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詩 「まじない」

 貴方の呪いのせいで

 まだ私は縛られている

 この美しい地球に

 高度な文明に

 貴方との営みに

 命なんてどうでも良いと思った

 孤独に苦しんで死ぬのだと思った

 幼少期から

 そんな事を考えていた

 でも現実はどうだろう

 拒絶しても拒絶しても

 貴方は私を包むのをやめない

 独りで生きていける剛さを持った私を

 他人と関わる社交性を捨てた私を

 野生動物のように

 全方位を威嚇して

 虚栄の縄張りを作って

 遥か彼方から寂寞に苛まれた私を

 貴方は抱きしめるのをやめない

 ひとりでに流れる涙を

 親指でそっと拭き取りながら

 貴方は泣きそうな笑顔で

 私をそっと呪った

 私が否定した私を

 認める強さを持った

 そんな貴方のささやかな呪いが

 今も明日もずっとずっと

 胸に打たれた強靭な楔となって

 私をこんなクソッタレで

 美しい世界に縛っている

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