読書感想文・備即書忘録029:『 客観性の落とし穴 』 著:村上靖彦
読書感想文・備即書忘録029
『 客観性の落とし穴 』
著:村上靖彦
概要
この本は、現代社会における客観性重視の傾向に警鐘を鳴らし、個人の経験や主観的な視点の重要性を説いた刺激的な1冊です。
本書の最大の特徴は、統計データや数値による「冷静性」が持つ限界を指摘し、それによって見落とされがちな個人の経験や声に光を当てている点です。
地区の子育て支援の現場でのインタビューを題材に、数値では表現しきれない人々の生の声や経験の重要性を強調しています。
特に印象的なのは、著者が担当する大学の授業での学生たちの反応です。
「客観視性」を求める学生たちの姿勢は、現代社会における客観性信仰の縮図として描かれています。
著者は、一方の傾向が社会的弱者への冷淡さにつながっていることを鋭く指摘しています。
本書は、客観性を重視する世界の歴史がわずか200年弱であることを指摘し、それまでの人類の長い歴史において、個人の経験や主観的な視点が重要な役割を行ってきたことを掘り下げています。
著者は、現代社会が洞察しつつある、この視点の重要性を再評価することを提案しています。
『客観性の落とし』の意義は、数値化や客観性の追求が穴があるすべての問題を解決するわけではありません。
個人の経験や主観的な視点を尊重することの重要性を考えると同時に、社会の中で見落とされることが多い弱者の声に耳を傾ける必要性を強調しています。
はっきり言えば、本書の主張に反対する意見もあるだろうと思います。
客観性や数値データの重要性を完全に否定することはできませんが、それでも個人の経験をバランスよく扱うかが課題となっていくのでしょう。
正直なところ、著者の主張を実践に移す具体的な方法についても、より詳細な提案が欲しいと思う箇所も所々あります。
総じて、この本は、現代社会の価値観に一石を投じる重要な著作権だと言えるでしょう。
村上靖彦氏の鋭い洞察と豊富な現場経験に基づく分析は、読者に社会の見解をもう一度再考させ、より多くの視点を持つことの重要性を説いています。
この本は、社会科学や人文科学に関心を持つ人々はもちろん、現代社会の在り方に疑問を感じる全ての人々にとって、新たな視点と深い洞察を提供する貴重な一冊となるはずです。
感想
この本は、現代社会がデータや数値に依存していることに対する警鐘を見逃さないための1冊です。
この本は、私たちに大切なメッセージを伝えています。
ビジネスにおける実績や業績の評価など、日々の生活で数値が重視されることが多いのが実態ですが、村上氏は「数字だけ頼って大切なものを見落としている可能性がある」と言います。
現代社会では、何でも数値化して評価する傾向があります。
例えば、学校時代、テストの量や偏差値、成績表などで、私たちは自分の価値を測られることが多かったと思いますす。
しかし「数字だけでは人の本当の価値を知ることはできない」とも言われています。
ビジネスの数値による実績評価だけ見て、高い成績が取れていなくても、その人が持っている優しさや創造力、チームワークの力など、数字では測れない素晴らしい部分がたくさんあるのです。
マーケティングの世界でも、企業は顧客の行動をデータで分析しますが、データだけではわからないことがたくさんあります。
例えば、数字が良くても、実際に商品を手に取った顧客が満足しているかどうかと同じように、ビジネスの業績数値だけではその人のすべてを評価できるわけではなく、他の面も考慮することが大切です。
この本は、数字やデータをそのまま信じるのではなく、その背景に何があるのかを考える「批判的思考力」を育てることの重要性を教えてくれています。
実際に「数値責任を担当するマネジャー」は手間のかかる温かな心で人と接する「メンタリングの仕事」が不得意です。
逆に「人材育成を担当するメンター」は、冷徹なジャッジで、まるで将棋をさすように「手元にある駒を無駄なく使って実績数値を上げる冷酷なマネジメントの仕事」は不得意です。
数値は、単に1つの指標にすぎないという視点を持ち、量以外に自分自身が成長していることを振り返ることが大切です。
私たちに対して考えられる著者からのアドバイスがいくつかあります。
1)数値化された評価に頼りすぎないこと
仕事上の成績は重要ですが、一部がすべてではありません。自分の持っている他の力や才能にも目を向けましょう。
2)最後の学びの重要性
量だけでなく、同僚とのコミュニケーションや手伝う姿、ボランティア活動など、職場外での経験も自分を成長させる大切な要素です。ます。
3)他人との比較を気にする
仕事上の成績で他人と自分を比べるのではなく、自分自身の成長に目を向けることが大切です。
4)自分の価値を信じる
こと数字にとらわれず、自分の価値をしっかりと見つめることがです。自分が得意なことや大切に自信を持ち、それを長く努力しましょう。
この本は、数値化データに頼りすぎることや危険性を教えてくれる本です。
ビジネスの評価価値を、単に業績の数値だけ決めず、自分自身の持つ他の力にも目を向けることがこの本を読むことで、私たちは数字だけでは測れない大切な価値に気づき、自分らしく成長していくためのヒントを得ることができると思います。
人間というものの価値を正しく受け止め、数字に左右されず、バランスの取れた視点を持って、より豊かな未来をじっくり構築していきましょう。
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