シェア
蕪木 夏芽
2022年6月15日 07:46
まずは全5話、最後まで読んでくださった貴方に感謝し申し上げます。そもそも自分の小説を人の目に触れるところに投稿したのはnoteが初めてです。「スキ」や「コメント」を残してくださる読者がいることに、感謝・感激しております。今回の作品「自動販売機と優しい嘘」に関しては、2点書き記しておきたいことがあります。初めて最後まで書き切る前に公開し始めた。初めて伝えたいことを明確に決めずに書き
2022年6月14日 07:47
小川くんと武村くんと私は、複合型商業施設の2階にある連絡通路に向かっていた。連絡通路の先は、最寄り駅の改札前まで繋がっている。私はこの2人と同じ方を向いて帰るので、過去に何度か一緒に帰路に就いたことがあった。3人ともローカル線を3駅先まで乗り、一度大きな路線に乗り換える。そこから小川くんは3駅、武村くんは4駅、私は6駅先が自宅の最寄なので、私が1番帰宅に時間がかかる。今来た電車にすぐ
2022年6月10日 09:06
結局、ボウリングの結果は散々だった。仲間だと思っていた美玲ですら、隣のレーンで80前後のスコアを上げている。その半分ほどしか取れていない私は、同じレーンの仲間たちに平謝りするしかなかった。そんな私を見て、高山くんは「藤崎さん、ナイスファイト」と笑って言ってくれた。因みに、高山くんは1ゲーム平均130くらいは記録していた。優勝は平均スコア200超えの木下のいた5番レーンで、最下位は1番
2022年6月9日 08:49
ランチ後は部活のある人もいたので、ボウリングの参加者は28人だった。このボウリング場は、1レーン最大で6人まで登録できるようだったが、今回は2つの理由で5・5・5・5・4・4の組み合わせにした。1つは、レーン毎の対抗戦にしたかったので、人数差をなるべく少なくするため。もう1つは、他のお客さんの迷惑になりにくいようレーンを2つずつボックスで使うためだ。レーン分けのくじ引きは、事前に作ってお
2022年6月7日 07:56
午前で修了式が終わり、午後は待ちに待った打ち上げだ。高校生なので、やれることなんて知れている。近くの複合型商業施設でランチして、ボウリングして、プログラムは終了する。その後は流れに身を任せるが、各々の夕飯までには解散することになるだろう。私は幹事としてランチとボウリングの予約、そして女子への連絡と出欠確認をした。ランチの店は木下のオススメのところに決めた。木下曰く、味も雰囲気もファミ
2022年6月4日 07:45
今日、私は清水の舞台を飛び降りるつもりだ。これまでの人生で、こんなに覚悟を決めたことがあっただろうか。いいや、ない。だって、人生で初めて好きな人に告白するのだから。初恋は小学5年生の時。相手は小1の時に同じクラスで仲の良かった男子で、小5で再び同じクラスになったことがきっかけだ。当時はただの遊び仲間だった彼も、4年の間に少女漫画を齧った私にはひたすら眩しかった。好きだと気づいた次
2022年6月3日 07:29
私が妊娠したのを機に、松田家は一戸建てに引っ越すことになった。本当は出産前に引っ越したかったが、想像以上に家探しが難航してしまい、最終的に引っ越しが完了したのは、息子の隼人が1歳の誕生日を迎える頃だった。生まれたばかりの子どもとのマンション生活は、精神衛生上よくはなかった。子どもが泣く度に近所迷惑になっていないかを考え、泣き止ませようと必死になっていた。当時は、こちらがどれだけ必死になっ
2022年6月2日 08:03
それから数日後。近所のスーパーから戻ってマンションに着いた時、集合玄関機の前で大家さんに声をかけられた。「松田さん、先日はタオルを拾ってくださってありがとうね。205号室の佐野さんが落とされたみたいで、問い合わせがあったよ」上の階の人はどうやら佐野さんと言うらしい。郵便受けに貼ってある表札代わりの札を見れば分かることだが、そういえば一度も確認したことはなかった。「ああ、それと子ども
2022年6月1日 08:03
このマンションの105号室に越して来て、2年が過ぎようとしていた。にも関わらず、私たちにはまだ知らないことがあった。上の階にどんな方が住んでいるのか、ということだ。逆に知っていることもある。105号室のちょうど真上である205号室には、少なくとも3人が住んでいる、ということだ。このマンションは壁が厚いようで、両隣ともそれほどノイズはない。一方、天井からはよく音が響いてきて、この2年