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源氏物語 14 角田光代訳③

角田光代訳『源氏物語』3巻読了。2ヶ月にわたった原文通読に続けての20日間、充実した朝読書となりました。下巻、上巻読了時にも報告した通り、角田訳の最大の魅力はスピード感。敬語を割愛して原文に響く特有の語りの調べより、物語の骨格を鮮明にした訳出は、なるほど短期間で読了できるもので、これまでの訳にはない訳者が目指した目的が達成されている。また、各巻に付されたこの3巻を含む全集編纂者池澤夏樹の解説も素晴らしく、大冊読後の感激・興奮を柔らかにクールダウンしてくれる。例えば、以下のような一節、

人は夢中になってこれを読む。平安朝の別世界に遊ぶ。行けばなかなか帰れないところであっても、多忙な日常生活の中でなんとか読書時間を工面して読む。うっかりすると俗事を放棄してそのまま行ったきりになる(下巻解説)。

それはあたかも山脈の縦走のようだとする池澤夏樹の評語は、『源氏物語』にとどまらず読書という営みが有する至福を代弁してくれている。 2021/07/24

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