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デートで見せるべきは、強みではなく弱み
意中の相手から好かれたい
全ての人間が、一度は思ったことがあるだろう。そのために我々はあらゆる策を弄してきた。
種の保存欲求がある人間は、本能的に自分の分身を残そうとする。そのために、つがいを求める。より良いつがいを獲得するため、我々は必死で人生を生きてきた。
だが、我々の不幸は、その「良いつがい像」を捻じ曲げられていることである。いや正確には、「正しいつがい像」を社会が教えてくれないこと。これが人類最大の過ちなのだ。
人間には、狩猟採集時代からの本能が残っているという説が根強い。男はより強く、より大きい獣を狩る役割をいかに全うするか。女は近隣の人間たちと調和をはかり、採集や子育てに努めるという役割をいかに全うするか。その全う度合いが高ければ高いほど、そのコミュニティにおける地位が高い。つまり、「存在価値が高い」ということになる。だから、雑な言い方をしてしまえば、男は「良い女に選ばれるため」に戦闘力を磨き、女は「良い男に選ばれるため」に魅力を纏う。
その呪いが、この2024年にも色濃く残っている。むしろ悪化しているのではないか。狩猟採集時代に自殺という概念があったのかは知らないが、これほどまでに「存在価値がないから」という死刑宣告を受けてバタバタと人が死んでいくのが現代。「獣を狩る戦闘力」は、経済力・対人威圧力に置き換えられ。男が狩る対象は、獣から自分以外の男にすり替えられた。そして「魅力」はルッキズムという追い風を受けてさらに悪化している。黄金比にいかに近づき、それを体現しているか。その究極のせめぎ合いの中で、女は近隣との調和と罵倒を日々繰り広げる。この波に乗れない男女は、「生きている価値がない」という罵声を、どこからともなく浴びせられる。
意中の相手から好かれ、選ばれること
このゴールを達成するための鍵は、やはり上記。対峙する意中の女性に対して、「私はあなたがアクセス可能な男たちを、全員狩り殺せる強い男なのです」とアピールすること。結果、女性が「最も強い男である」と認定すれば、男側のゴールは達成される。
雰囲気の良い店に行くと、今日も上記の戦が繰り広げられている。魅力を纏った女性に対して、男は熱をもって己の存在価値を証明しようとする。その会話は、ほとんどが嘘にまみれている。その人間たちの、奥底の生臭い本音に蓋をした、仮初の悲しい言葉たちが宙を舞っている。そんな言葉たちに包まれていると、私は私で、毎日死にたいと思っていた前世を思い出してしまう。
意中の相手から好かれ、選ばれるために
ズレたゴール設定に囚われていた頃。私はどんな日々を過ごしていて、どんな振る舞いをしていただろうか。今、そんなことが頭をよぎってしまう。
どんな日々を、と考えるとシンプルに
「獣を狩る戦闘力」は、経済力・対人威圧力に置き換えられ。男が狩る対象は、獣から自分以外の男にすり替えられた。
これを獲得するため、ただそれだけの日々だった。男女複数で楽しく話している中で、男同士の仲の良さを必死にアピールしようとも、結局は「俺のほうが優れている」ことを世界に知ってもらいたい、ただそれだけの時間。本当に本当に、くだらない時間を過ごしてきた。
女性と会う時は、1時間前から気怠い体に鞭を打って動き出す。ああ、しんどい。ああ、辛い。その想いを必死で掻き消しながらシャワーを浴びる。鈍い所作で保湿をし、髪のドライ時には必死に「さりげなさ」を体現するためのスタイリングをし。好きでもない服を着て、好きでもないアクセサリーを着けて家を出る。
会うまでが本当に辛い。どれだけ「別にどう思われても関係ない」と取り繕おうとも、100%嘘になるから心は誤魔化せない。本当にどう思われても関係ないなら、なんでわざわざシャワー浴びて髪型作ってんだよ、という話。
そんな気怠さと、いつまで経っても消えない緊張と辛さがMAXになり、その場に顔を出す。二人で会う時は、元々暗いキャラをそのまま出せば良いが、複数人の時は気持ち、声を張らないといけないから余計にダルい。
2022年3月24日16時、曇天。24歳、歯科衛生士の子(ミサ)と会っていた。
160cmほど、明るめの茶髪ロング。大きく鋭い目が特徴の、美しいミサ。強めの印象とは対照的な、物腰の柔らかい子だった。
選ばれる男であらねば
そんなズレた思想を持っている私。今思い返せば、その声や表情、言葉選び、話題、所作、全てが気持ち悪い。マネキンのような、体温のないのっぺらぼうの男。全て、見え方を意識した、気持ちの悪い男。それが私。
出会い頭、互いの何気ない、取り繕った心情を共有し。店員さんがきてくれたタイミングでそつなく注文をし。そんな、なるべく隙のない、つまらない台本をなぞっていく。
私:「今日休み?」
ミサ:「今日休みで、たまたま。振替で休みで」
私:「ああ。せっかくの休みなのに、この天気」
ミサ:「ねー。桜咲いてんのに、ちょっと微妙」
そんな、全く感情の動かない会話を重ねていく。つまらない。つまらなすぎる。自分から誘っておいて、本当にしょうもない男。
なぜつまらないのか。それは、俺自身がつまらない男だからだ。自分と向き合わず、世間の呪いに冒されたまま甘んじているのは、その根本にある怒りを植え付けた親と向き合えていない、親に負けたままのクソ雑魚の自分だから。だから、今この瞬間を、呪いから解放されて楽しめない。だが、この時の私がそんな世の真理、気づけるはずもない。うんざりする自身に打ちのめされながら、顔には微笑みを貼り付けて、女性と、薄っぺらい会話を重ねていく。
私:「仕事忙しい?」
ミサ:「んー、わりと。でも19時半には終わる」
私:「19時半」
ミサ:「ん、ちょっと伸びて、19時半ぐらいには」
私:「ちょっと遅いぐらい」
ミサ:「そう。職場変えたばっかで、まだ一ヶ月半ぐらい」
私:「まだ、人間関係が」
ミサ:「そうそうそう、ちょうど出来あがってきた、ぐらい」
私:「おつぼねに意地悪されてない?」
ミサ:「笑 おつぼねはでもいる」
私:「笑」
ミサ:「おつぼねに気に入られてるから大丈夫笑」
どうでもいい世間話から、徐々に互いの話に入っていく。そして、気持ち程度の笑いが会話に混ざってくる。互いに仮面を被り、互いに気を遣いあって、懸命に会話を楽しいものにしようとする。
その中で、ミサからもちょいちょいジャブが来る。あんたはどうなの?と。そして私は私で懸命に、会社経営者、事業はうまくいっていて割と暇であるというイヤらしいアピールを、いかに間接的に伝わるか、という思想のもと、そつなく返していく。へぇー、と、ミサの反応が返ってくる。
私:「ナンパされないの、お客さんから」
ミサ:「笑 うーん、たまーにあるけど。上手いこと交わすよね」
私:「笑」
ミサ:「あ、ちょっと怒られちゃうんで〜って」
私:「お前ごときが私を口説いてんじゃねーよって?」
ミサ:「ちがう笑」
だんだんと、会話のテンポが上がってくる。中身のない、掛け合いの段階。「男を見下す高飛車美女」という仮想のキャラで、些か会話の温度が上がる。
私:「番号とか渡されてもね、捨てるしかないもんね」
ミサ:「あ〜、って。まあでも一応もらう笑」
私:「笑」
ミサ:「その後に、なんか、保険証出すじゃん? で、全部分かるから笑」
私:「うわ、通報するわ」
ミサ:「笑」
私:「あーここかあ、って」
ミサ:「こういう仕事してんのね、はいはい、って笑」
私:「外資コンサルなら返すんだろ」
ミサ:「笑」
はい。一定、温度感が高まりました。お互いに波長合いますよね、の空間を演出する。そしてその後、互いに仲間意識という錯覚の前提のもと、「あなたは私を傷つけませんよね?」というある程度の安心のもと、より話を深めていく。深いと言っても、陸から底が見えるほど、浅い浅い川レベルでしかないが。そして大抵、元彼・元カノ話と相場は決まっている。ああ、本当につまらない。自分で誘導しておいて、ミサの元彼話に移行しておいて、本当に酷い話だが。
ミサ:「(元彼が)茨城に住んでて。若干遠くて、なんか、遠距離でもない。中距離って一番よくないなって思って。頑張れるところを頑張らなくなって」
私:「ああ」
ミサ:「マジで遠ければ、しょうがないなってなるんだけど。頑張ろうよそこってところを頑張らなくなっちゃって、うまくいかなくなっちゃった、って感じ」
私:「……」
ミサ:「向こうも就職したてで、大変だったみたいで。だから、なんかもう、いいや、って。ふふ笑 でも(付き合ったのが)一年ぐらい、かな」
そうして、お作法をわきまえているミサは、駿くんは?と俺に話を振る。で、俺は俺でお作法通りに回答し、お作法通りにまたミサにボールを渡す。
ミサ:「(元彼が)めっちゃ子供だった。友達とかに話すと、絶対やめた方がいいそいつ、ってみんな言われてたから笑」
私:「笑」
ミサ:「みんなに言われる人ってやっぱそうなのかなーって」
私:「自分は好きだからね」
ミサ:「そう笑 自分は好きだから見えてないんだけど」
私:「え、何言ったら反対されてたの」
ミサ:「金遣い、とか」
私:「へえ」
ミサ:「自分の給料に見合わない使い方をしてて。それでなんか、うん、みんなには、いや使いすぎでしょ、みたいな。やばいよそれ、って」
私:「ブランド物とか」
ミサ:「うん、ブランドとか好きだった。けど、そんなの、買っていい御身分じゃない。ブランド物とか買う?」
ミサから振られた。特に意識はしてないだろうが、仮にこれが何かのチェックなのであれば。いわゆる「元彼との対比」なのであれば、減点しないように返しておけばいい。
私:「いや、あんまり。シャツだけ買ったぐらい」
ミサ:「ふーん。え、何にお金使うの?」
私:「何に使ってんだろうね」
ミサ:「笑」
あんま興味はないけど、たまに買うよ、という中身のない回答をする。
そして、話をまた戻す。
私:「でも金遣いが別れた理由じゃないでしょ」
ミサ:「うん、すごいよくわかったね」
私:「別にね、ブランド物買ってようが」
ミサ:「うん……でもまあ、自分も頑張らなくなっちゃったのかなって。自分も悪いとこあったかなぁ、って」
そう言って彼女は話を逸らし、また俺に振ってきた。ああ、あんまりその話はしたくないのかな、と理解ある男を演じ、その後は終始当たり障りのない、発狂するほどつまらない会話に興じて終わった。
お互いに気を張り、牽制し合い。互いに「私は魅力的な人間なのですよ」を必死にアピールしようとすると、このような、地獄の会話で終わる。1時間弱会話をして分かったこと。俺からすれば、「美しい、会話も波長も合う、気を遣える女性」であることだけ。そしてミサからすれば、「最低限金は稼いでいて、会話も波長も合う、割と共感力もあるのかもしれない男」という情報だけ。1時間近く一緒に過ごしたのに、「私」という人間と「ミサ」という人間のことは、一ミリも分からなかった。「私」と「ミサ」という着ぐるみをきた別人がすり替わっても、まったく同じ結果になっていたであろう、薄っぺらさの極みのような会話。このような地獄の会話が、今日も日本中で繰り広げられている。その担い手の一人である私は、その後も何度かミサと会ったが、結局互いのことはよくわからなかった。私はミサよりも「美しい、会話も波長も合う、気を遣える女性」を見つけ、その人と付き合った。そしておそらくミサも、俺よりも「金を稼いでいて、会話も波長も合う、共感力もある男」と付き合ったのだろう。そして互いに中途半端にその相手と付き合い、別れ。そしてさらに己を磨き市場価値を高め、より条件の良い相手と中途半端に付き合い。おそらくは30前後、己の市場価値が頭打ちになった時点で目の前にいる相手を最高のパートナーと自己洗脳し、「私はこの人を愛している」と必死に言い聞かせ、自分のことも相手のこともよく分からないまま退屈な日々を過ごしていく。「人生こんなもんだろう」と、自身の在り方に無理やり納得し。退屈さにスパイスを加えて、時折不倫という劇薬をたまに摂取しながら。まあ私は不倫に興じる前に、鬱病になって株価が大暴落し現在に至るわけだが。
本題に戻る。
なぜ、つまらない会話しかできないのか。
なぜ、自分のこともよく分からず、故に他人に踏み込めず、故に他人と深い関係を築けないのか。
意中の相手から好かれ、選ばれること
これをゴールに設定してしまっているから。
このゴールを達成するための鍵は、やはり上記。対峙する意中の女性に対して、「私はあなたがアクセス可能な男たちを、全員狩り殺せる強い男なのです」とアピールすること。結果、女性が「最も強い男である」と認定すれば、男側のゴールは達成される。
これに囚われているから。根本がズレているから、生き方も会話も全てがズレていき、つまらないものになってしまう。
ではなぜこれに囚われてしまうかといえば、
その呪いが、この2024年にも色濃く残っている。むしろ悪化しているのではないか。狩猟採集時代に自殺という概念があったのかは知らないが、これほどまでに「存在価値がないから」という死刑宣告を受けてバタバタと人が死んでいくのが現代。「獣を狩る戦闘力」は、経済力・対人威圧力に置き換えられ。男が狩る対象は、獣から自分以外の男にすり替えられた。そして「魅力」はルッキズムという追い風を受けてさらに悪化している。黄金比にいかに近づき、それを体現しているか。その究極のせめぎ合いの中で、女は近隣との調和と罵倒を日々繰り広げる。この波に乗れない男女は、「生きている価値がない」という罵声を、どこからともなく浴びせられる。
この呪いに侵されているからだ。自身の生きている価値を世の中に預けてしまい、本当に自分が欲するものから目を背けているから。なぜ目を背けてしまうかといえば、「本当に欲するものなんてどうせ手に入らない」ことを、不幸面を引っ提げた親たちから、その全身をもって教わり、押さえつけられているから。
我々が人生で欲しているのは、絶対的な安心感に包まれること。いくら頑張っても、「お前には価値がない」と呪いをかけてくる世間ではなく、「頑張らなくていいんだよ」と言ってくれる存在。ありのままの裸の自分を絶対的に受け入れてくれるパートナーの存在。
これを手に入れるためには
いくらでも替えの効く「俺は・私は、こんなに価値がある」をひけらかしている限りは、永遠にそこから遠ざかる。永遠に手にいれることができない。
100%の自分の弱さ、醜さ。自分の生い立ちによって形成された、唯一無二の、80億分の1のストーリー。これこそが揺るぎのない、絶対的な我々の価値なのだ。
本題である、
デートで見せるべきは、強みではなく弱み
これに尽きるのだ。強みに価値はない。弱みこそが価値を持ち、我々が本当に欲する場所へと導いてくれる。
弱みとはつまり、私のドス黒い本音。醜い、どうしようもない本音。
弱みを出すためには、毎秒毎秒、本音で生きなくてはいけない。「0.0秒の本音」に従って生きていく、その鍛錬を積み重ねていくしか道はない。
女性と会う時は、1時間前から気怠い体に鞭を打って動き出す。ああ、しんどい。ああ、辛い。その想いを必死で掻き消しながらシャワーを浴びる。鈍い所作で保湿をし、髪のドライ時には必死に「さりげなさ」を体現するためのスタイリングをし。好きでもない服を着て、好きでもないアクセサリーを着けて家を出る。
辛いのなら、女性と会うな。暇で暇でしょうがない、本心から「会ってみたい」と思わない限りは、外に出るな。
私:「でも金遣いが別れた理由じゃないでしょ」
ミサ:「うん、すごいよくわかったね」
私:「別にね、ブランド物買ってようが」
ミサ:「うん……でもまあ、自分も頑張らなくなっちゃったのかなって。自分も悪いとこあったかなぁ、って」
そう言って彼女は話を逸らし、また俺に振ってきた。ああ、あんまりその話はしたくないのかな、と理解ある男を演じ、その後は終始当たり障りのない、発狂するほどつまらない会話に興じて終わった。
「つまらない」とぼやくぐらいなら、お前が面白い会話をしろよ。お前が、自分の恥部を曝け出して、面白い場にしろよ。お前がクソつまらない、「理解ある男」を演じてるから、彼女も曝け出さないんだよ。お前が格好つけてるから、彼女もそれに汚染されて、格好つけざるを得ない状態になってんだよ。だから、「自分も悪いとこあったかなぁ」なんて、薄寒い、思ってもないことを吐いてんだよ。てか、「それ本音じゃないでしょ」って踏み込めよ。
ミサ:「(元彼が)茨城に住んでて。若干遠くて、なんか、遠距離でもない。中距離って一番よくないなって思って。頑張れるところを頑張らなくなって」
私:「ああ」
ミサ:「マジで遠ければ、しょうがないなってなるんだけど。頑張ろうよそこってところを頑張らなくなっちゃって、うまくいかなくなっちゃった、って感じ」
私:「……」
ミサ:「向こうも就職したてで、大変だったみたいで。だから、なんかもう、いいや、って。ふふ笑 でも(付き合ったのが)一年ぐらい、かな」
「なんかもう、いいや、ってなに?」って聞けよ。
「……」じゃねえよ。自分が曝け出して、相手に興味を持って踏み込まないから糞つまらねえ会話になってんだろうがよ。だからお前は、誰とも深い関係を築けないんだろうがよ。
2年前の自分を思い出すと、本当に気持ちが悪くなる。鳥肌が立つ。胸糞悪い。
「2年前の自分が気持ち悪かった」ことになぜ気づけたかといえば、人生の課題と向き合ったから。人生の課題とはつまり、親の課題だ。つまらない会話しかできない人間、故に人と深い関係を築けない人間は必ず親の課題が残っている。生まれて最初に会う人間である親に・最も愛情を欲した相手である親に傷つけられたから。弱い自分を晒しても受け入れてもらえなかったから。だから、人に己を晒せないのだ。それがよく分かった。
鬱病になって死にたくなったのは、親に負け続けていたから。
誰とも深い関係を築けなかったのは、親に負け続けていたから。
改めてこの真理を思い出した今日。
親を完膚なきまでにぶちのめしたはずの私は、次のステップに行かなければ。
意中の相手に、決して強みをひけらかそうとしてはならない。
今この瞬間の、身体から湧き上がってくる「0.0秒の本音」を。100%の弱みを、差し出していかなければ。
以下の長編小説、企画出版希望です。
編集者や出版関係者でこちらの内容を本で出版したい、と思ってくださる方は、
こちらまでご連絡ください。
第一弾:親殺しは13歳までに
あらすじ:
2006年。1日に1件以上、どこかの家庭で親族間殺人が起きている国、日本。そんな国で駿は物心ついた頃から群馬県の田舎で、両親の怒号が響き渡る、機能不全家庭で生まれ育つ。両親が離婚し、母親が義理の父親と再婚するも、駿は抑圧されて育ち、やがて精神が崩壊。幼馴染のミアから洗脳され、駿は自分を追い込んだ両親への、確かな殺意を醸成していく。
国内の機能不全家庭の割合は80%とも言われる。ありふれた家庭内に潜む狂気と殺意を描く。
第二弾:男という呪い
あらすじ:
年間2万体の自殺者の山が積み上がる国、日本。
想は、男尊女卑が肩で風を切って歩く群馬県の田舎町で生まれ育つ。
共感性のかけらもない親たちから「男らしくあれ」という呪いをかけられ、鬱病とパニック障害を発症。首を括る映像ばかりが脳裡に浮かぶ。
世界中を蝕む「男らしさ」という呪い。男という生物の醜さと生き辛さを描く。
第三弾:監獄
あらすじ:
21世紀半ば。第三次世界大戦を経て、日本は「人間の精神を数値化し、価値算定をする」大監獄社会を築き上げていた。6歳で人を殺し人間以下の烙印を押された大牙(たいが)は、獲物を狩る獲物として公安局刑事課に配属される。最愛の姉に支えられ、なんとか生きながらえていた大牙は、大監獄社会の陰謀に巻き込まれ、人として生きる場所を失っていく。
あるべき国家運営と尊厳の対立を描く、理想郷の臨界点。