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【ブックガイド】1行の驚きを、感情が追い越した。「どんでん返しミステリ5選」

それが紙であれ電子書籍であれ、ミステリを名乗る小説を読むときには、その「1行」がいったいどこに(どのページの何行目に)現れるのか、恐る恐る、びくびくしながら、読んでいる気がします。いちばんこわいのはページをめくった途端に、「視界の左端」にその「1行」が見えてしまったとき。そこに至るすべての過程を一つ一つ丁寧に辿ってその「1行」にたどり着きたいのに、先に目に入ってしまったときには、「ああなんてことをっ」と、後戻りのできない絶望にもだえ苦しむことに――というのは言い過ぎでしょうか。

その「1行」というのは、ほかでもない、「どんでん返し」の1行です。それを読んだら、これまで読んできたものが表情を変える。世界は裏返り、意味は反転する。驚きのあとで、ようやく理解と、感情が追いついてくる。そうか、そういうことだったのか。だとしたら、あの場面は、あの人は。――この物語は。

あまたある「どんでん返し」の作品群のなかから、今回お届けするのは、追いついて湧き上がってくる感情があまりにも強烈で、さっきまでの驚きをすっかり追い越してしまうような、5つのどんでん返しミステリです。

※本記事は2024年4月20日にカドブン(kadobun.jp)に掲載した記事を再編集したものです。


世界は裏返り、意味は反転する。
おすすめの「どんでん返しミステリ5選」

浅倉秋成『家族解散まで千キロメートル』(KADOKAWA)

〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。どんでん返し家族ミステリ

実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?

KADOKAWAオフィシャルサイトより引用

★『家族解散まで千キロメートル』関連情報はこちらをチェック!


伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)

第25回吉川英治文学新人賞受賞

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。解説=松浦正人

東京創元社オフィシャルサイトより引用

澤村伊智『予言の島』(角川ホラー文庫)

初読はミステリ、二度目はホラー。この島の謎に、あなたもきっと囚われる。

瀬戸内海の霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が最後の予言を残した場所。
二十年後《霊魂六つが冥府へ堕つる》という――。

天宮淳は、幼馴染たちと興味本位で島を訪れるが、旅館は「ヒキタの怨霊が下りてくる」という意味不明な理由でキャンセルされていた。
そして翌朝、滞在客の一人が遺体で見つかる。しかしこれは、悲劇の序章に過ぎなかった……。

すべての謎が解けた時、あなたは必ず絶叫する。
再読率100%の傑作ホラーミステリ!

KADOKAWAオフィシャルサイトより引用

道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫)

道尾秀介の描く青春は切なくて可笑しくて、悲しい

秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が……。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。

文藝春秋オフィシャルサイトより引用

夕木春央『方舟』(講談社文庫)

極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。

友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。
いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。
生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。

講談社オフィシャルサイトより引用

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