源氏物語 番外
原作は『源氏物語』の帖名を組み合わせた筆名であることが知られている現役医師作家箒木蓬生の同名小説。出版当時、山本周五郎賞を受賞し、選考委員だった故井上ひさしの激賞に興味を持って一気読みしたことで、あの抒情は容易には映画化できないだろうな、と公開時敬遠した同作をNetflix配信を機に、意を決して鑑賞。
自ら脚本も担当した平山秀幸監督を始め、主演の3人、とりわけ小松菜奈の健闘は評価するが、原作愛読者としては、複雑な思いのまま観終えることとなった。常々、原作と映画との距離感について大きな関心を持ち続けている者としては、なぜ今映画化するのかについて、もっと打ち出すものを鮮明にしてほしかった、と記すに止めたい。かつて「精神分裂病」と称されていた疾病は原作刊行後「統合失調症」と改められている。そうした時代の推移を踏まえた説得力が十分でないあたりも残念。辛口御免。
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