【作家】三島由紀夫論が2度めの小林秀雄賞に。これは因縁?
第22回、今年の小林秀雄賞に、
平野啓一郎さんの
『三島由紀夫論』が決まった。
そう昨日のニュースで知りました。
うわ、これは前から読みたいと
思いつつ、まだ買っていなかった。
構想23年と書いてあるから、
きっとすごいんだろうなあ。
ところで、
第1回の小林秀雄賞でも
実は、橋本治の三島由紀夫論が
選ばれていたんですね。
『三島由紀夫とは
なにものだったのか?』。
こっちは読んでました。
橋本治の純文学論なら
面白いはずだから。
おそらくは、
三島由紀夫の短所も長所も
鋭く切り込んでくれるはずだから。
いや、実際、
冒頭は、
やや三島批判から始まり、
わたし的にはふむふむこの感じ、
と期待した通りで嬉しく、
次第に長所も広く描かれていく。
22年前の発売時も、
橋本治だから即買いしました。
大の三島好きの平野啓一郎には
三島由紀夫との距離感は
うまく出来ているだろうか?
ちょっとしたコラムならまだしも
長い長い書籍では、
ひたすら大絶賛になっていないか
心配で、本屋さんで見つけた時も
まだ目次や本文を
つまみ読みしながら、
まだ、今日まで買わずにいました。
といいますか、
そもそも話になりますが、
本当は、第三者が書いた
三島由紀夫論を
読むくらいなら、
その時間、本当の三島作品を
読んだほうがよくない?
第三者の論考を読む時間が
もったいなくない?
という気持ちがずっとありました。
それは、他の場合も同じで、
太宰治論を読むなら、
じかに太宰作品を読んで
自分の五感で味わいたいなあ、と。
それは、旅に行く時に、
前情報はあまり頭に入れずに
現地に飛び込む旅スタイルと
同じかもしれません。
行く前に沢山、現地情報を
本や雑誌、動画で
しっかり入れておきたい、
という気持ちも分かるのですが、
まあ、これは個人の好みの
違いですから、どっちでも
いいのですが、
読書では、やはり、
太宰治論や大江健三郎論に
時間はあまり取られたくない。
とはいえ、
それを書いてる人次第で
読みたくなる場合もありますが。
さて。
平野啓一郎さんは、
私はまだ即買いしない人なので、
また本屋さんに行って、
よくよく、今回の受賞作を
立ち読みしてこようと思います。
それに、
小林秀雄賞は、新潮社が主催。
平野啓一郎の三島論も、
新潮社から発売。同じ会社だ。
発売して何ヶ月して、
マーケットでやや落ち着いた頃に
売上をまた伸ばすために
賞をあげ、話題性を作るということも、
なきにしもあらず?ですから。
思えば、村上春樹論とか、
今まで余り読んでこなかった。
村上春樹くらい身近になると、
自分がよくわかってる、
いちいち第三者の他人に
その世界観や解釈を教わるように
なったら、おしまいだ、くらいの
矜持があるのかもしれません。
それにしても、三島由紀夫って
こんなに論じられるくらい、
解釈の懐が広くて幅があるんですね。
また10年くらいして、
また、三島由紀夫論が
小林秀雄賞になったら、
もはや三島由紀夫と小林秀雄は
因縁の関係?としか思えない。
でも、これには、ちょっとした
背景がありますよね。
太宰や漱石らは、昔から
論考の的になり、論評されてきましたが、
三島由紀夫は実はあまり論評されて
こなかった歴史があります。
自由に語れない空気があったんです。
死後しばらく、10年くらいは
三島をオープンな場所で語るのは
タブーな空気だったんです。
だから、死後、数十年になって
やっと色々と自由に語られるように
なってきた感もあるんです。
なにせ、自衛隊の総監の部屋で
切腹自殺、ですからね。
死後しばらくは三島を自由に
語れなかったという。
そう聞いた時はビックリでした。
今じゃこんなに論評されているのに。
さて、まずは平野啓一郎さんの
三島由紀夫論、立ち読みに
行ってきま〜す。