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2022年7月の記事一覧
源氏物語 13 角田光代訳②
角田光代源氏、下巻に続いて、上巻読了。
敬語を省いての訳出は、物語の骨格を鮮明にしてスピード感が出るものの、王朝気分が減じて、特に上巻の「少女」までは光と姫君たちとの行き来が単なる関係性の説明になって、語り手が時に立ち現れるような『源氏物語』の妙味である典雅な調べと縁遠いものになるような印象である。第10帖「賢木」のような錯綜した人間関係の綾が読みどころとなる巻では、角田訳が冴え渡って滲み入るが、
源氏物語 14 角田光代訳③
角田光代訳『源氏物語』3巻読了。2ヶ月にわたった原文通読に続けての20日間、充実した朝読書となりました。下巻、上巻読了時にも報告した通り、角田訳の最大の魅力はスピード感。敬語を割愛して原文に響く特有の語りの調べより、物語の骨格を鮮明にした訳出は、なるほど短期間で読了できるもので、これまでの訳にはない訳者が目指した目的が達成されている。また、各巻に付されたこの3巻を含む全集編纂者池澤夏樹の解説も素晴
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