旅にでたいオートバイ

年に一度の旅乗りを楽しみにしているララライダーの思い出話

旅にでたいオートバイ

年に一度の旅乗りを楽しみにしているララライダーの思い出話

最近の記事

ライダーあるある

銚子電鉄の外川駅の前にオートバイを停めると、見覚えのある2台のオートバイが目に留まった。 ツーリングのテンションそのままに「こんにちは!」と声をかけたのだが、 「あ、ああ。。。」と、予想に反して彼らの反応はちょっとお寒いものだった。 GSR400とNinjya250。銚子市内で対向車線から凄いテンションで手を振ってきた二人だ。 こちらもツーリングテンションで大きく手を振り返した。 その後、犬吠埼の白い灯台と青い海をみて、のどかに走る銚子電鉄の写真を取って、 あ~ ツーリング

    • ビラーゴしか勝たん!

      能登から関西への帰りのPAで、ソロの女性ライダーから写真を取ってほしいと声をかけられた。 小柄で年の頃は40代ぐらい。茶髪を1本に編んだ髪を肩から垂らしている。 彼女のオートバイは黒のビラーゴ。年式は古いはずなのにタンクやホイルはピカピカでとても大事に乗っている事がわかる。 「ゴツいサイドバックついてますね」 「これねー、よく一緒に走るハーレーのオジサマがくれたの」 白と黒の派手目の蛇革のような柄のサイドバッグが目を引いた。 「ビラーゴ きれいに乗ってますね。」 「私、チビだ

      • 私の翼

        20世紀の終わりごろ、まだIBM製だったThinkPadのCMが好きだった。 モデルで女優の“りょう”が出ていた。キャッチコピーは「大人の翼 ThinkPad」音楽は今でも大好きで聴いているドナルド・フェイゲンのI.G.Yだった。 PCの性能よりも、生活の中で使うことを押したCMで、最後にThinkPadの黒と、ポインティングデバイスの赤を印象的に使った衣装のりょうが出てきて“大人の翼 ThinkPad!”とキメるおしゃれな作品だった。 だがどう間違えたのか、最近までこのコピ

        • 笑顔のオーナーと偏屈な旅人

          海外のサイトであるせいか、某宿探しのサイトだとゲストハウスがよくヒットする。 北陸での宿泊もゲストハウスを選んだ。 今回は古民家とか町家のタイプではなく、本当に築30年ぐらいの普通の民家をリフォームした宿だった。 オーナーは何かと近づいてくるタイプの人で少し苦手だった。どうも旅人を構いたくて仕方がないと言う感じ。 外でタバコを吸っていればコーヒーを入れてくると言い(断った)、銭湯に行くといえばシャンプーと石鹸を持ってくる。(借りた)。オートバイのカバーを使うかと言うので素直に

          隣の芝はフカフカだったけど

          「世界中で売っているどんなバイクにも乗れるから」 というのが大型自動2輪の免許を取った理由の一つ。もう10年ちょっと前でとっくにおじさんになっていた頃だ。 現実的な話をすれば世界を回ってオートバイを乗り歩くなんてことはないしそんな夢もない。でも自分が納得できればいいじゃないか。 せっかくオートバイに出会ったんだから。 そんなこんなで免許を取ったはいいけれど、経済的事情というより家族の機嫌のせい(だと思ってる)で、さらに10年分ぐらいおじさんを積み重ねてから、やっとのことで、

          隣の芝はフカフカだったけど

          黒ちくわ 黒ちくわ 黒ちくわ

          道の駅 宮津は天橋立の近くにあって、天橋立そのものは見えるけど上から見えるわけではないので、有名なあの景色は見られないというちょっとイケズな場所。 京都の海というと関東勢にはピンとこないところがあるが美しい所だ。 早朝に出発してちょうど腹を空かしてたどり着いたので、なにかすぐに食べられるものを探しているとどうも“黒ちくわ“が有名だと言う。 ちくわか。できればもう少し腹にたまるものがいいなと思いながらも、名物と言われれば食べねばなるまい。 ちくわをかじるのなんて子供の頃以来だ

          黒ちくわ 黒ちくわ 黒ちくわ

          VTZの怖い思い出

          オートバイの免許を取って最初に買ったのは中古のVTZだった。 本当にオートバイの知識がなくて、ただメーターが教習車のVFRに似ているからと言うだけの理由だったのは恥ずかしい話だけれど、VTZ自体は良いバイクだと褒めてもらうことが多かった。 この頃はオートバイで旅だなんて考えはなくてツーリングに行った記憶もない。 鮮明に覚えているのは、薄いウインドブレーカーで高速に乗ったらバタつきがすごくて驚いたことと、“峠道”によく行ったことだ。 家から30分ぐらいの、貯水池の裏から上が

          雨宿りのアンパン

          遠くで雷の音がした。 重たい雲の下、シールドに雨粒を感じながら高山市から41号線を下がり、下呂温泉の看板が見えた頃にとうとう空が号泣し始めた。 せっかくの下呂温泉だが雨宿りできそうなところもわからないし、夜になる前に関西のアパートに着きたい。 走りながらカッパを着られそうなスペースを探していると、前に大きな橋が見えて、なんとかパンツまで濡らす前に橋の下に滑り込んだ。 橋の下には先客がいた。カワサキのゼファー。40代後半風の男性だった。 ヘルメットを脱ぐと、どちらからですか?

          給油キャップとコーヒーと民族大移動

          お盆の休みに出かけたのだから、おそらくその日の朝は萎えるほどは暑くなかったんだと思う。 海が見たいという、なんともおセンチメンタルな理由で何故か鹿島を目指して走った。 鹿島といえば茨城と千葉の境で関東の東の端だ。ある意味秘境。当然土地勘もないので地図でリサーチして道を調べ、あとはツーリングマップルを見ながら走った。。なんだか行きづらいところだなと思いながら走ったのを覚えている。 目的の鹿島神宮に着いてお参りし、門前でそばを食ってから浜に行って海を眺めた。なんか野良犬が多かった

          給油キャップとコーヒーと民族大移動

          そのベンチ

          どのベンチなのかというと、“あのベンチ“なのだそうだ。 近くに住んでいた頃はそんなに有名じゃなかったのに、SNSでバズって“映えスポット“と言われるようになってしまったそこは、琵琶湖に向かってただ木製のベンチがあるだけのところだ。 でもかえってそういうところがウケているんじゃないかな。 知らんけど。 そこに到着するとベンチ手前の未舗装のスペースに車とオートバイが数台停まっていた。一応ベンチに写り込まないようにみんな少し離れて停めている感じ。さすが日本人の気遣。 その近くに

          天邪鬼の巡礼

          旅なら数日かけてじっくり楽しみたいけれど、日帰りだったらそんなに遠くまで行きたくない。 そんな天邪鬼を満たす場所として目をつけたのが秩父札所34霊場だ。 これならば一度に3~4箇所ずつ回って数回に分けて楽しむことができそうだ。 本来ならしっかりと歩いて回り、それぞれでお経を唱えて(奉納して)行くものだそうで、事実、何度か現役のお坊さんと思しき人がお経を唱えているのに出会ったことがあった。そんなときはそっと後ろでお経が終わるまで(便乗して)合掌していた。 卸もその年は12年

          ありえな~い

          関西に単身赴任していたある年の春、福井の三方五湖のあたりを走っていた。 たまたま道の駅に寄っていたところに同じ町内の奥さんからLINEが入ってきた。 “😠え~❗️❓️ 体育祭に来ないなんてありえな~い!😠” 彼女は家族ぐるみで仲良くしてもらっているママ友で、とても朗らかで明るい素敵な女性だ。 今日は子どもたちの体育祭。しかしツーリングイベントと重なってしまい、参加費も払っていたためこちらに参加していた。 “今、福井の海岸沿いを気持ちよく走っております🏍️”と送ると、 “

          青春ラプソデイ。

          明石海峡大橋を越えて淡路島に入り、ひと休みした後はそのまま高速道路で淡路島を駆け抜けて徳島を一気に目指した。 徳島は学生の頃に初めて一人旅をした場所だ。 高校生だったあの夏休み、バイト代をはたいてフェリーで旅をした。 ネットもない時代、家にあった全国ロードマップの写真を頼りに鳴門へ行き、観潮船にのって渦潮を見に行った。 まだ鳴門大橋は工事中だった。 淡路島側からいよいよ鳴門大橋に入った。海を見下ろすと今日も潮が渦巻いていて、観潮船がみえる。 運転しながら肩のあたりに鳥肌が

          たかが橋というなかれ

          オートバイに乗っていてきれいな景色に出会ったことはいくらでもあったけれど、“圧倒された“ことは今までなかったと思う。 明石海峡大橋はそれぐらいインパクトがあった。 レインボーブリッジでさえオートバイでは走ったことがないけれど、イメージの中では “まあ あんな感じ?”って思っていた。 ところが。 実際に走ってみると “圧倒”された。というかやられた。 橋梁の高さ、ワイヤーの太さ、橋から見下ろす景色。上を見ても前を見ても、下の海や町並みを見ても、バックミラーで後ろを見ても、とに

          たかが橋というなかれ

          ねのW

          これもSSTRの途中の話(SSTRが何かは検索すれば出てくる) 松本から大町を抜けて白馬まできて道の駅に入った。 さて一服しようと喫煙場所に行くと、ICOSの試供イベントをやっていた。 といっても、45過ぎぐらいのニコニコした優しそうな男性が一人ポツンと立っていて喫煙者に声を書ける程度のもので、もちろん試し吸いもさせてくれる。 平日の午前、道の駅は人もそれほど多くなく、彼も暇そうにしていた。そこに入っていったものだから早速声をかけられた。 「こんちは。あーgloですか。今日

          “また会いましょう”

          たぶん現行車ではないがそれほど古くないオフ車が駐車場の端に停まっていた。 最近のSUVにありそうなカーキっぽい色とカモフラ柄が目を引いたのだが、もっと気になったのは横に立つライダーだった。 そのライダーは年配の男性だった。 「いい色ですね。」と声をかけると 「一番軽いやつって言ったらこれだって言うんで買ったんだよ。いま中古高いね。」 失礼ながら想像に反してしっかりとした声だった。年齢を伺うと86だと言う。 多分、周りからはそろそろ止めろと言われていてもおかしくはない齢。 自

          “また会いましょう”