詩書き紅音はかく語りき

詩書きの紅音(くおん)と申しますわ。  わたくしの感情のすべてを込めた詩を貴方にお届け…

詩書き紅音はかく語りき

詩書きの紅音(くおん)と申しますわ。  わたくしの感情のすべてを込めた詩を貴方にお届けいたしますわ。  貴方の感情を是非、わたしくしに”ぶっ壊”させてくださいまし。

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  • 紅音の詩

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詩 「ガラム」

 キツめの煙草を咥える  火を付ける勇気もないのに  濡れたアスファルトの上で  肌寒さに震えながら  呼吸の味はサイアクで  ひどく臭くてひどく不味い  溜め息ついて棒を折る  舞い散る茶色の粉末が  風に紛れて消えるのを  それを見ているアタシは一体  どんな顔をしてるんだろ  褪せた金髪が夜をたなびく  勝手に夜は更けてゆく

    • 詩 「まじない」

       貴方の呪いのせいで  まだ私は縛られている  この美しい地球に  高度な文明に  貴方との営みに  命なんてどうでも良いと思った  孤独に苦しんで死ぬのだと思った  幼少期から  そんな事を考えていた  でも現実はどうだろう  拒絶しても拒絶しても  貴方は私を包むのをやめない  独りで生きていける剛さを持った私を  他人と関わる社交性を捨てた私を  野生動物のように  全方位を威嚇して  虚栄の縄張りを作って  遥か彼方から寂寞に苛まれた

      • 詩 「IDLE」

         あっ待って  行かないで  月に手を伸ばす醜悪な僕  地に伏して  夜を見上げて  あの歪な月に泣いた  君だったモノを胸に抱えて  自業を自ら抱えきれずに  ぼろぼろとソレは零れていく  拾おうとして  また零れる  澄み切ったワインにインキが一滴  それだけで穢れは広がっていき  二度と価値はつかなくなる  綺麗だったこの世界に  僕が堕ちてしまったから  その地面は汚れているの  この月は丸くないの  君はあの時どうして僕に  優

        • 詩 「胸中」

           セックスと  シガーと  何もない夕暮れの雨  生まれたままの姿で  すべすべの首筋に反射する光は  何よりも純潔で  何よりも高貴で  触れたくて  でも穢したくなかった  抱かれている私は  きっと涙を流していて  傷をつけられたはずの貴方が  その太陽のように  笑っているのはなぜだろうか  もうすぐ真っ暗になる部屋で  何もせず  何にも邪魔されず  赦されるなら  この首根っこが折れるまで  ずっと抱きしめて欲しかった

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        • 紅音の詩
          7本

        記事

          人生で初めて油絵に挑戦した話【雑談】

           この前、人生ではじめて油絵というものを描いてみましたわ。  わたくし、絵心も美術の教養もなく、  それゆえ絵画を描く趣味はありませんでした。  しかし、ええ、なんといいますか、  白いキャンパスを汚すというのは、  その……  すごく、良いですね。  背徳的でゾクゾクします。  純真な生娘を、  大きな手で握り潰してしまうような。  入院中の末期患者を、  マスターベーションに使うような。  そんな感じがするんです。  純白のキャンパスが言っていましたわ。  「汚さ

          人生で初めて油絵に挑戦した話【雑談】

          詩 「浜辺の猫」(詩は無料で読めます)

           かつて私は小さい頃  浜辺で猫の最期を見た  誰もいない浜辺で  それはただぽつんといた  もくずに見紛うような  そんな儚くも  綺麗とは言えない猫だったけど  私は幼心に  何にも負けない美しさを感じた  月の灯りを頼りに  人のアスファルトで爪を削りながら  よろよろと頼りない足取りで  最期の場所に向かう  果たしてその砂浜は  思い出だったのか  憧れだったのか  それとも未開の地だったか  その猫がなぜそこを  選んだのかはわ

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          詩 「浜辺の猫」(詩は無料で読めます)

          ¥400

          詩 「あさつゆ」

           朝陽を吸う  遥か彼方から約束された  永遠のような幸せの日向を  冷たい春風に撫でられ  呼吸をする  世界でいちばん解放的で  世界でいちばん自由な  車がぽつぽつ通るだけの  静寂の朝  いつか真っ白な翼が芽吹いて  どこまでも飛んでいけそうな  そんな輝きに満ちた地球に  眠気も渇きも昨日の悪夢も  全部全部吹き飛ばして  ここにただ一人  私がいるぞと宣誓をして  また一日が始まる  史上最高の私と  大いなる希望を抱いて

          詩 「星無の満月」

           満ち足りた月  見上げるとそこにいるけれど  上を向かなければ  アンタの姿は拝めない  ポケットに手を突っ込んで  シケモクを噛み潰しながら  裏通りを彷徨う  アテもないまま  良い感じに座れる場所に着くまで  吐き捨てた煙草は  そよ風に飛ばされる  なんて自由なんだろう  そんなぼやきは  暗い闇の中に吸い込まれていった  あの月は幸せなのかな  ずっと独りなのに  そんな弱音だって  誰にも聴かれる事はない  もう一本煙草をつけ

          詩 「蝶が咲く」

           蝶が咲く  誰もいない荒野の中心で  黒い雲の天井と  涸れた川底に挟まれて  ただ一点    その蝶はダイヤよりも煌いていた  そのはばたきは  この雲のたった一欠片さえ  晴らすことは出来ないけれど  その美しい蒼を持ってしても  二度とこの地に水は湧き出ないけど  その蝶はもう  同胞を見つける事は出来ないけれど  誰もいない果ての地に  その蝶は可憐に健気に飛ぶのだ  無意味であると知っていて  無価値であると知っていて  生まれた場