釜屋憲彦

種固有の環世界(Umwelt)に関心があります. / コバントビケラ幼虫の営巣 / 原生生物のシェル構築と身体性 / 生物自然史 / J. ユクスキュル研究

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ユクスキュルに関するメモ書き

以下にユクスキュルに関するメモ書きを残しています。 https://kamanori.tumblr.com/tagged/%E3%83%A6%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AB

    • メモ 20241113, Technische und mechanische Biologie, Uexküll, J.

      アメーバ運動の解析の合間にユクスキュルの「技術的および機械的生物学」という小論を読んでる。 「直観なき概念は意味を成さない」ということで、三日熱マラリア原虫の生活環がいかに機械的、技術的期間が巡る計画性に沿って構成されているかを論じてる。環世界トンネル(Umwelttunnel)の図が素敵。

      • 近況 2024.10.20

        久しぶりの動物行動学会。今回は映像発表で参加します。 殻から仮足を伸ばし動く殻アメーバ(ウズツボカムリ)の巧みな採餌行動と、殻アメーバとワムシとの奇妙な関係を紹介する予定。 今年4月に北大に拠点を移し、トビケラの営巣と原生生物の行動研究を行ってきました。注目している生物種は自ら構築した巣や殻と共に行動するものたち。巣や殻は運動と知覚に制約を与えるどころか、新しい身体性知能や感覚(身体拡張)を創造しているように思えてきました。 自分が主体か、原生生物が主体か!頭がおかしくな

        • 窮理 第26号

          『窮理』 第26号にユクスキュルの環世界論と物理学の関連について寄稿させていただきました。 目次 (エッセイ) 朝永振一郎『物理学とは何だろうか』第Ⅲ章第三節を読んで/佐々真一 虫・鳥と生活する/今野真二 天文学と『銀河鉄道の夜』/谷口義明 ユクスキュルの環世界論と物理学/釜屋憲彦 (連載) 学術誌ヒストリー(二)『東北数学雑誌』と林鶴一/ハラルド クマレ 音楽談話室(二十六)ラフマニノフとスクリャービン/井元信之 仁科芳雄をめぐる旅(一)里庄浜中とその周辺(後編)/伊藤

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        ユクスキュルに関するメモ書き

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        記事

          Jakob von Uexküll : seine Welt und seine Umwelt : eine Biographie, G.V. (1964).

          ユクスキュルの妻、グードルン(Gudrun von Uexküll)の本が届いた。ユクスキュルの人生について、妻の視点から書かれている。 グードルンは、息子トゥーレと共に未完のままでいたユクスキュルの遺作『生命の劇場』を書き上げ、世に出した人物。アクセル・ムンテの"Book of San Michele"をドイツ語に翻訳したり、アクセルの息子と"The Story of Axel Munthe"を執筆したりと凄いお方。 ユクスキュルは顕微鏡でウニの体を覗きながら、その見

          Jakob von Uexküll : seine Welt und seine Umwelt : eine Biographie, G.V. (1964).

          Theoretical biology by Uexküll, Jakob von, 1864-1944; Mackinnon, Doris L. (Doris Livingston)

          In comparison with the general rhythm of the impulses which controls the whole life, the beat-rhythm is very insignificant, for it plays an important part only in the higher animals. A certain beat, it is true, can be observed in all forwar

          Theoretical biology by Uexküll, Jakob von, 1864-1944; Mackinnon, Doris L. (Doris Livingston)

          Uexküll J. von 1896. Über Reflexe bei den Seeigeln. - Zeitschrift für Biologie 34: 298-318.

          ユクスキュルのウニの研究論文(1896)を訳してみている。「高度に分化した感覚や運動器官を持ちながら、非常にシンプルな神経系配置を有する動物が存在することは、非常に喜ばしいことである」と、ウニが絶好の研究対象だったことが伝わってくる。ナポリの研究所で海棲動物の研究に勤しんでいた頃だ。 "einer Republik von Reflexen" (反射共和国)という表現はこのころからすでに使用している。

          Uexküll J. von 1896. Über Reflexe bei den Seeigeln. - Zeitschrift für Biologie 34: 298-318.

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          Picturing time : the work of Etienne-Jules Marey (1830-1904)

          Picturing time : the work of Etienne-Jules Marey (1830-1904)

          +9

          Chang, H.- liang. (2004). Semiotician or hermeneutician? Jakob von Uexküll revisited. Sign Systems Studies

          ユクスキュルは全く古くないな、むしろ今の生物学の技術でもって、彼の注目したポイントに科学的なメスを入れるといい。たとえば、解析的な観点からすると、(情報)幾何学、非線形科学など相性がいいように思う。

          Chang, H.- liang. (2004). Semiotician or hermeneutician? Jakob von Uexküll revisited. Sign Systems Studies

          (論文)筋組織の緊張に関する研究:クモヒトデの運動(Jakob Johann Baron von Uexküll)

          (論文)筋組織の緊張に関する研究:クモヒトデの運動(Jakob Johann Baron von Uexküll)

          主体と意味を担うもの

          主体と意味を担うもの

          論文:Yannick Campion, Image, imagination et cinématographie dans l’œuvre de Jacob von Uexküll, 2021

          Yannick Campion, « Image, imagination et cinématographie dans l’œuvre de Jacob von Uexküll », Images Re-vues [En ligne], 19 | 2021, mis en ligne le , consulté le 01 mars 2022. URL : http:// journals.openedition.org/imagesrevues/9883 ; DO

          論文:Yannick Campion, Image, imagination et cinématographie dans l’œuvre de Jacob von Uexküll, 2021

          memo:20221121_理論生物学

          今日は音楽と感覚の局在記号の関係について。 いかにもユクスキュルらしい論の進め方。p.6

          memo:20221121_理論生物学

          memo:20221113_理論生物学

          先月から新松さんとユクスキュルTheoretische Biologie(『理論生物学』、1920;1928)とBedeutungslehre(『意味の理論』、1940)を題材とする翻訳研究会を始めた。毎週1、2回。1回につき3〜4時間程度(そのうち1時間はだいたい雑談)。 誰かが書いたもの、それも他言語で書かれた書物を翻訳するのだから、当然ながら原著を骨の髄まで読み解くつもりでやる。不完全に終わるのは目に見えているにしても、そのつもりでないと全くやる意味がないし、著者に失

          memo:20221113_理論生物学

          読書録:Universe of the Mind; A Semiotic Theory of Culture, Yuri Lotman

          Universe of the Mind A Semiotic Theory of Culture , Yuri Lotman 冒頭、ゲーテ『ファウスト』の引用からはじまる。 考える脳(ein Hirn, das treffich denken soll)いわゆる優れた人工知能をつくるという難題に現代の我々も挑戦しているが、かつてロトマンの考えていた知能はもっと範囲がひろいように見える。脳、行動、言語、文化(e.g. 映画)を包括して、それらを意味的、構造的に分析しようと

          読書録:Universe of the Mind; A Semiotic Theory of Culture, Yuri Lotman

          The Twofold History of Laboratory Glassware/ Kijan Malte Espahangizi

          ユクスキュルのユニークな発想の源は、「ガラス容器」という閉じられた空間で行われた実験室実験だったわけだ。 "Flying Aquarium"というタイトルがまたいいね。

          The Twofold History of Laboratory Glassware/ Kijan Malte Espahangizi