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第7話 旅する朱色のセーター
お腹の底からマヤと歌っていたら、すっかり身体にエネルギーが巡った。お腹が痛くてうずくまっていた私はどこへ行ったんだろう?
ヒンディー語の唄を教えてくれた子供たちの家に、夕方一緒に行こうとマヤが誘ってくれた。
フリーダムと沐浴したガンガーの川辺の近くに、子供たちだけでやっている小さなチャイ屋さんがあると言う。そこに子供たちは住んでいるらしい。
マヤはヨガのクラスが終わったら、私の部屋をノックす
第5話 自分を愛したい〜ガンガーの愛に触れる〜
コンコン、コンコン。薄暗く静かな部屋に響くノックの音。
ガンガーへ一緒に沐浴しに行くことを約束していたフリーダムだ。
私はそっとドアを開けて、小声で「ナマステー」と手を合わせ挨拶をした。フリーダムは私をそっとハグすると、チャーミングに微笑んだ。
昨日はマッサージの後、ベットに横たわり私はあっという間に眠ってしまい、でも不思議とフリーダムが来る少し前には、パッと目を覚ました。水をガブガブと飲ん
第4話 Massage is Message 〜身体に宿る記憶〜
フリーダムがジンジャーティーを飲み終え、私たちは「see you tomorrow 」と心目と目で合図を交わし、それぞれの時間の流れへと別れることにした。私はフリーダムの光に透ける金色の髪の毛が好きだった。腰まで届く一つに束ねた三つ編みが好きだった。笑った時の、目尻にできる皺が好きだった。若草色のパンジャビ姿が好きだった。世界を美しく見ている、彼女の魂が好きだった。お姉ちゃん。そう、年の離れた気の
もっとみる第3話 ガンガーを愛する者たちの、魂の再会
「人は自分が信じている世界を生きているんだよ」
サンが言ったその言葉が砂時計のように、わたしの中をするすると落ちて行く。
自分が信じた世界を生きている、、、?
「ナマステ」
その時、誰かがドアを開けた。
そこには手を合わせて優しく微笑む女性の姿があった。柔らかそうな金色の髪の毛を、インド人のように三つ編みで束ね、若草色のパンジャビ姿がよく似合っている。
砂時計はまだサラサラとわたしの中
第2話 世捨て人 リシケシに住み着いた画家との出逢い
旅に出る前、あれが必要かな?これが必要なんじゃないかな?と荷造りしながら悩むとき。私はいつもその土地で生きている人がいるということを思うようにしている。
「そこにも人間が住んでいるんだ。」
それならどうにでもなる。生きてる人がいる。暮らしている人がいる。何か忘れ物があったって平気。そこには人が生きているんだから。旅に出るとそう自然に思えるのに、あんなに人がいっぱいいる東京の暮らしの中で、私はど
第1話 時間を外して生きる。リシケシの祈りの音色。
死んだように生きていたあの日々。
精神安定剤がお守りだったあの頃。
マンションから飛び降りようとしたその夜
わたしは死ぬ前に自分で自分を救いたいと心から誓った。
誰かに救われることを待っていたら、そこに出口はないんだ。
自分を救いたいと心から叫んだ時、腹の底から何か熱いものが湧き上がってくるのを感じた。
そのこみ上げるなにかを私はただただ信じて、ここまで来た。
〜インド物語 カミュの