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メンヘラよ、クリエイターになれ。
俺はメンヘラが好きだ。
特に、日常における「なんだかなぁ」「あーあ」みたいな、なんとも言えないアンニュイな気持ちを、しっかりと言語化できるような人が好きだ。
世間一般の言う"エモい"の正体はコレだと勝手に思っている。それがメンヘラに限った話なのかはさておき、メンヘラというのは無駄に考え込んでしまうことが原因でメンヘラになっているため、一般的に元気な人とは世界の見え方が少し違うと思っている。
そしてきっと、そんな人たちだからこそ、誰かの言葉で救われた人・救われている人が多いと思う。だからこそ、そんな人たちが綴る言葉に魅力を感じることも多い。
ここからは完全なる独断と偏見でメンヘラという生き物がクリエイターを目指すべき理由を綴っていく。
暇なメンヘラは是非、これを読んでクリエイターかアーティストになってほしい。そしてこの記事を広めて俺を有名にしてください。あとこの記事に関する文句は受け付けていません。
#1 表現者は全員メンヘラである
まず最初に言いたいことは、この世にいるアーティストやクリエイターと呼ばれる表現者のほとんどがメンヘラだ。ということ。わからんけど。多分。いや、そうに違いない。
ほら、太宰治とかもめっちゃキモかったし。
俺は音楽が好きだからミュージシャンで例えてしまうけれど、野田洋次郎とか山口一郎とかも絶対メンヘラだと思う。大森元貴とか峯田和伸とか尾崎世界観とか椎木知仁とか。ミュージシャン以外も、浅野いにおとか矢沢あいとか高橋留美子とか藤本タツキとか、宮沢賢治とか芥川龍之介とか乾くるみとか辻村深月とか……。
なんかもう、もれなく全員メンヘラだと思う。どこまでが表現者に入るかは分からないけど、芸術的感性が他の人よりもある人は少なからず、浅い言葉で言うメンヘラっぽい傾向にある気がする。
#2 無駄に無駄なことを考える
「メンヘラが好きそうな作品を作っているから作者もメンヘラだ」という主張ではなく、元々そういうパーソナリティを持つ人たちだから、きっと人よりも色んなことを沢山考えてしまうからこそ、人々の心の隙間に寄り添えるような、人々の共感を得ることが出来るような作品が作れる。
「別にわざわざ口に出したり考えたりしないけど、そういうこと感じたことあるわ。」をしっかりと言語化し表現することで、人々の心を掴み、魅了することが出来るのだ。関係ないが、頼まれてもいないのに自分の考えを詩にして音をつけて全世界に公表するミュージシャンという仕事は、普通に考えて変態だ。
クリエイターにも同じような側面があると思っていて、特に僕がやっている広告なんかは、人々の共感や理解を得て、行動にうつさせる。「そうそう、それが言いたかったんだよね。」「確かにそうだよね、そうしてみよう。」を如何に引き出せるクリエイティブかが大切だ。
逆に一般的な感性からズレているような人が作る広告は、結構炎上したりする。
自分で音楽を作ったこともあるし、今まさにお金を貰いながらクリエイティブを担っている人間として、偉そうにクリエイターのアレコレを語らせてほしい。これは完全に持論だが、クリエイターにとって大切なプロセスは「思考すること」「言語化すること」そして「表現すること」である。人によっては言語化のプロセスを飛ばして表現できる人もいるが、アーティストではなくクリエイターという立場なら、そのやり方は少し厳しいと思う。
#3 メンヘラとクリエイターの親和性
メンヘラの凄いところは、そのうちの2つを日常的に行っているところだ。
まずは、「思考すること」。
これは言わずもがな。メンヘラという生き物は、別に深く考えなくてもいいようなことを、他の人は多分そんなに気にしていないであろうことを、いつまでもいつまでも深く考えすぎている。でも、人よりも色んなことを沢山考えすぎてしまうからこそ、あなたが持っている言葉は、誰かの心の隙間を埋めてくれる力を持っている。
そして、次に「言語化すること」。
意外とピンとこないかもしれないが、これもメンヘラたちの得意分野だ。何故ならメンヘラの99.9%は何かしらのSNS(主にX:旧Twitter)をやっているからだ。裏垢や病み垢、趣味垢など、自分だけの密かな想いを発散させる場所として、何かしら特定のコミュニティが形成されている"居場所"があるはずだ。
恐らく一度は見たことがあるだろう。「恋人に振られた」と一言でいえば伝わることを、まるで小説かのように盛大なストーリーとして呟くメンヘラたちのポストを。
これらの行動こそまさに、私たちクリエイターが日常的に行っている習慣なのだ。
もちろんこの3つ以外にも、必要なスキルや能力は山ほどあるが、この「思考→言語化」というプロセスは、我々クリエイターが日々行っていることであり、クリエイティブを担うための基礎だと思っている。クライアントついて考える、ターゲットについて考える、商材について考える、表現方法について考える。そして、考えたことを言語化することで、思考を整理し、表現に繋げるための準備をする。
前述した「表現する」については、経験や知識がモノをいうため、沢山行動して沢山勉強して沢山挑戦して沢山失敗して沢山怒られよう。
#4 クリエイターってなんだよ
じゃあ、そもそもクリエイターってなんだよ。って話である。
何やってんのかよく分からない胡散臭いやつに職業を聞いた時の答えで最も多いのが「コンサル」で、多分、第2位が「クリエイター」だ。
色んな定義があると思うが、自分の表現したいことを自由に表現することで評価されたりお金を貰えたりするのが 「アーティスト」だとしたら、会社や行政などからお金を貰って依頼された商業用コンテンツを作り出す人は「クリエイター」だと思っている。
そして、この世には意外とクリエイターと呼ばれる仕事は多く、とても幅広い。
例えば「デザイナー」という括りの中にも、広告、商品、空間デザイン、グラフィック、UIUXなどがあり、Webクリエイターの中にも、Webデザイナー、Webライター、Webディレクターがいたり。僕のようなライターの中にも、医療従事者向けのコンテンツを書くメディカルライターから、車や精密機器などの仕様書を書くテクニカルライター、ゲームのストーリーを考えるシナリオライター、そして広告コピーを考えるコピーライターなど、本当に様々だ。
他にも、プランナー、商品企画、カメラマン、映像制作、ゲームクリエイター、イラストレーター、エンジニア、脚本家やサウンドクリエイターなど、幅広く様々な業界でクリエイティブを担っている職業が存在する。
結論、顧客の要望に沿って、自分自身の頭の中にあるものを具現化する仕事は、全てクリエイターだといえるだろう。
#5 クリエイターになるには
漠然とクリエイターという仕事に憧れる人はとても多い。でもそのほとんどが、経験者採用・即戦力・専門職という壁にあたる。
中学生や高校生くらいの人であれば、美大や専門学校などで技術を学び、お金を貰うまでの準備をすることが出来るだろう。しかし、大学生や社会人にとって、今から方向転換をし出来るかも分からないコトに対して全てのコストをかけるのは、とても勇気がいる。
だからもし、今クリエイターに憧れている人がいるのなら、まずは沢山分析してみてほしい。
自分が本当に表現したいクリエイティブは何なのか。言葉や映像や写真など、何によってそれを表現したいのか、どうしてそれをやりたいのか、それをすることでどうなりたいのか、どんな影響を与えたいのか…。まずは、自己分析をすること。
そして、その自己分析はどこで実現できるのか。制作会社なのか、代理店なのか、メーカーなのか、出版社なのか。じゃあその会社に入るためにはどんな技術が必要なのか。経験者採用であれば、どれくらいの経験が必要なのか。その経験は働きながらでも身につけられるのか、講座などで受講できるのか、知り合いと一緒に制作物を作ることでも評価されるのか……など。
必ずしも1つの道にかけるのではなく、現在の生活とのギブアンドテイクで最短の道を探すのが理想的だといえるだろう。
中小企業であれば、ある程度努力の姿勢が見えると契約社員からの採用などチャンスが貰えるケースも多い。ちなみに、求人募集をかけていない会社でも、HPから応募すれば意外と応募書類を見てもらえるのは、中途採用の裏技だ。
#6 最後に
つらつらと御託を並べたが、結局何が言いたいかというと、色々と考え込んでしまう人は才能があるということだ。
きっと、人からのちょっとした言動や視線、自分の行為などに対して深く考え込んでしまう人は、そんな人生や自分が嫌になってしまうことも多いと思う。下手したら心の病につながってしまうかもしれない。
でも考え込んでしまうことは、自分自身と、自分の人生と、しっかり向き合っている証だ。そして、その厄介な性格はクリエイティブにおいて、様々なことに活かせる素敵な才能だ。
メンヘラはクリエイターになれとか書いたが、別にアーティストでもいいと思う。むしろ、自分の主張が明確にある人であれば、クライアントからお金をいただいてクライアントの要望を表現するクリエイターよりも、自分の好きなことを表現してお金が貰えるアーティストの方が向いているのかもしれない。
どっちにしろ簡単な道ではない。しかもクリエイターになった後の方が過酷なことが多くてめちゃくちゃ辛い。結果でしか評価されない。残業も死ぬほど多い。才能の無さに毎日泣きたくなる。
でも、僕はこの仕事をしている時が心から楽しいし、この仕事を誇りに思っている。
もし、この記事を読んでクリエイターやアーティストを目指したいと思った人は、いつか僕と一緒に仕事をしてください。待ってます。