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笑いはエネルギーを生む


「母の介護から想いだすこと」の続きです。

母の介護をしていた時は、毎日朝と夕方、ヘルパーさんが来てくださいました。毎日誰かが来て世話をしてくれることは有難いことだと母は思っていたようで、ヘルパーさんたちにお礼を言いながら交流を楽しんでいました。


私がヘルパーさんたちにお願いしたことは「一日に一回は母を笑わせてください」と言うことでした。キッチンにいる私に、母とヘルパーさんの笑い声が聞こえてきたときには、私も満たされた気持ちになりました。笑い声は何かの扉を開く力がありますよね。


ヘルパーさんたちにしてみれば、「母を笑わせてください」などと言われ、当惑したかもしれませんが、毎日のように笑い声が聞こえてきましたので
大丈夫だったと思います。ヘルパーさんたちは皆上手くこなしてくれました。みなさんに感謝していますよ。とにかく、明るくて楽しい介護をしようと考えていたのです。


笑って、微笑んで、明るい気持ちで過ごすことは、一日をベッドで過ごす母にとっては大切なことで、笑いは健康の推進力にもなります。私は自分でも母を笑わせたり、笑顔でいるように努めましたが、それは私にとってもすごく良いことであったと、今、わかるのです。ヘルパーさんたちにとってもそれは同じであったと思われますね。介護にはいろいろなやり方がありますが、笑顔で笑いながら誰かのお世話をするのは、双方にとって好ましいことでしょう。


母は高齢でしたが、幸いなことにボケてはいません。病気にはまったく縁がなく風邪も引かない人で、薬とは無縁でした。ただ膝のことで月一で整形外科に通っていて、それが医療機関との唯一の接点でした。介護でヘルパーさんたちのお世話になってから、医療に従事する方たちと深い付き合いが始まりました。


あるとき、母の足の踵にできた1センチ足らずの小さな靴擦れのような水ぶくれに気が付いたヘルパーさんが「これは床ずれですよ」と言われました。小さいうちに気づいたおかげで、先生の指示通りの処置でじきに完治しました。


私には「床ずれ」という言葉さえよくわかりません。ベッドの生活になって特定の位置に体重の負荷がかかったのでしょうが、母は踵に力が入ったようです。このことで私のヘルパーさんを見る目が変わりました。信頼です。さすがに医療従事者の方はすごいのです。


毎日朝と夕方、身体を拭き、着替えをします。一日に2回も着替えをするのは私の提案であり、ベッドでは運動不足になりますから、手を曲げたり伸ばしたり、腰を浮かせたり、脚を伸ばしたり曲げたりと、着替えは全身を動かさざるを得ませんし、そしてその時に、ヘルパーさんの全身のチェックが入ります。私は山のような洗濯物の担当でした。

笑いに支えられての介護は、笑いという追い風を受け、順風満帆の航海でした。笑いには、嵐や大波にも動じない何かがありましたね。笑いはガン治療にも効果があると聞いたことがあります。


今日の見出しは、ある年のお正月花で、緑色の菊がきれいでした。

お読みいただきありがとうございます。

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