講談社 凪良ゆう著 2023年 本屋大賞受賞
久しぶりに凪良ゆうの世界を堪能😆
やっぱりスゴい❤️情景が流れ出す🎵
花火、自転車、海。
彼女の作品には欠かせないシチュエーションであり、重要な展開の演出。
ヤングケアラー。毒母。
社会の片隅でもがきながらも自分だけの世界を夢に終わらず目的地として手にいれる楷。
同じような境遇から飛び出したいのに、母と言う荷物を捨てきれないで生きる暁美。
互いを必要としているのに、すれ違ってゆく心。
人はなぜ相手の心が見えないんだろう。
こんなにもお互いを求めているのに、些細な言葉ですれ違ってゆく。
各章毎に、楷から目線、暁美目線で出来事が綴られてゆくから、すれ違うふたりに、
「違うんだよ、彼はそんなこと思ってないよ」
「早く、今のうちなら間に合うのに」と読んでるこちらがそわそわハラハラさせられる。
相手を思うからこそ口にできない本当の気持ち。
少年から大人へと成長してゆくふたりを、読者は歯がゆい気持ちで見守るしかない。
二人にとっての救いは、北原先生の存在だ。
本当に今、彼らと同じような状況の人たちのそばに、北原先生がいればいいのに、と思ってしまう。
北原親子に、なつかしさを感じたのは、「わたしの美しい庭」の百音と統理に会えた気がしたから。
彼らは相変わらず、自分らしく潔く生きている。
だからこそ、暁美や櫂のがんじがらめの生き方に警鐘を鳴らせられるのかもしれない。
誰でもない、自分が思う「普通」を、ありのままに。
だが、それが一番むずかしいのかもしれない。
しばらくは、もう一度ページを開ける勇気がない。