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笑顔のために全力発進ーーアヤノスーパーカー

 「何やってる時よりもウケてる瞬間が1番気持ちいいし、1番楽しい。生きてるってことを実感する」。同志社大学喜劇研究会所属のピン芸人、アヤノスーパーカーこと竹田彩乃さん。彼女の明朗快活ぶりは、人を笑顔にするために生まれてきたと言っても過言ではないほどだ。

竹田彩乃さん

 幼い頃から天性の陽気さとおしゃべりで、いつもクラスの中心にいた。漫才やバラエティに目がない両親から蒔かれた種は、彼女の中でお笑い魂としてすくすくと育っていった。自身が大学生お笑いを始めようと思い立ったのも特に大きなきっかけがあったわけではなく、好きの延長線である。「ずっとお笑いキャラやったのに、まだお笑いやってなかったやんと思ってぇ!」とフランクに明かす。
 しかし、飛び込んだお笑いの世界は楽しいことばかりではなかった。始めたてのころは何度も辞めることを考えていたと零す。コンビを組んでは解散を繰り返し、まるで順調と言えるものではなかった。また、サークル内に蔓延る男尊女卑の風潮にも苦しんだ。「期待されてなかったことが辛かった。でも負けず嫌いすぎて、黙っとれ!!今に見てろよ!!!ってね」。宣言通り、2年生の秋に現在のスタイルであるピン芸人デビューを果たし、注目を集めるようになった。悔しい思いをしたからこそ、よりいっそう女性芸人としての意識は強固になった。「男も女も関係なく、面白い人が1番かっこいいと思ってるから」。性別を言い訳にせず、闘志を宿す瞳は真っ直ぐだった。
 喜劇研究会の仲間とは毎週それぞれが新ネタを見せ合い、本気の批評が行われる。サークルが一体となり、「面白い」を徹底追求する。スパルタな環境が、彼女が真剣に笑いと向き合う起爆剤となっているのだ。「これ言ったらウケるやろうなぁって妄想するのがやりがい」とネタづくりへの愛を見せた。
 お笑いをする上でのモチベーションは、何よりもお客さんの笑顔である。ピン芸人として活動を始め、最も印象に残っている舞台は大学芸会と吉本興業が共同開催する「NOROSHI」。自分の声が聞こえないほど飛ぶようにウケた、と当時を振り返る。最近では新しい相方とのコンビでも大会に挑み、好成績を残している。
 「大学生のモラトリアムっていう期間だからこそ、お笑いも好き放題できる」と大学お笑いならではの良さを語る。卒業を控える現在、企業への就職も決まっているが、その先に続く人生においてお笑いの道も全く諦めてはいない。彼女のハリのある声や揺るぎない自己肯定感からは、いつの日か関西のスターとして輝く姿が想起された。
 最後に人生の着地点を尋ねると「葬式にとんでもない人数を呼びたい!もうおっきい偲ぶ会をやりたい!」とどこまでもエンターテイナーな答えが返ってきた。多くの人から愛され、自分を愛する彼女ならきっといつまでも笑いの絶えない日々が続くだろう。アヤノスーパーカーは今日もアクセル全開で人々に笑顔をお届けする。(執筆:元山稀蘭)