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【シネマ歌舞伎・読書】海神別荘(泉鏡花・生誕150年)

 2023年10月28日(土)、神奈川県の橋本にある映画館・MOVIX橋本に、シネマ歌舞伎の『海神別荘』を見に行きました。メモを残します。

■泉鏡花・生誕150年

 泉鏡花は、1873年(明治6年)11月4日生まれの文学者です。今年で生誕150年。生誕日も、いよいよ来週に迫っています。
 松竹のシネマ歌舞伎では、10月下旬から11月中旬にかけて、「坂東玉三郎✕泉鏡花」の4作品を上映しています。

演目は、以下のとおりです。
第Ⅰ期:2023年10月20日(金)〜11月2日(木)
 ①シネマ歌舞伎「海神別荘
 ②シネマ歌舞伎「高野聖
第Ⅱ期:2023年11月3日(金・祝)〜11月16日(木)
 ③シネマ歌舞伎「天守物語
 ④グランドシネマ「日本橋

■「海神別荘」について

(1)あらすじなど

 『海神別荘』は、1914年(大正3年)12月、雑誌『中央公論』に発表された鏡花・41歳のときの 作品です。簡単なあらすじを図書館で借りてきた本(後述)より引用します。

雄大な海底世界へ、陸の世界から輿入れした美女は、実の父親にいわば売り渡された悲しい運命の持ち主だったが、何よりも自由を尊ぶ海底世界の王子によって、新しい生命を得る!

河出書房新社『鏡花幻想譚5 天守物語の巻』より

(2)シネマ歌舞伎

 今回のシネマ歌舞伎は、2009年7月に歌舞伎座で上演された作品を映画化したものです。
 主な出演者は以下のとおりです。端折り過ぎですみません。
・美女…坂東玉三郎
・王子(公子)…市川海老蔵(現・市川團十郎)

(3)記事に選んだ理由

 歌舞伎が上演された2009年7月、私は30歳前後で歌舞伎を観たことはありませんでした。当時一緒に働いていた先輩が、仕事帰りに歌舞伎座に行くというので、チラシを見せて貰いました。
 その中の演目の一つが『海神別荘』です。
 「現代演劇っぽいですね。」と話をして、先輩から「杜若も年齢が上がったら、歌舞伎を見に行くといいよ。」と言われたのを覚えています。
 ある意味、思い出の演目だったこともあり、今回記事に取り上げてみました。

(4)歌舞伎座さよなら公演

 もう一つ2009年7月について記載します。
 同月は、2009年1月から2010年4月までの16か月間、歌舞伎座で建て替え前の「歌舞伎座さよなら公演」が上演されていた期間中です。
 ネットで検索すると、同月の演目は、昼の部が『五重塔』『海神別荘』、夜の部が『夏祭浪花鑑』『天守物語』(今月のシネマ歌舞伎の1つ)でした。なんか豪華ですね。「五重塔」も幸田露伴が原作で、文学っぽい感じがしました。

(5)感想

 泉鏡花の詩的な台詞がびっしり詰め込まれていて、一語ずつ追うことは出来ませんでしたが、私は、キーワードとなりそうな言葉を拾い、ストーリーを追いました。事前に本を読んでおいた方が楽しめるかもしれません。

 そんなこともあり、帰りに、図書館で借りてきた本が、写真にも上げた『鏡花幻想譚5 天守物語の巻』(河出書房新社)です。私は、『海神別荘』や『天守物語』は小説だとばかり思っていましたが、戯曲でした。他方、他の巻に載っている『高野聖』は小説のようです。

 まだ読み終わってはいませんが、「鏡花幻想譚5」は、戯曲が4つ載せられていて、上演記録・解説などもあります。鏡花が書いた戯曲が新派で上演されたともあり、当時の世相を感じることが出来ます。そして何より、本などの解説を読むと、自分の感想とは違った解釈が得られ、俯瞰して作品を捉えられる気がします。

■最後に、坂東玉三郎さんについて

 作品上映の前に、坂東玉三郎さんのインタビュー映像が数分ありました。他作品も含め、これまで何回か見たことがあります。
 あまり、詳しくは書けませんが、文学作品を舞台化することの難しさや、観客に、読後感と同じ感情を持って頂くことが出来るかなど、面白い話を聞くことが出来ます。
 私は、歌舞伎を見始めて、まだ1年半ぐらいの初心者ですが、こうした役者の人の話を聞くのは好きです。漠然としていますが、玉三郎さんについても、もう少し追ってみたいと思います。

 最後に、玉三郎さんの『天守物語』は観てみたいので、11月にもう一度、シネマ歌舞伎には足を運んでみようと思います。

 本日は、以上です。

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