納得感ある評価のための第一歩。人事評価で”Recency Bias”を軽減する方法
人事評価は、報酬、昇進といったキャリアの重要な変数に影響を及ぼします。すなわち、そのような重要な評価が短期的な業務の良し悪しで決まってはなりません。
しかし、ときに評価には「印象評価」のような、直近の良し悪しによって左右されてしまう評価が往々にして存在します。
この、最近行ったことをより重要視して結論を出そうとするバイアスのことを、「Recency Bias(近接誤差、直近誤差)」といいます。
人事考課では、この傾向が、自分自身や同僚、直属の上司に対する評価を歪めてしまうのです。
性差や類似性バイアスほど頻繁に議論されませんが、Recency Biasは、多くのマネージャーが持つであろう無意識のバイアスの1つです。
本noteでは、評価においてRecency Biasに騙されず、評価対象期間全体を評価に反映させるための方法を4つに分けて紹介します。
1. 目標やコンピテンシーを考慮する
目標を設定することは、従業員のモチベーションを高め、自分がどのようにビジネスに貢献しているかを理解するのに役立ちます。
しかし、目標を持つことの本当の価値は、その達成期限を過ぎたところにあります。
人材管理プラットフォームを使用して目標を設定し、追跡すると、履歴記録が作成され、社員はレビュープロセスでそれを引用することができます。
「目標を参照しながら業績を評価する管理者は、従業員の仕事についてより深い洞察を得ることができる。目標が売上ベースか、プロジェクトベースか、効率ベースかは関係ない。」と、Eu NaturalのCEO、Vinay Amin氏は述べています。
マネージャーが部下を評価するとき、人事チームは、HRソフトウェアや、レビュー期間のOKRを印刷した資料などを使用して、過去の目標を参照しやすくすることができます。
「ポイントは、目に見えるものを用意することだ。これは、従業員の進捗を把握するのに役立つだけでなく、目標が評価期間全体に広がっているため、Recency Biasを減らすことにもつながる」と、Amin氏は述べています。
以上のように、アクションや成果を可視化することにより、Racency Biasは軽減できるのです。
2. ソフトウェアを用いてフィードバックを記録する
Recency Biasは、マネージャーの評価の際だけでなく、自己評価を書く際にもその正確性を低下させる要因となります。
自己評価の正確性を保つ対策として、メールやSlackメッセージなどのフィードバックを振り返ることは手段の1つとして挙げられますが、6カ月分のメッセージを振り返るのは膨大な時間を要します。
したがって、より重要なフィードバックをTrelloボードやGoogleドキュメントに保存しておくことで、振り返りに用いる時間消費を抑えることができます。
以上のような解決策に加えて、弊社が運営するサービス「Co:TEAM」でもフィードバックの蓄積から簡単に評価への活用が可能です、、!
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3.評価レビューの頻度を増やす
Recency Biasは、記録管理だけでなく、そもそもレビューの仕方を再考することによって軽減することが可能です。
どんなに優秀であっても、どのような予防策を講じたとしても、年に一度、従業員や管理職に過去12ヶ月の記憶を呼び起こすよう求めるのは、どんな予防策であれ、トラブルの元となりえます。
そこで、中間評価の頻度を増やすことにより、
ピープルマネジメントサービス「Lattice」のレポート・顧客データによると、企業は1年ごとのレビューを1回で終わらせることを避けつつあり、年1回のレビューを実施しているのは3分の1に過ぎないとのこと。
残りの3分の2は、半期または四半期ごとのレビューにすることで、成果を振り返り、実行可能でタイムリーなアドバイスを提供することが容易になります。
昇給や昇進のタイミングに合わせて一次レビューを実施することにこだわっている場合は、パフォーマンスに関する1on1をカジュアルに行うことにより、レビューの頻度を増やさずともRecency Biasを軽減することができます。
4. ピアレビュー・360度評価をプロセスの一部に取り入れる
評価の時期になると、マネージャー、とりわけ大規模なチームを率いるマネージャーは、ちょっとした手助けを必要とします。
そこで、評価対象者の同僚からのフィードバックをレビューに取り入れることで、従業員のパフォーマンスをより包括的に把握することができます。
例えば、直属の部下が、その年の初めに、マネジャーが関与していないプロジェクトを率いて素晴らしい仕事をしたことがあるかもしれません。また、同僚がサポートコールでクライアントを助けるために、それ以上のことをしたのを見たかもしれません。
マネージャーがこうした事例をすべて見たり思い出したりすることは現実的ではありませんが、同僚からのフィードバックがそのギャップを埋めることができます。
チーム横断的なフィードバックを活用するメリットは他にもあります。
ハーバード・ビジネス・レビューによると、1対1のつながりを育み、エンゲージメントのスコアを向上させることもできることが言われています。
フィードバックを通じて、同僚を助けたいと心から思えば、レビューサイクルであれ、日常であれ、全員の職場体験が向上するのです。
まとめ
人事評価は、フィードバックを伝える機会であり、かつ部下の成長の要素となる重要な場面です。
しかし、適切なチェックが行われないと、直近の業績や無意識の偏見によってレビューが歪められてしまう可能性があります。
部下の成長に寄与し、”成果を出す人事”のための一助となれば幸いです!
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