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読書感想文・読書備忘録010:『 目的への抵抗 』 著:国分浩一郎

読書感想文・読書備忘録010

『 目的への抵抗 』

著:国分浩一郎


ここでは、ざっくりと「概要」をご案内して、私なりの「感想」をラフにご案内しておこうと思います。
 
ここで紹介する本は、本来ならは、ご自分で買って読んでいただくだけの価値がある。そう思うからです。


概要


この本は、現代社会における「目的」の概念を批判的に検討し、自由の本質を探求した刺激的な内容の本です。

本書の最大の特徴は、私たちが当たり前のように受け入れている「目的」という概念に疑問を投げかけ、それが人間の自由を制限している可能性を指摘している点です。

コロナ危機下での社会のあり方に対する矛盾をきっかけに、目的の概念を批判的に検討する哲学的試みの重要性に注目して検討しています。

特に印象的なのは、「自由は目的に抵抗する」という著者の主張です。


これは、目的に縛られないことこそが人間の自由の本質であるという洞察を示しています。

これは、目的遂行を至上命題とする現代社会に対する鋭敏な批判となっています。

著者は、東京大学での講義を​​ベースに本書を構成しており、その内容は学術的な深さをつつも、読者にとって分かりやすい形で展開されています。

哲学と、社会学の二つの講義を基礎にしているため、私たちが別物と思い込んでいる現代的な問題と哲学的考察が密接に関心を持っています。


本書は、著者の以前の著作『暇と退屈の倫理学』の継続的な性格も持っており、その議論をより深化させ、政治的な領域にまで拡張しています。

国家システムから社会システムまで、広範囲で「目的」について考察することができます。

この本は、概念哲学書ではなく、現代社会を生きる私たちにとって重要な示唆を与えてくれます。

例えば、仕事や日常生活において、目的に縛られすぎていないかを省みる機会をまた、社会システムや政策決定において、目的主義が行う悪害についても考えさせられます。


著者は、本書が「中断を示唆する」性格が強いものだと思いますが、それゆえに読者の思考を刺激し、自由な発想を変える効果があります。

読者は、著者とともに「目的」という概念について深く考察し、自分自身や生き方社会の在り方を再考する機会を得ることができるでしょう。

総じて、『目的への抵抗』は、現代社会の根本的な問題に打ち込む勇気ある著作だと言えます。

本書は、私たちが無意識のうちに受け入れている「目的」という概念を再考し、真自由とは何かを探求する貴重な機会を提供してくれます。


哲学的な深さと現代的な問題意識が見事に融合した、この本は、社会科学や人文学に関心のある読者だけでなく、現代社会の在り方に疑問を感じるすべての人々にとって、刺激的で示唆に富んだ一冊となっています。



感想


まず、著者は現代社会が過度に「目的」に縛られていることを指摘しています。

これはビジネス環境における生産性や効率性の追求に一石を投じる視点です。

國分氏は、目的に縛られることで失われる自由や創造性について論じ、柔軟な目標設定やプロセス重視の姿勢が重要であると説いています。

結果だけを重視するのではなく、そこに至る過程や経験にも価値を見出すことが、ビジネスにおいても大切です。


著者はまた、コロナ禍で頻繁に使われた「不要不急」という言葉が価値の本質を問うものであると指摘しています。

短期的な利益だけを追求するのではなく、長期的かつ社会的な価値を重視した経営が求められると考え、一見「不要」と思われる活動が新たな発見やイノベーションにつながる可能性があることを強調しています。

さらに、本書は自由と民主主義の本質についても深く掘り下げています。

國分氏は、真の自由とは、目的から解放されることだと主張し、組織においても自律性と創造性の重要性を示唆しています。


従業員に裁量権を与え、自主性を尊重することで、組織内に新たなアイデアや創造的な発展が促進されます。

また、目的に縛られない自由な議論が民主主義の本質であるとし、組織内においてもオープンな対話や多様な意見を取り入れることが、より柔軟で適切な意思決定に繋がると述べています。

國分氏はまた、目的にとらわれない自由な時間が自己探求や個人の成長に繋がると強調しています。

キャリア形成においても、多様な経験を積むことの価値や、自己を見つめ直す時間を持つことが大切であるとしています。


こうすることで、短期的な目標達成に追われることなく、自己成長や新たな発見が得られる可能性が高まります。

さらに、著者は自由な思考が社会に新たな貢献の可能性を開くとも述べています。

企業においても、短期的な成果を追い求めるのではなく、長期的な社会的価値の創造を目指す姿勢が重要であり、創造的な社会貢献活動の検討が求められます。

結論として、この本は、現代社会の目的志向に対して根本的な課題を投げかける重要な内容について記してある1冊です。


目的に縛られない自由な思考、プロセス重視、多様性の尊重など、本書で提案されている考え方は、ビジネス環境にも直接応用可能です。

著者のメッセージは、個人の成長と社会貢献において新たな可能性を示唆しており、社会人として、また将来のリーダーになる人にとっても非常に有益です。

この本は、私たちに現代社会の課題と未来の可能性を深く考えさせ、より創造的で自由な社会の構築に向けた行動を促しています。

この本から得た洞察を日々の生活やキャリアに活かすことで、私たちはより豊かで持続可能な社会の実現に貢献できるはずです。


これが「マーケティング&マネジメント セミナー講師の視点」で読み解いた「この本」に関する感想です。

アファリエイトではなく、単純な紹介です。
とても良い本ですよ。

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