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日常の話

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アタシチャンの側弯症の話
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記事一覧

さいかいの挨拶(病院)

 再会っていうか再開っていうか、コルセットが再開になった。コルセットは夏の間納戸に転がしてあったが、秋になって診察の日を迎えた。
 レントゲンを撮ってもらうたびにモニタの写真をスマホで撮ってくるんだけど、最新の写真は前のより曲がって見える。先生によると3度進みました、だが、帰ってから見返すと前回の写真に対して出したコブ角と今回出したコブ角の数値が違っていて、前回Kが撮った写真に残る数値と最新の数値

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さいかいの挨拶(学校)

 前回の受診の次の日はたまたま学校の運動器検診で、みんなにバレないようにどうやってコルセットを脱ぐかについて喧々諤々やっていたのが、想定外に外れることになってあれはなんだったんだろう…と思った夏の始まり。
 検診に来た先生にMがアタシチャンはそういうわけですと伝えると見た目全然分からないよと言われたということでなんだそうなんだ、もういいんだと思ったのだった。
 まさかのコルセット再開である。
 あ

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あの春は忙しかった

 この春休みは驚くほどヒマだった。中高両方入学の春に比べればそりゃヒマだろう。それから小学生のいない家庭の春休みはヒマなのである。もう中学生は小学校最後の春休みの小6を表現した芸人さんで、彼は中学生ではないのだ。
 だから去年のMはもう中学生の小学生で小学生のいない春休みは初めてだった。
 それにしたって前年比ヒマすぎではないか?と思い出すと洗濯機を修理したのと、側弯症の件があったのだった。
 装

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おしまいの覚書(学校)

 病院の帰りにMが言った。先生(イケボ)に報告する必要はないだろうかと。コルセットを着けて生活すると体育座りができないのだが、それだけで結構影響があった。何しろ中学校とは集団行動で、座らせるつもりなく集まった場面でちょっとその場に座ってなどと急に指示があることは少なくなく、するとみんなと同じにその場に座れないMは列から外れて端で立ってるとか、困ることがあるよと話していた。
 学年の先生がたはご存知

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おしまいの覚書(病院)

 コルセットの治療が一旦終わった。成長期が終わると共に中程度の側弯症の固定が終了、再びの経過観察である。
 これで進まなければ本当に(装具治療が)終了だし、進んだらネクストステージだ。先生はだからコルセット捨てないでねと言ったが、捨てるにしてもこれはどう廃棄するんだろう。
 病院に言われるままの治療をする上で禁止事項はない。例えば重いものを持つな、とか姿勢に気を付けてとかそういうことは一切なし。一

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インフォームドコンセント

 学校の内科検診で上半身裸になる必要があるかどうか、の論点に側弯症が渦中にいる。当事者の保護者としては強烈な違和感があるので書いておこう。
 炎上案件は女子児童が男性医師に上半身裸で診察されることへの不安についてのことで、検診の場に好んで同席する男性教諭がいる現実も知っているがそういう話ではない。そういう人びとは出て来ない。
 この話題について病気を見つけることより恥ずかしがる女児の気持ちを優先し

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アジフライはいつだってうまい

 Lが通う高校は指定の運動着がないので、ヤツは中学校の運動着を使っている。イケボに兄ちゃん中学校のジャージ着て学校行ってんだって?と言われてざわめく我が家だが誰だ、リークしたヤツめ!
 ってなわけで、Kは時々中学校の運動着を2着洗う。3歳差だから名前の刺繍の色も同じで当然同じ名字が入っていてサイズも同じ。ズボンはヒザにスライディングの痕あるのがLので、Mのシャツは後ろが傷んでいる。
 背中でスライ

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life goes on

 新学期が始まって、そういえばうちのはちょろっと配慮が必要な生徒で、クラス替えがあり担任も替わったのだから改めましてよろしく申し入れをした方がいいんじゃないかというわけで、担任誰?
 イケボです!マジかよ!
 Lの担任と同じ人なのだった。うちの事情をよくご存知の先生です、知っていただくほどの事情はないんですが、Mの事情は知っていただきたい。
 というわけで一筆したためたところ、さっそく大変な美声で

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たまに世界に失望する

 中学生で側弯症、の話を見つけて読んだ。保護者のブログで立場がKと同じところ。コブ角が10度台でうちでいうと、診断当時(小5)の数字と同じくらい、10度台では治療は始まらないんだよな。
 レントゲンで見れば曲がってんじゃん、と分かるのでもうすぐにでも固定なんなりと思うのは素人でちまたでは治療は25度から、と目安があるとか。
 だもんでこども病院初回は経過観察で何も起こらなかったのだけど、次行ったら

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雑な日常

 Mが側弯症である。なのでKは病気の子を持つ保護者なのだが何しろすこぶる元気な病人なので、すでに日常に溶け込みたまに病院に検査に行くだけでその時だけあーうちの子病気なんだーなどと思い出したりする。程度の保護者だ。
 症状がイージーなので装具さえきちんと着けていれば日常生活に制限はない。起きている時間の半分以上装具を着けて過ごさなければならないこと自体がものすごく制限がかかっていることである。という

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2年4ヶ月10時間2秒

 骨はプロに2秒見せる、と古賀及子さんの日記にあったけど、本当に2秒見せるためにはるばる高速に乗ってこども病院まで行くのだが、4ヶ月後に来てくださいと前回言われて4ヶ月経ったら病院はすっかり冬だった。
 前回は夏だった。
 Mは小さい頃腕を骨折したことがあり、別の病院に2ヶ月くらいかかったが、真夏の2ヶ月は季節が変わらないのでその病院は我々の中でずっと真夏の中にある。
 季節ごとに訪れているこども

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保健室は誰のものか

 保健室登校という言葉にはKが現役の学生だった頃から違和感があって、小学生の時はなかった概念かもしれない。
 不登校が全国的に問題になっていて、保健室登校って保健室にでも行ければというのが藁にもすがる思いであるんだろうなと思いを馳せる。
 小学校の保健室事情は分からないがMが中学校に上がって恒常的に保健室にお世話になるようになったので、通常営業の保健室の大変さを垣間見ることになった。
 授業参観の

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知識は目を曇らせるか

 子どもの異状って毎日見ている親は気づきやすいっていうか親が気づかなければ誰が気づくんだいという世界観がある。
 Mの側弯症は学校の運動器検診で、しかしプリントを読みつつ所見があるかどうか見たのはKである。書いてある通りの所見があったので申告した。その後子ども病院に繋がり、水泳やってる時に気づかなかった?と医師に聞かれたが、Kも製品の外観検査のプロなので知っています、その知識と意識を持って見ないと

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