見出し画像

ビジネスの仕事で活きたヨガの効果を振り返る

ヨガの良さって何なんだろう?

「ヨガを続ける意味って何なんですかね?」
ヨガインストラクターを始めた時に、いつも練習している先生に尋ねた質問だ。
ヨガを教え始め間もなく2年。ヨガを始めてからは10年弱だ。
私にとってのヨガは、他のトレーニングからは感じない調子の良さを得られるエクササイズだ。ダイエット目的でランニングやジムのマシーントレーニングしていた時期もある。でもやっぱりヨガが一番私には合っていた。何度か離れたが、結局ヨガに戻っていた。

ヨガの良さって何だろう。他のエクササイズとは違う、と思った効果って何だったのか。
インストラクター活動を始めてから益々考えるようになった。

ヨガを始めてから感じた変化

社会人12年のうち、10年を金融機関で、2年をIT企業で管理系の仕事をしている。
ヨガをやっている期間はほぼオフィスワーカーとして、生活の大半を仕事に捧げていた期間と重なる。
ヨガとともに歩んだこの10年を振り返ると、激太りすることがなくなったこと。そして、仕事の成果が上がり、仕事が楽しくなったことだった。
ヨガを定期的にできている時とさぼっている時で、特に仕事面で明確に調子の良さに差が出ることは明らかだ。

ここ数年はさぼることなくヨガの練習を続けている。最近ふと、昔はできなかったけど、今はできるようになったと感じることが思い当たった。
そういえば、見聞きした事柄に対する自分の感覚を、言葉の意味と照らし合わせて言葉としてアウトプットできるようになった。
更に、Noteをやろうと思える位には、文字を書くことが苦ではなくなった。

文章を書くことが苦手だった

昔から文章を書くことが苦手だった。
小学生の時の夏休みの宿題は作文より工作派だった。中学・高校時代の勉強スタイルは丸暗記型だ。大学でも他人が書いたレポートや文献が「テンプレート」となり、幾つかを切り取り繋げれば、何とか見栄えは確保できた。

それにも関わらず、新卒で入った銀行の初配属は社内アナリストの部署だ。社内アナリストの主な仕事は、業界や企業について調査した内容を社内にレポーティングすること。若手社員の仕事のメインは企業や業界団体にヒアリングした内容のレポート書きだ。

「テンプレート」がないと何を書いていいか分からない。
先輩が先に書いたレポート、雑誌やインターネットをテンプレしてみたが、上司や先輩からの添削結果はいつも「何が書きたいのか意味が分からない」と突き返されることがほとんどだ。上司や先輩に全部書き直されたこともあったし、一文字の添削も受けず、A4用紙いっぱい文字の上に大きく「×」と書かれたレポートを戻されたこともある。

「何がダメなのか、どうすればいいのか。」
それが分からないまま、法人営業やリスク管理の部署へ異動した。文章を書く仕事は避けていたが、銀行の仕事は稟議書など文章で語る必要がある書類が多い。嫌々だが書くことは続けていたが、相変わらず誰かが書いたものを参考にする「テンプレート」頼みだった。認識齟齬も多く、説明やミス・間違いのリカバリーに割く時間も多く、疲労感はいつもあった。

苦手克服の鍵は話し手の様子も感じることだった

「この時、相手は言葉では肯定的に話していたが、苦笑いもしていたし、引き腰だったな。ニュアンスを伝えるために文末に『あまり期待しないでほしい』と付しておいた方がいいかも」
社会人6年目の出来事だった。出張時のヒアリングメモを作成しているときだった。発した言葉以外に、見て感じたことも言葉に落として書いてみた。
「テンプレート」に頼らずに文章を書くことができている自分に気づいた。
このレポートを境に、内容の確認のための質問を受ける機会が顕著に減ることになる。

肌身で感じる感覚を言葉にしたら仕事がスムーズに進んだ

「テンプレート」との明確な差は、その時に感じた感覚を言葉に落としたことだった。
その後も、メールや報告文書の内容と、受け取て手との認識齟齬が小さくなったと感じられるようになった。
ビジネスの場で相手との認識齟齬が少ないことが、いかに仕事を効率的にするのかということも体感した。認識齟齬によるミスや間違いに対するリカバリーに割く時間が減り、チャレンジしたい仕事にも積極的に手を挙げることができた。

社会人6年目というのは、ちょうどヨガを始めて半年程経った頃だ。
自分自身の五感で感じ、想像を働かせ、伝える相手とも同じ風景を共有するのに適切な単語を選択し表現すれば、発した言葉以外に隠された、その時の発言者の心の在り様も察することができる。加えて、自分の感覚と言葉が意味することの感覚が同じものであれば、自分と相手の認識にずれを生まない文章が書ける。

ヨガを練習目的の一つに、「体の感覚をコントロール」するというものがある。言葉が持つ意味と 自分の周りで起きたことや自分が表現したい事柄の感覚同士をつなぎ合わせる。五感を働かせてヨガを始めてから受けた、ヨガの恩恵だったのかもしれない。

行動や言葉は心の在り様をベースにしたもの

ヨガと発祥ツールを同じくするインド哲学の仏教の言葉で「身口意の三業」というものがある。
人間の行為は身業(動作や振舞い)、口業(発する言葉)、意業(心に在る思慮分別)の3つに分類され、身の一切の行動、一切の言語は、意(心)に従って生ずるので意業が最も重要であると説かれている。本音は行動や言葉に隠れているのだ。

ヨガを続ける意味って何なんだろう?

「私たちは現代の情報過多の中で、頭の中だけで世界を完結しがちで、人間本来が持つ五感も鈍ってしまっている。呼び覚ます必要性を本能的に感じていることが、ヨガが世界的に大都市圏でブームを起こした理由なんだろね」

「ヨガを続ける意味って何なんですかね?」という私の問いに対して、ヨガスクールで指導者の指導を10年以上しているヨガの先生からの答えだ。
ヨガを続けていくことで得られる効果は極めて分かりにくく、ゆっくりだ。
少しだが、なるほど今なら理解できる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?