ベトナム国内労働市場の動向㉓変化と今後の展望2024年10月〜地方から都市への移動、副業対応、そして海外市場への戦略的対応

ベトナム国内労働市場の変化と今後の展望2024年10月【1,904字】

　近年、ベトナムの労働市場は急速に変化しており、特に地方部から都市部への労働者の移動が顕著になっています。

　また、国内のデジタル化の進展に伴い、副業（サイドビジネス）がブームとなっており、企業や政策担当者はこの動向に適応するための戦略を模索しています。

　さらに、ベトナム国外の労働市場、特に日本や韓国を含む外国での労働機会についても、重要な要素として今後の展望を見据えた対応が求められます。

1. 地方から都市への労働移動の背景と対応策

労働力の集中と都市部の需要

　ベトナムでは、2023年時点で労働力人口が52.4百万人に達し、そのうち62.7%が地方部に集中しています。

　一方で、都市部の製造業、技術産業、サービス業は労働力の需要が増加しており、特に半導体やデジタル技術の分野での人材不足が深刻です。

　これらは、地方部から都市部への労働者移動が加速しており、企業は地方部からの人材確保のために、宿泊施設の提供や賃金の引き上げ、教育・訓練プログラムの整備を進めています。

数値的な背景


　2023年のベトナムの失業率は約2.3%で低水準を維持しているものの、地方部から都市部への労働者移動が急速に進む中で、若年層（15-24歳）の失業率は7.99%に達しています。

　特に都市部では10.18%と高い数値を記録しており、スキルのミスマッチや雇用機会の不均衡が課題となっています。

　この状況下で、地方部から移動してくる労働者への再訓練やスキルアップ支援が不可欠です。

また、ベトナム政府は、技術者の育成や労働者のスキル向上に力を入れており、特に半導体産業や環境関連の技術者を2030年までに5万人育成する計画を立てています。

　しかし、現時点では必要なスキルを持つ労働者が不足しており、企業は外部からの人材確保や人材育成に注力しています。

政策担当者への提案


　政策担当者は、都市部への過度な人口集中を防ぎつつ、地方部での雇用創出を支援する政策を強化する必要があります。

　特に、地方部での中小企業支援や新たなインフラ整備、技術教育の推進が重要です。

　また、地方の労働者が都市部で円滑に適応できるよう、再訓練プログラムを充実させ、労働者のスキル向上を図ることが求められます。

2. 副業ブームへの企業の対応

副業の広がりとデジタル経済の進展


　ベトナムでは、都市部の若年層やミドルクラスの労働者の間で副業が急速に拡大しています。

　オンライン販売やフリーランス業務、YouTubeやTikTokを利用したコンテンツ制作など、デジタルプラットフォームを活用した副業が主流です。

　この動向は、収入多様化の必要性や柔軟な働き方の普及が背景にあります。

企業への影響と対応策


　副業ブームは、企業にとって従業員の生産性に影響を及ぼす可能性がありますが、柔軟な働き方を認めることは、企業の競争力向上にもつながります。

　企業は従業員の副業を許容しつつ、労働時間管理や業務効率化を図るための適切なガイドラインを策定すべきです。

　また、副業を支援することで、労働者のスキルアップやキャリア開発を促進し、企業にとっても利益をもたらす可能性があります。

政策対応の必要性


　政府は、副業に対する法的枠組みを整備し、副業収入の税制や労働規制の適用を明確にする必要があります。

　特に、フリーランスやオンラインビジネスの労働者が法的に保護され、収入が適切に申告される仕組みを整えることが求められます。

3. ベトナム国外への労働市場の展望

海外労働市場の動向とチャンス


　ベトナム国外への労働者派遣は、特に日本や韓国の市場で引き続き需要が高い状況です。

　日本では介護や建設業での労働力不足が深刻化しており、ベトナムからの技能実習生や特定技能労働者が重要な役割を果たしています。

　これに加えて、欧米市場におけるベトナム人技術者の需要も増加しており、特に半導体産業やデジタル分野での需要が高まっています。

企業と政府の対応策


　ベトナム国内での労働力不足に対応するため、政府は国内での技術者育成に力を入れつつ、海外市場での労働機会を戦略的に活用することが求められます。

　特に、言語教育や文化的な適応訓練を強化し、ベトナムの労働者が海外で競争力を発揮できる環境をより強化、整備する必要があります。

まとめ

　ベトナム国内の労働市場は、地方部から都市部への移動、副業ブーム、海外労働市場の需要という3つの主要な要素で大きく変化しています。

　企業や政策担当者は、労働者のスキルアップや移動支援、副業に対する柔軟な対応を進めるとともに、海外市場でのベトナム人労働者の競争力向上を目指す必要があります。

　これらの施策が大きく動き出すと、国内外の労働市場での持続可能な成長を実現するための土台を築くことができると思います。

　今後もベトナム政府の動向に着目していきたいです。

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