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極好

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極みよ
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#note

みかんの皮で雑巾掛け

みかんの皮で雑巾掛け

パンダがマンホールから顔を出してお前はそろそろ大人として振る舞うべきだと言ってきた。お前みたいに白黒ハッキリしろということか。マーブル模様の私は受け入れてもらえないということか。

誰が本当かわからない、誰が嘘かわからない。それなら私が嘘役をするからお前ら全員、赤ん坊から老人まで全員、本当役に徹してくれよ。そしたら今日は安心してコンクリートに足を任せられる。

女をたらし込んで寄生しているてめえに

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どうせなら神隠し

どうせなら神隠し

Tシャツの隙間から抜ける風が妙に悲しい夏と秋の狭間。吐く息よりも冷たくて吸う息よりも鋭い、その季節に悲しくなるのは私だけで十分でしょうか。

果てしなく続く夜は底がなくて、自分の影を追う事に恐怖を覚えて、他人の影ばかり見つめてしまう。

生を受けた瞬間から死に向かって狂ったように走って走って走って走って走って。

いつか死ぬのかもしれないと生きるよりも、いつでもかかってこいと死にタイマンを張って生

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弧を描いて孤になる

弧を描いて孤になる

メロンのお尻が柔らかく熟れている。パカっと真っ二つ。中から汁が際限なく出てくる。ダクダクダクダクダク。周りの目を気にせずに溢れ出す。かっこいいじゃないか。

結局一つになれないままに、慣れず慣らさず、私たちは一つと一つで生き続ける。二つで一つなんて甘い蜂蜜みたいな粘度で暮らしは到底できない。言葉で話すよりも肌で感じる方が鮮明な時の方が多い。虎視眈々と一人になる準備してる時、気付けば両手に紙袋をたく

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いらない天国譲れない地獄

いらない天国譲れない地獄

負けないように負けないようにと思って買ったヒールは意味がなくて、負けはしなかったけど勝つこともできなかった。身包み剥がされて細い糸のようにほつれほつれほつれ、ついには真っ裸にされてしまった。今までひた隠しにして守り抜いてきたものがほんの数回の相槌で打ち崩された。意味のない合いの手に本当に意味はなくて、それは共感でも何でもなくて、ただただ声を合わせたいと思っているだけなのだ。毎日戦っているものに絶対

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揺れた後にいつも滲む

揺れた後にいつも滲む

「ちょうど今せっせっと泣いてたとこなんだよ」

彼女は笑いながら涙を拭いていた。
猫背をなおすように背伸びをして僕の方を見た。

「ちょうど肌寒いじゃない、大塚愛のプラネタリウムが染みちゃってね」

少し照れながら俯くまつ毛があまりにも綺麗で無意識に毛束を数えていた。

「絶対今言うべきじゃないと思っているんだけどさ、言ってもいいかな、

絶対なんてないの分かってるけど、

絶対このタイミングじゃ

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言わないで

言わないで

こんなに弱った姿を見られるなら死んだ方がマシだよ

なんて言わないで欲しかった

こんなに辛い思いをするのなら、付き合わなきゃよかった

なんて言わないで欲しかった

こんなに二日酔いがきついなら、吐くまで飲まなきゃよかった

なんて言わないで欲しかった

こんなに月末にお金がないって嘆くなら、買わなきゃよかった

なんて言わないで欲しかった

銭湯に行けないなら、タトゥーなんて入れなきゃよかった

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