話そうと思います。
イベントの巨大化・宣伝活動の重要性
今回の来場者数は過去最高だった前回(東京35)を抜いてぶっちぎりの1位を記録しました。
この記録は、先に言ったようにコロナ禍明けも影響しているとは思いますが、一億総発信時代(オモコロ引用)において、文学の同人活動はますます広がっていくのではないかと思います(自分の願望も大いに込められていますが)。
今は一日開催、しかも12時から17時と半日に限られていますが、今後はもしかしたらコミケみたいに数日間の開催になるかもしれません。
というか、今回の人の入りを考えると、そういった「改善」をしないとイベントとして成り立たないのではないかと思います。よくも悪くも文学フリマは大きく成りすぎた感があります。
そうした大規模なイベントになっていくことを考えると、会場でたまたま見かけてもらって購入していただくということのハードルがなおのこと高くなるのではないかと思います。
今現在でさえ、しっかりと他の出店者と差分化しなければ埋没してしまうほど情報量が錯綜する会場の雰囲気です。今後は、当日のブースでの頑張りに加えて、事前に周知してもらうSNS等を中心とした宣伝活動・固定客の獲得が重要になるのではないかと思っています。
確かにnoteを検索してみると、「ほとんど無名な自分が初出店で何十部売り上げました!」みたいな投稿がいくつか見られますが、そういった情報を貪欲に吸収していく必要もあるのかもしれません(個人的には、なんか手段が目的化している感じがして、ちょっともにょるんですが……)。
ただ、そういったハウツーも大事ですが、周りを見てみると結局SNSのフォロワーが多い人ほど、売上も良いみたいです。これについて次の項でも触れます。
ちなみに、出店者側の目線でなく、購入者側の視点での記事もあったので、ぜひご覧ください。
感想の伝え方とファンとの関わり
文フリ公式は「#文学フリマで買った本」というハッシュタグの使用を推奨していますが、出店者側からするとそのタグを付けたツイート全てを追いきることはなかなか難しいです。
たまたまご購入いただけた方を見かけたらいいねとRTはしているのですが、名前を含めてツイートしてもらわないとエゴサをしても見つけられないのが現状です。
また、今後の作品づくりのために感想を頂きたいので、専用のフォームを用意してQRコードをスリップにして各本に挟んだのですが、それよりもTwitterで専用のハッシュタグを作った方が、気軽に感想を言えたり購入報告できたりするかもしれません。
(スリップについて以下の記事もご参照ください)
以前話題になりましたが、Twitterの新しいアルゴリズム上、リプライのやり取りした方がタイムラインに載りやすいらしいです。確かにイラストや漫画界隈ですと、リプライを送ったり返したりする慣習がかなり定着しているようです。
プロと違って宣伝してくれる書店も出版社もないので、我々アマチュアは自力で宣伝していくしかありません。が、ファンとの距離感が近いのがアマチュアの利点なのだと思います。もっとフォロワーやファンとの交流をしていく必要があるのでしょう。
結局のところSNS上でも社交的に振る舞うのが1番のようです。
今後の「サークル」としての活動
イベント開催前にふとツイッターで「アカウント分ける必要なかったぁ」とつぶやきました。
これは、サークル名義のアカウントを文フリ前後しか稼働できていないこと、特につぶやく内容が本アカと変わらないこと、本アカの方がフォロワーが多いのでそちらの方が宣伝効果が見込めることなどを考えた上での考えでした。
しかし、これは現時点で、自分の作品を一人でまとめて一人で販売しているからに過ぎません。清香舎というサークルを立ち上げた当初は、今後同じ志を持つ人が現れたら、どんどん仲間にしていこうと思っていました(ルフィみたいですね)。
なのに、今では自身のホームページの自己紹介欄に「ひとり文芸サークル清香舎」と表記するほど、独りよがりで内向的な人間に仕上がってしまっています。
文学フリマが「文学の同人誌即売会」ならば、まさに文字通り「同人」を見つけていけば、アカウントを分けている意味が出てくるでしょうし、今より規模の大きいアカウントにすることも可能でしょう(あくまで希望的観測ですが)。
企画力と今後の展望
文学フリマにおいて、どのような本が売れるのか。それは端的に言えば、どれだけ参加者に魅力的な作品と感じてもらえるかです。
では、魅力的な作品とはなにか。ここで重要になってくるのは、企画力だと思います。これについては、下記の記事がかなり参考になりました。
今回自分が購入した作品の多くは、コンセプトがはっきりしている作品が多かったです。宣伝として利用しているのも、あらすじといった直接内容に関わりのあるものよりも、どういう想いでこの作品を編んだのかというものが中心でした。
つまり、具体的な内容(あらすじや物語の筋)よりも、何を伝えようとしているのか、何のテーマをもとに執筆しているのかといった情報の方が、購買意欲に作用するように思いました。
こうして考えてみると、確かにブースでの細かい魅せ方(先述のポスターやら商品の配置やら)も大事ですが、自分がだめだった点として、各作品の具体的なあらすじを紹介してばかりで、「この短編集がどのような思いでまとめられたか」を伝えられていなかったと思います。
本文という具体性と、テーマやコンセプトといった抽象性のバランスを上手く取れるかが一つキーポイントになりそうです。
さて、ではそのコンセプトやらテーマがはっきりした企画があるのかというと、現時点でやってみたい企画は既に何個か存在しています(詳細は後日別の記事でまとめたいと思っています)。
ただ、今の自分ではその企画を実現するのに力不足であるとも自覚しています。短編小説と短歌を中心に今まで創作活動をしてきて、今後もその軸は変わらないと思いますが、もっと違うジャンルにも挑戦したいと思っています。
例えば、日記やエッセイの類いです。今でこそ日々noteで日記を更新していますが、それが一つの作品として売れるほどの文章かと問われれば、到底そんなレベルの文章ではありません。ですから、今回の文フリで日記やエッセイを販売していた人が羨ましくありました。
短歌にしたって、まだまだ勉強不足で、独学でなくもっと他の方の作品に触れたり手引書に頼ったりして、勉強を重ねたいと思っています。
文フリの前後は同じアマチュアの方の文章や作品を目にする機会が多いのですが、悔しさや嫉妬、羨ましさなど、ネガティブな感情を抱いてしまうことも何度かありました。そういった感情とも向き合っていかなければならないと強く感じています。
一方で、自分のこだわりを通しきれている点は、誇りに思っていいのかなと感じています。
例えば、前に挙げたスリップや検印などの細かい装飾は、あまり他に例のない取り組みだと思っています。
また、他の方の作品を見てみると、A5版という通常の書籍ではあまり見かけないサイズだったり、一般的な文庫版(A6)サイズでもカバーなしのものが多い印象です。
もちろんそれが悪いわけではありませんし、より安価で大量に刷ろうと考えたらそうした方策を採って当然だと思います。しかしながら、やっぱり自分は予算度外視でいわゆる「本」の形をとことん突き詰めていきたいと思います。
もっと色んなジャンルに触れて、勉強していきたいと思っているので、今後しばらくはインプットの強化期間に当てたいと考えています(なにより修論で今後忙しくなると思いますし、積読も消化しないといけません)。
ですので、次の東京37は不参加予定です。ただ、出店者としてではなく、一般参加者として来場して、ブースの魅せ方を勉強したり会場の雰囲気を満喫したりするつもりではあります。
来年の東京38には、その勉強の成果を発揮したり、実際に他ジャンルの作品を作ったりしたいと考えています。
ただ、その前に1度どこでもいいので地方開催の文フリにも参加したいです。東京の規模感は他の会場とは一線を画しているので、東京の一点ばかりで考えてしまうと頭が凝り固まってしまうのではという懸念があるからです。
色々と言ってきましたが、今の自分にできることは、とにかくコンスタントに活動を続けていくことと、それと同じくらいフォロワーの活動を応援し続けることだと思います。
2回目の文学フリマ参加を終えて、今は購入していただいた方に対する感謝とともに、もっともっといい作品を作りたい、作らなくちゃいけないという気持ちでいっぱいです。
次にいつ振り返り記事を書くかわかりませんが、その日まで変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、今日はこのあたりで。さようなら。
(了)