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【実験】1日だけ、夫に私のスマホを預けてみた
10月初旬、私は体調を崩した。
声が出なくなったのだ。
風邪かと思い病院で検査しても、コロナでもインフルでもマイコプラズマ肺炎でもないと言われ、アレルギーか喘息が悪化してるんですかね~、とは言われたが、声が出ず咳が止まらずとにかく長引いた。
英語教室を始めて以来、初めて「講師の体調不良」という理由で授業を2日間休んだ。声が出ないんじゃ授業が出来ない。いくら若作りしても40代なんだと実感した。今でもまだちょっとハスキーボイスだ。
そして、そんなハスキーボイスの裏で、
もっと深い悩みが私を支配していた。
体よりも、なぜか心がキツいのだ。
頭が晴れない。
やる気が出ない。
集中力がない。
疲れが取れない。
心が休まらない。
休んでもダメ、がむしゃらに仕事してみてもだめ。いつも元気でポジティブな私に、こんなこと珍しい。地味にキツい。
家族に甘えて、日曜日に半日寝て過ごしたみた。たしかに体は回復したが、心は回復しなかった。なぜだ。体ではなく、心が休息を欲しているのだろうか?
そう思って、今度は誰もいない土曜日に一人で一日中ダラダラしてみた。好きなYouTubeを観て、Instagramを見て、noteを読んで、本も読んでみた。
それでも、頭と心の疲れは取れなかった。
なぜだろう?
私は何に疲れているんだろう?
私の心が休まらない原因はなんだろう?
そして、思い当たったのだ。
もしかして、
このスマホなんじゃないだろうか。
私、スマホ、見過ぎてるんじゃないか?
そう思ったのは、その日読んでいたこの本のおかげだ。
この本は、学校に行けずに悩んでいる十代の若者に向けて書かれた本だ。三女に欲しいと言われ、購入した。
日常の様々なストレスにより、自分でも無意識のうちに「脳の炎症」が起き、それが自律神経や様々な体部分に不具合を引き起こすという著者の意見を「知識編」として、それを解消するために日常で気を付けることが「実践編」としてまとめてある。
「脳の炎症」
あまり聞いた事ないフレーズだが、読み進めていくうちに、わかりやすく言うと「脳疲労」のことなんだと思った。
脳が疲れてる。
はて、何が疲れさせるのか?
それはきっと、日常のなかでの
「情報」と「判断」の多さだ。
私たちのまわりには「情報」が溢れている。
その情報は、私たちがこちらから掴みにいかなくても、スマホを立ち上げただけで、どんどん勝手になだれ込んでくる。
連絡しようとLINEを開いたのに、その上のLINEニュースの見出しをついクリックしてしまう事はないだろうか。調べ物をしようとGoogleを開いたのに、気が付いたらInstagramも開いてて、そのままThreadsに流れて30分経ってたなんてことはないだろうか。
私はある。
めちゃくちゃある。
そして、そこには「情報」だけでなく、
”無意識”で、”無数”の、「判断」がある。
次は何を見ようか。
何を聞こうか。
どのアプリを開こうか。
人間は無意識の判断も入れると、一日に3,000~4,000回「判断」しているらしい。判断にかかるエネルギーは大きい。そして、雑多で無駄な判断は、本当に大事な判断を鈍らせる。
その不必要な「情報」の量の多さと、
無意識な「判断」の回数の多さが
私の脳を疲れさせてるに違いない。
本を読みながら、そんな風に思い始めた。
思い返すと、私は一日中何かしらの動画か音声をかけていることに気が付いた。
自分のスクリーンタイムを見てみる。
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みなさん、どんなもんなんでしょう?
これが長いのか短いのかよくわからない。
なにせ、平均がわからないので。
でも、24時間から睡眠時間と仕事してる時間を削ったら、ほぼスマホは開きっぱなしなんじゃないだろうか。
たしかに、いつも何をするにも動画を流しっぱなしにしてるので、ちょっと夜更かししたら10時間なんて日もある。
私のいつもの一日は、
まず朝起きて、Instagramをチェック。
家族を送りだしたら、TVerでドラマやバラエティを見ながら家事と身支度。朝ごはんも昼ごはんも、一人で食べる時は目の前にいつもTVerかYouTubeかAmazonPrime。銀行や病院の待ち時間にnoteを読んで、Instagramを見る。さすがに授業中にSNSを見ることは無いが、それでも授業風景の動画を撮ることは多い。
休日は観る物がなくなり、何か他に面白そうな動画はないかと、30分くらい探してたこともあった。
異常だ。
気づかなかった。
これじゃ脳も疲れるはずだ。
娘たちに本を読ませる前に、母が読んでおいてよかった。ティーン向けの本は、40代女子の心に見事にぶっ刺さった。
娘たちのスマホの時間を制限している場合じゃない。「いつもスマホばっかり見て~」るのは、親の方かもしれない。
そう思った私は、日曜日の朝、
目が覚めてこう思った。
「そうだ、京都に行こうデジタルデトックスしよう。」
朝起きて旦那さんに伝える。
「今日、私のスマホ、パパに預けるわ。」
いや、別に預けなくてもいいのよ。
触らなければ、そして見なければ。
中には、週末はロッカーに入れるなんている強者もいるらしいし。
でも、ロッカーに預けるのはさすがに厳しい。
仕事のLINEがきて対応が遅れるのはやだし、実家の母から「栗ごはん出来たから取りに来て!」みたいな大至急の緊急連絡があるやもしれぬ。
なので、通知や着信があったら代わりに教えてくれるマメな人に預けたいのだ。ならば夫しかいない。
それに、旦那さんに預けるという行為自体が
「私、浮気してませんから!」という意思表示にもなるしな、なんて思った。(旦那さんはそんなこと疑ってもないと思うが)
朝の「スマホ預けます宣言」と同時に、パパにデジタルデトックスしたい理由を説明した。
パパいわく、
「たしかに最近、週末の話題が『最近Instagramで見たやつがね~』とか『Threadsで見た投稿でね~』とか、SNSの話ばっかりだなって思ってた」とのこと。
え、そう思ってたのか。
ショック。
でも思い当たる節がありすぎる。
「やっぱり、スマホ預けるわ。よろしく。」
デジタルデトックスへの気持ちが固まった。
「それ、自分でiPhoneの制限かければいいんじゃないの…?」というパパの声も背中に聞こえたが、しれっと「ここに置いとくからよろしくね!」とリビングの固定電話の横に置いた。
勝手にスマホを押しつけられた旦那さんは私のスマホに興味がないらしく、スマホは固定電話の横に置かれたまま、しばらく放置された。
これ「預かってる」って言わない気もするが…
まぁ、いいか。
家族で朝ごはんを食べおわり、
お昼までそれぞれの時間を過ごす。
いつもなら私はここでスマホをダラダラ見始めるが、今日は見ないと決めているので、家事に集中する。
すると、いつも気付かないような事が気になりはじめた。クローゼットの引き出しの中にまだ夏物がある。なんだか片付けたくなってきた。
子どもたちにも聞きながら、女4人分の不要な服を分ける。サイズアウトがたくさん出てきた。スッキリ。
そのまま洗面所上の棚も整理した。
色々片付けたら、頭の中がスッキリしてきた。
すでにデジタルデトックスの効果が出てる気がする。
その日は、家族でラーメンを食べに行こうという話をしていた。ラーメンを食べて、長女を友達の家に送り届けて、そのまま夫と私と双子の4人で本屋さんとスーパーに行く予定だ。
家族で出かける準備をして、私のスマホを夫のバックに入れてもらう。
これなら、もし誰かから緊急の連絡が来ても気づくことは出来るし、どうしても使うべき時は「パパ出して~」と言えば良い。
ゆるいデジタルデトックス開始。
もしかして私、見つけちゃったかもしれない。
スマホと私の、ちょうど良い距離感を。
ラーメン屋に入る。
注文して手持ち無沙汰になった瞬間、ふと気づく。
いつもなら、ここでスマホを出してしまう。
しかし、私のスマホはない。いや、隣の男のバッグの中にはあるが。やることがないので、店内を見回すことにした。
そこは地元客にも観光客にも人気のお店だ。芸能人のサインがたくさん飾られている。三連休の中日だったので、観光客もたくさん来ていた。
こっそり他のお客さんの人間観察をしてたら、長女が話しかけてきた。そこに次女と三女も加わる。
いつもなら、ここで全員スマホを出してるかもしれない。外食に行って待ってる間、家族5人無言でスマホを触っている時もある。
ダメだよな、それじゃ。
親が悪いよ、それは。
でも今日は、私が「デジタルデトックスします!」と宣言しているからか、今日は娘たちもスマホを置いて話をしてくれる。
そうか。
親がスマホ見ないと、子もスマホを置いてくれるのかな。ま、たまたまかもしれないけどね。
その後、長女を友人宅におろして買い物に行く。途中でローソンに寄った。
「ポンタカードはお持ちですか~?」
持ってなかった。
スマホを持ってなかった。
「パパ~!私のスマホ出して~!」
夫が近くにいて良かった。
お支払いもそのままいつも通りスマホで済ませた。
そっか。
スマホがないと、買い物は不便なんだな。
その後、本屋さんとスーパーに寄る。
ええと、なに買うんだっけな~・・・
あ、買い物リスト、
スマホのメモ帳に入ってるわ。
「パパごめん、スマホ出してもらっていい?」
「もう、自分のバックに入れたら?」
ほんと、そうよね。
でも、ごめん、一日だけ付き合っておくれ。
私たち夫婦はスーパーへ、双子は隣の本屋へ。
「買い物終わったら連絡するね!」
と言ってから気づいた。
私、スマホ持ってないんだった。
「やっぱり、なんかあったらパパに連絡して!」
ちょっとした待ち合わせも不便。
こんなにスマホに依存してたのか、私の生活は。
こりゃ、日常生活を営みながらの本格的なデジタルデトックスは私は無理かもしれん。欧米や韓国みたいに、一週間とかデジタルデトックスキャンプみたいのに行っちゃうならいいけどさ。仕事もあって、日常生活をしながらのデジタルデトックスは、日曜日だけでも現実問題、面倒くさいわ。
買い物を終わらせて、家に帰った。
日曜日の午後。
普段ならスマホを見てから、料理や読書だが、今日はスマホがない。しかも、夫は私のスマホをバックにいれたまま、車の部品を買いに行ってしまった。Oh no!!
でも、困らなかった。
ゆっくり本が読めたし、心なしか双子との会話も多かった。
そのまま、夕方になる。
いつもはTVerを見ながら料理をしていたが、今日は見ない。いつもはYouTubeを見ながらお風呂に入るが、今日は見ない。
日曜日の夜。
スマホをダラダラ見る代わりに、家族でイッテQを見た。手越君が復活してた。夫とゲラゲラ笑った。
21時。
本日の、私のデジタルデトックスを終了した。
Instagramを開く。
ストーリーがたくさんアップされてた。
10分ほどで見終わり、閉じた。
そして、そのまま布団の中で本を読み、寝た。
緩いデジタルデトックスは、こうして一日を終えた。メリットとデメリットを考察する。
【メリット】
・確かに頭がすっきりする!
・一つ一つの物事に集中出来る
・疲れが取れやすい気がする
・いつもより些細なことに気が付く
・片付けたくなる
・会話が増える
・家族の話をちゃんと聞ける
・SNSの話題が減る
・充電全然減らない。エコ。
・スマホにメモ出来ない分、マイノートに色々書きたくなる
一番のメリットは、「疲れが取れた気がする」と思えたことだ。休んでも休んでも心休まらない…、というあの感じが薄れて、久々に「今日はゆっくり休んだな!」と思えた。
実際には昼寝もしてないし、むしろいつもよりアクティブだったのに。やっぱり「脳の疲労」とスマホの使用量は関係ある気がした。あくまで体感だし、自論ですが。
【デメリット】
・ポイントカードがすぐ出せない
・キャッシュレス決済が出来ない
・待ち合わせ困る
・ToDoを思いついても書けない
(いつもToDoはスマホで管理している)
・買う物リストを書けないし見れない
(いつもスマホのメモ帳に書いてる)
・調べたいものがすぐに調べられない
(明日の映画の時間、バスの時間など)
とにかく、スマホがないと「メモしたい」「予約したい」と思った時にすぐに出来なくて不便だった。信じられない数のタスクを一人でこなす、なんでも屋、スマホ。
この日のスクリーンタイムは、20分ほどだった。
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その中の10分を、「明日双子が観に行く映画のオンライン予約」に時間を使っている。
1日携帯を夫に預けて、実際、数回は返してもらって使った。その内訳は、
①ポイントカード出すとき
②スマホ決済するとき
③「ママ、あの写真見せて~」のとき
④映画のオンライン予約するとき
以上4回である。
幸か不幸か、緊急連絡は一度もなく、
入っていたLINEは2件だけ。
①娘からの「このアプリ入れたい」と、
②夫からの「スマホの画面が割れました」だ。
なんで自分が携帯預かってるのに、私にLINE送っちゃったかな、夫。
私にLINEを送った瞬間、自分のバックの中で通知音がして、自分が妻のスマホを預かってることを思い出したのだろうか。ごめん、地味に笑える。
結論。
デジタルデトックスは良い!
たしかに、いつもより頭がすっきりするし、やる気がすこし戻った。で、私の場合、片付けや掃除、読書などが出来た。
でも、私はロッカーにスマホ預けられないなー。
現実問題、日曜日はまだしも、平日はスマホがないと保護者と連絡が取れなくて仕事が出来ない。そして、何をするにも不便。この一言に限る。
私たちの生活は、
スマホによってこんなに便利になっている。
それに気づかされた一日でもあった。
…という事で、次の日から、私は"自発的プチデジタルデトックス"という名の「スマホのアプリ制限」をかけることにした。
8:00~20:00の12時間を休止時間に設定し、
SNS系・エンタメ系のアプリを開けないようにしたのだ。
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休止時間にすれば、「常に許可」に設定してあるもの以外のアプリは開けない。例えば休止してるInstagramをタップするとこうなる。
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とは言っても、アプリ開ける。
「制限を無視」を押せば。
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それでも、ホーム画面のアイコンが黒くなっているだけでも、今の私にとっては十分な抑止欲になっている。
このルールは、試行錯誤しながら色々試している最中だ。
ひとりで家でごはん食べる時だけはTVer観てもいい事にしよう、とか、SNS系は、休止時間が終わった夜に見すぎて夜更かしするのは嫌だから、1日10分までの制限もかけてみようとか。
そんな工夫が今は結構たのしい。
子どもにもスマホとの時間をコントロール出来る人になって欲しいから、その前に自分がスマホに時間を奪われない大人にならないと。
皆さんも、もしよかったら、このnoteを閉じたら、まずはご自身のスクリーンタイム、見てみてください。そこがきっと第一歩。「うげっ!」ってなりますよ。そして、いかにスマホで時間を溶かしているかに気づくはず。
そして、次に、スマホを信頼のおける誰かに1日預けてみてください。普段気づかない事に気が付きます。
その上、そのプチデジタルデトックスはきっとあなたの脳みその疲れを取ってくれて、頭の中が少しクリアになります。それは多分本当。
スマホは便利だけど、スマホに支配されちゃだめだよな。大人になって、反省しました。
40代、スマホとの付き合い方、
見直していきたいと思います。