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これは我慢だったのか?

フィギュアスケートというスポーツがある。
私がそれに一番ハマったのは18歳の頃で、フィギュアスケートの採点システムが大きく変わり、旧採点システムから現在の形にかわったのとほぼ同時期のころ、私はスケートに魅せられたのだった。
(荒川静香さんが金メダルを取った時代のお話です)

当時は男子にはあまり興味はなく(実際今も薄いのだが)いつも女子ばかり見ていた。
その年はトリノオリンピックシーズンで、恐ろしいほど日本女子の選手層が厚く、正直誰が代表になってもおかしくない状況だった。
浅田真央さんは快進撃を続けていたけれど、年齢問題でトリノには出られず、そんななか深いスケーティングでぐぃーんと金メダルをかっさらったのは荒川静香さんだった。

今でも時々、YouTubeなんかでですね、あの試合最終グループのスケーティングを見ることがあるんですよ。
あの頃はよかったです。
最終グループには順当にベテラン勢が勢揃いし、ムッチャクチャピリピリした空気で各々個性的な演技をしていた。
そして日本のNHK放送ですと、解説が佐藤有香さんで、その選手に対する分析力と愛情がとても伝わってきて面白かった。
誰かに向かって言ってるわけじゃないけどさ、上手いジャンプは「高さがあります」とだけ言えばいいわけじゃないからね。

とにかくあの解説を聴けば、佐藤有香さんがなぜコーチになったのか、どれほどスケートを愛しているかが伝わってくる。
ちなみに彼女は現役時代もいまも、スケーティングがとにかくうまい。それは「熱々のトーストの上のバター」と評された。
スーッとよく滑り、また深いスケーティングなのだ。フィギュアスケートの真髄はスケーティングなのだと、彼女を見ていただければ分かるはず。

だから彼女の解説をもう聴ける機会がなさそうなのは残念なのだけど、彼女が育てる選手はみな基礎がしっかりして美しいのでそれに期待したい。
本当にいい解説だったんですよ。
選手の良いところ悪いところを的確に指摘する。しかも分かりやすく端的に。だからコーチになるのも頷けるのだ。

そんな、もう十数年経過した話を、いつまでもするわけにはいかない。
このところ私はスケートにあまり興味を持っていないのには理由がある。

それは別に、フィギュアスケートがジャンプ偏重主義になって、ひたすらジャンプの上手い選手ばかりが表彰台にのぼり、誰を見ても演技構成が一緒状態になったからではない。
盛大なドーピングが行われたからでも、髪の毛がぐわんぐわんの鬼コーチがいたからではない。

なんだかね、集中力というものが根こそぎうばわれちゃったんですよね。
もう寒い季節にテーブルで、じっくりスケートを見る体力が、ない。

もう今シーズンもそろそろ幕開け。
きっといろんな選手がバンバン滑ってますが、テレビの主導権は我が家の長男がキーキー喚きながら握りしめているため、なかなか見ることができません。
そうこうしているうちに今や選手をみても名前が出て来ず、ひたすら宇野昌磨くんの色気ばかりを追う日々。
はい、もともと女子にしか興味なかった私ですが、今や断然宇野くん推しです。
女子もね、頑張ってるんだけどね。
なんだかね、一度離れてしまうとなかなか戻りづらいよね。
で、こねこねしているうちに宇野くんも引退、っと。

そんな怠惰な感じでスケートから離れていってしまったわけですが、スケートから離れた大きなきっかけはやはり

育児。

ポケモンから離れた理由も育児だったりするので、育児というものはどうしてもどうやっても母親からゆとり的な部分を結構ガッツリ奪っていく。
だからといって私は今頃になって
「私お母さんだから」
的な恩着せがましい歌を彷彿させるつもりはない。

アレですよ。

それが自然の摂理

っつーもんですよ。

出産してしばらくすると、子ども以外の興味は急速に薄れる。
多胎児育児や年子なんかだと尚更で、そりゃあもうびっくりするくらい世間から切り離され、気がついたらおかいつのお兄さんお姉さんとワンワンに虜だったりする。
かく言う私もワンワンに癒され、サボさんのダミ声を無性に聞きたくなり、ピタゴラスイッチは子どもよりも楽しみにしていた。
これが子育て界のスタンダードであり(多分)時計がわりに!BGMに!とEテレ流しっぱな家庭も多いはずである。我が家はそうだった。
無論例外は認めまくる。

で、長くなってしまったが、これらの変化が我慢だったのか?という話である。
わたし自身は正直言って、我慢したなぁという自覚はほぼない。
唯一我慢したなぁという記憶があるのが、娘が生後半年くらいまでの期間くらいで、その期間はテレビやら何やらが今まで通り見られず悶々とした記憶がある…、がもうほとんどわすれている。

これらの変化、つまり好きなフィギュアスケートや興味が、気が付いたらおかいつワンワンサボさんに変わってしまったのは、

適応

なのではないか?という話である。

私としては育児及び家庭を作り上げる上で大切なものは何か?と聞かれたら

受容と諦め

と答える。
育児にはどんな子どもも受け入れる受容が必要であるし、高望みをしない諦めも必要だからだ。
ちなみにこれはパートナーにも、義母義父にも、はたまた介護等にも必要なスキルであると、常々考えている。
さてこの、受容と諦めであるが、これが苦手な方にとっては育児というのは苦難に満ちてくる。
ぶっちゃけ

エリートという自覚のある方

は注意されたほうがいい。
今までは自分が人生の中心であり、自分が努力さえすれば勝ち上がって行けたのだが、子どもという存在ができるとそうもいかない。
例えばバリキャリでフルタイムで仕事して稼ぎまくりたいと考えた時、

子は足かせ

と言っても過言ではないのだ。
そこで、満を持しての受容と諦めの出番である

子を持つ事、育児というのは我慢の連続という方は多くいるが、私はそうは思わなかった。
自覚がなかっただけかもしれないが、唯一我慢したなと思ったのは、水曜9時からのほんまでっかTVが全く見られなくなった事くらいで、今となってはほとんど覚えていない。仮に覚えていたとしても、おそらくほぼテレビ関係なので、大したことではないのは間違いない。

でね、忙しさに追われているとね、気がついたら忘れちゃうんですよ。
私は自宅にCDコンポが置けなくて(赤ん坊が破壊するから)

宇多田ヒカルの新譜を聴くのは2年も経ってからだった

事があるし(実話)
宇多田ヒカルのライブにも、絶賛ご懐妊重症悪阻で行けなかったこともある。

でも別に我慢したなんて思わなかったですよ。
気がついたら何もかも終わっちゃっていただけで。
そして今はスケート見る余裕もあるはずなのに

気がついたら好きという気持ちも薄らいで

もうどうでも良くなっちゃってる。

これを我慢って言うんですかね。
むしろ変化や適応なのではないかな。


なんでね、今をときめかないはあちゅうさんへ。
子どもと2泊4日ベトナム旅行して、翌日子どもが体調不良でパーティー行けなくなったと、ぴえんしなくていいんですよ。

子育てなんて一瞬だから。

もっというと子育てで我慢する瞬間なんて

もっと一瞬

だから。



みなさん趣味や楽しむ時間が欲しいと思います。でもね、怠惰に過ごして子育てしているとですね、

全て忘れます。

今まで生きていて1番怠惰が役に立ったのは、この趣味を忘れた瞬間だなと正直思いました。
なので、怠惰な皆さん、我々は適応できます。
比較的ストレスなく趣味を手放し子育て適応が出来るのです(え?)

結論というか着地がおかしいですが、子育ては意外と怠惰勢が適応しやすいと思うので、怠惰な方はぜひ誇りを持って怠惰してもらいたいですね。まあ子育ても落ち着けば、慣れがきたらいくらでも趣味楽しめるし、もしくは

忘れるんでね。

あまりモヤモヤせず、怠惰に生きたいですね。




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