文章応用実習

関西大学社会学部メディア専攻「文章応用実習」クラスの成果物です。

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関西大学社会学部メディア専攻「文章応用実習」クラスの成果物です。

最近の記事

笑顔のために全力発進ーーアヤノスーパーカー

 「何やってる時よりもウケてる瞬間が1番気持ちいいし、1番楽しい。生きてるってことを実感する」。同志社大学喜劇研究会所属のピン芸人、アヤノスーパーカーこと竹田彩乃さん。彼女の明朗快活ぶりは、人を笑顔にするために生まれてきたと言っても過言ではないほどだ。  幼い頃から天性の陽気さとおしゃべりで、いつもクラスの中心にいた。漫才やバラエティに目がない両親から蒔かれた種は、彼女の中でお笑い魂としてすくすくと育っていった。自身が大学生お笑いを始めようと思い立ったのも特に大きなきっかけ

    • 学生と駆け抜ける青春の日々ーー富田英典先生

       「ほとんどお互いタメ口やからね」。学生との関係についてこう話すのは、富田英典先生。立命館大学を卒業し、関西大学大学院で学んだ先生のキャリアは、神戸山手女子短期大学の専任講師から始まった。それから関西大学の教授となった今日まで、学生とともに、電話をはじめとするメディア研究を続けてきた。  富田先生に学生の教育について尋ねると、「学生に教えようと思ったことがない。仲間やから。同じ学問の道を目指す仲間だと思ってる」と返ってきた。先生は学生に教えているという感覚ではなく、一緒に研

      • 映像でしかできない経験

         「映像を見る目は確かです」。そう自負する橋本雄策先生は16ミリフィルムで編集していた時代から現在まで映像制作に携わっている。  橋本先生は1975年に関西大学社会学部を卒業した。学生時代、社会心理学のゼミ以外は、新聞社のアルバイトに明け暮れていて、自らを「劣等生」と称する。大学卒業後は、放送映画製作所に入社し、株式会社ビデオユニテとフォルモサ・ギャラリーを設立した。2023年の3月までは、関西大学社会学部メディア専攻の非常勤講師として、学生に映像制作の指導をしていた。  関

        • 枠組みを飛び超えるーー別所隆弘先生インタビュー

           「押し付けられたものに反発して、自分で足を突っ込む。小学校からそうだった」。気さくな口調で「ややこしいタイプの人間なのよ俺」と語る別所隆弘先生。文学研究者でありながら、国内外問わず多数の受賞経験をもつプロのフォトグラファーでもある。自身でも「二足の草鞋」と称するかけ離れた道の両立は、研究で忙しい生活のなかにカメラが舞い込んできたことが始まりだった。  「基本的には、枠組みを決められてフォーマットがカチッと決まっているのがすごい苦手」と自身を分析する。大学院生時代、教員免許

          月刊『島民』 ~ノリと愛着で進み続けた12年~

           大阪府大阪市北区、堂島川と土佐堀川に挟まれた小さな島がある。東西約3km、面積約50haの中之島だ。江戸時代から行政・経済・文化の集積地であり、「天下の台所」と呼ばれたように蔵屋敷が集まり、米を中心にさまざまなものが売買された場所である。現在は、大企業のビルに高層マンション、そして大阪市中央公会堂、中之島図書館、国立国際美術館や大阪中之島美術館などの文化・芸術施設が立ち並んでいる。さらに、水辺を一望できるカフェや夜の中之島を眺められるクルーズ船もある。オフィスが点在する仕事

          月刊『島民』 ~ノリと愛着で進み続けた12年~

          あーちゃんは自閉症~みつけた姉の新たな一面~

           「お風呂あがる時シャンプー片づけてから出てきてね」。これは私が幼い頃から母に口うるさく言われた、我が家のルールの一つだ。私たちの家では、必ずシャンプーを脱衣所の籠の中に隠さなければならない。  私の姉「あーちゃん」こと伊原綾乃は、自閉症スペクトラム障害者だ。「自閉症」と聞くと、優れた才能の持ち主や、読んで字のごとく自分に閉じこもる人、というイメージを持たれがちだが、そのような人物ばかりではない。この障害は個人差が大きく、「自閉症」とひとくくりにできないのだ。あーちゃんの場

          あーちゃんは自閉症~みつけた姉の新たな一面~

          雑賀崎探訪記~ある町、ある出会い、ある思い~

          3回目は雨 2022年10月7日、金曜日。10時20分。遠出をするとき、決まって予定通りにいかないのはなぜだろうか。前日からあれやこれやと、準備をしたはずなのに、当日うまくいかない。予定では朝8時過ぎに起きて、9時ぐらいには家を出るつもりだった。というのも、今日は大事な約束をしている。相手は、和歌山県にいらっしゃる。その方とは午後、会うことになっていたので、今から向かっても遅れることはない。しかし、私は約束の前に付近を散策したかった。9時15分の目覚めと同時に、予定が狂うこと

          雑賀崎探訪記~ある町、ある出会い、ある思い~

          学生ディレクター成長記~茂木遥さんのドキュメンタリー番組制作~

           「関西大学社会学部4回生の茂木遥です、千里ニュータウンについてインタビューを協力いただきませんか」。手にマイクを握り、まるで獲物を狙うように、道端で茂木遥さんは街ゆく人に声をかけている。街頭インタビューにはコツがある。例えば、カメラに気づいて遠回りしない人なら、成功率が高い。ビデオカメラが入った3キロほどのバックを持ち運ぶことにも慣れた茂木さんは、ドキュメンタリー番組制作をする関西大学社会学部メディア専攻・齊藤潤一ゼミの学生だ。 種 2019年4月、関西大学に入学した。も

          学生ディレクター成長記~茂木遥さんのドキュメンタリー番組制作~

          イギリス留学手記~山あり谷あり、波乱万丈のロンドンライフ~

           飛行機の機内、思いがけない素敵なサプライズがあった。ヒースロー空港に到着し、座席を立とうとした直前、機内で少し雑談をしたANAのキャビンアテンダントの方が席まで来てくれた。「半年間、留学頑張ってくださいね!この袋に日本のお菓子詰めておいたので、日本の食べ物が寂しくなったら食べてください」と、わざわざプレゼントしてくれたのだ。「ありがとうございます!頑張ります!」そう伝えて飛行機を降りた。空港のエスカレーターに乗りながら袋の中を確認すると、なんとお菓子と一緒にキャビンアテンダ

          イギリス留学手記~山あり谷あり、波乱万丈のロンドンライフ~

          変わらぬ愛と変わった使命――齊藤潤一先生インタビュー

           「質問したい人はどうぞ挙手をしてください」。「はい、どうぞ」。「その他いかがでしょうか」。2022年4月、関西大学社会学部に着任した齊藤潤一先生は、学生からの質問を待ち構え、前のめりになってそれに答える。その姿は、相手からのスパイクを待ち構え、レシーブに対応するバレーボール選手と重なる。  自身も関西大学社会学部の学生だった。学生時代は学部を問われて、「バレーボール部です」と答えるほど、勉強よりもバレーボールに熱中した。そんななかで唯一、3年次から所属した新聞ジャーナリズ

          変わらぬ愛と変わった使命――齊藤潤一先生インタビュー

          メディア研究とデザイナー視点の融合ーー水越伸先生インタビュー

           メディア研究者の水越伸先生は2022年4月に関西大学に赴任したが、それまでは東京大学で30年以上勤務していた。異動するきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの流行がもたらした静かな生活だった。片道1時間半かかる都心への通勤時間がなくなり、自分のために使える時間が増えた時、ふと「どこかへ行こうかな」という考えが頭をよぎった。今いる場所を変えて何か新しいことをやってみようと思い立ち、顔馴染みの先生が多く在籍している関西大学社会学部メディア専攻へ異動することを決意した。  水

          メディア研究とデザイナー視点の融合ーー水越伸先生インタビュー

          経験は必ず価値となるーー永冨真梨先生インタビュー

           「自分の経験を学術的に考え、発信することが社会貢献に繋がるかもしれない」。2022年度より関西大学社会学部メディア専攻の助教に就任した永冨真梨先生は、恩師キャビン・キャンベル博士に出会い、こう気づかされたという。シンガーとして音楽活動をしながら、大学でポピュラー音楽を研究する背景には、風変りな過去が隠されていた。  学生時代は「ビルボードチャートの20位くらいまでは頭に入っていた」と語るほど、アメリカ音楽に熱中していた。また18歳のときには、父の研二さんが経営するカントリ

          経験は必ず価値となるーー永冨真梨先生インタビュー

          じいちゃんばあちゃんの素麺人生

           瀬戸内海に小豆島という牛型の島がある。そのちょうど牛の頭のあたりに位置する田中製麺所が私の祖父母の家だ。毎年のお盆や年末年始になると、私の家族は叔父さん、叔母さん家族とともに祖父母の家に集まる。夏はBBQ、冬はカニ鍋にすき焼き、オードブルも並べて、必ずみんなで食卓を囲む。年越しはこたつで『紅白歌合戦』を見て盛り上がり、年が明ける少し前に、寒さに身を寄せ合いながら近くのお寺で除夜の鐘を鳴らして新年を迎える。元旦の朝は、祖母の作るお雑煮の優しいだしの香りで目覚め、祖父がお年玉を

          じいちゃんばあちゃんの素麺人生

          出会いと繋がりを生み出す能楽堂~歴史ある山本能楽堂の魅力~

          建物の中に建物が  大阪市・谷町四丁目駅から歩いて5分、サラリーマンが多く行き交うビル街の中にひっそりと佇む建物は大阪を代表する歴史ある山本能楽堂だ。3階建てで外観のつくりは一般的な家屋とさほど大きい違いはないが、中に入ると屋根つきの立派な能舞台が出迎える。建物の中に入るともう一つの建物が現れる生新な感覚がある。能舞台は1階と2階の客席から鑑賞することが可能で、お茶室を備えるなど、こだわりのつまった独自の空間が広がっている。  山本能楽堂は1927年に創立されてから、地域の中

          出会いと繋がりを生み出す能楽堂~歴史ある山本能楽堂の魅力~

          人と人を繋ぐUME・TEMMA

           毎週日曜日、大阪天満宮の一角に賑わう販売ブースがある。「関西大学」ののぼり旗がひらひらと揺れ、赤い法被を着た学生たちが「ご利益たっぷりの梅サイダーはいかがですか」と参拝客に呼びかける。その呼びかけに足を止めた参拝客は、珍しげに学生たちが売る「UME・TEMMA」と書かれた瓶を手に取った。 UME・TEMMAを販売する学生たち UME・TEMMAとは  UME・TEMMAとはラムネの生産量日本一を誇るハタ鉱泉と関西大学が共同開発し、天満天神の水と天満宮ゆかりの「梅」果汁を

          人と人を繋ぐUME・TEMMA

          双子って、なにがいいんだろう?

           私は高校卒業までの18年間、双子の妹と暮らしていた。周囲からは「同い年の家族がいて羨ましい」、「いつも一緒で楽しそう」と言われ、双子であることの良さを感じることも多かった。双子には、2人だけにしか通じない特別な感覚や、双子ならではの面白い経験がいくつもある。例えば、友人の双子の岩田さん姉妹(22歳)は小学生の時、それぞれのクラスで得意科目の授業があると、お互いに成り済まして入れ替わっていた。「ある日、正しいクラスで授業を受けていると先生から『佳恵だろ』と疑われて廊下に立たさ

          双子って、なにがいいんだろう?