☆うつぬけ日記046☆
*恐怖!パニック発作! の巻
あれはそう、昨年12月のことだった。
その日、おれは夕勤シフトで出社していた。
20時過ぎ、食事休憩後、屋外に出てタバコを吹かした。
作業現場に戻ろうと外履きを脱いで靴箱に入れたとき、不意に動悸がした。
一瞬だけ戸惑ったが、気にせず作業着に着替えようと、ロッカーに手を掛けたとき、さっきよりも数段デカイ動悸が始まった。そして、激しい耳鳴りがした。意識が朦朧として、自我が保てなくなるような感覚、気が狂ってしまいそうな感覚に襲われたのだった。時間が縮んでいるかのように、それは急激におれを襲った。
おれは戦慄した。
自分を囲う半径50センチの空間が、周りに広がる現実世界から突如として乖離し、色や匂いを抜き取り去られたかのようであった。
おれは自分の身に何が起きているのか理解が追いつかず、その場にたぶん3分ほど、息も絶え絶えに立ち尽くしていた。
このままここにいたら死ぬ…。
そう直感したおれは脱衣室を飛び出し、自販機でいろはすを買ってトイレに駆け込んだ。
個室に入り、水をガブ飲みして、直前に食べていた夜食を水と一緒に何もかも吐いた。とにかく吐いた。
吐いて吐いて、胃液しか出てこなくなったのは20分後くらいだったか。
おれはいろはすをクチャっと握り潰し、新鮮な空気を求めて屋外によろめきながら飛び出した。
そして、とっくに閉店している売店のドアに寄りかかり、へたり込んでしまったのだった。
そうして10分くらいだったか、12月の凍える寒さの中、おれは必死に呼吸をしていた。完全に酸欠状態だった。なぜこんなにも空気が薄く感じられるのかわからなかった。
そうこうして、ようやく、少し平静さを取り戻した。
しかし、その晩もはや仕事にならないだろうことは明らかだったので、事情を話して早退させてもらった。
そうして、なんとか帰宅し、ベッドに倒れ込んだとき。
第二波が来た。
心拍数が異常に跳ね上がり、心臓が破裂せんばかりにドクドクドクドクと早鳴りし始めたのである。
同時に気を失いかけてしまい、ガタガタ震える手で脂汗を拭いながら、父に事情を話し、タクシーで最寄りの総合病院へ入り、夜間救急外来を受診したのだった。
心電図を採ったが異常ナシ。
精神的な理由に起因した発作だと言われた。
そう、それがおれの初めてのパニック発作だった…。
閲覧ありがとうございました。つづく(たぶん)
かながわ