
弧を描いて孤になる
メロンのお尻が柔らかく熟れている。パカっと真っ二つ。中から汁が際限なく出てくる。ダクダクダクダクダク。周りの目を気にせずに溢れ出す。かっこいいじゃないか。
結局一つになれないままに、慣れず慣らさず、私たちは一つと一つで生き続ける。二つで一つなんて甘い蜂蜜みたいな粘度で暮らしは到底できない。言葉で話すよりも肌で感じる方が鮮明な時の方が多い。虎視眈々と一人になる準備してる時、気付けば両手に紙袋をたくさん持っていた。私はその時点で一人だったのだ。気付けば両腕も足も背中も筋骨隆々でその隆起した私の一部は戻ることがないのだろう。
夜が弾ける瞬間も、朝が落ちてくる瞬間も、昼がすぎるのをただ傍観する瞬間も、ずっとずっと変わらず一人で。名前を呼ばずに肩を叩く。肩を叩かずに髪を結う。髪を結わずに、足をかける。そんな一人遊びがずっと続いてる。ずっとずっとずっと。広角は上を向いたまま目尻は平行線で、黒子はコンパスで描いたような丸。そうやって二本の足で立つしかないのだ。