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【読書】書評集は怖い怖い、笑。そして、難解さについて。

書評集というのは、
悪魔の申し子かもしれない。

基本的には
本に関するコラムが好きなので、
書評や書評集は読むのは大好きです。

ただ、書評集には、
恐ろしい付加価値が付いてます。
そのコラムが良いなら、
そのコラムが勧めてる本を
やはり読みたくなる、
買いたくなるんです。

つまり、書評集を読む時は、
つい、財布の紐がゆるみます。
だから、書評集を読んでる最中は
財布の紐をきつくしばらねば。

とか言ってますが、
やっぱり、書評がよければ
実物の書籍を買ってしまいますね。
ああ、お金がたまらないわけだ〜(汗)。

さて。
今週、中公文庫から、
書評集が出ました。
「文庫で読む100年の文学」。
2ページずつ、約100作品もの
本が解説されています。

ヘミングウェイ、 
ウィリア厶・フォークナー、
ジェイムズ・ジョイス、
バルガリ・リョサ、
ヴァージニア・ウルフ、
クッツェー、
チャペック、
ヘルマン・ヘッセ、
レマルク、  
ナボコフ、などなど。

下手したら、ここに出てくる
100作品を全て、読みたくなるかも。
それは困りますね。

この中公文庫が
思い切った、良い本だなと思うのは、
海外の翻訳本が多いことです。
書評集って、ついつい、 
日本の本ばかり紹介しがち。
だから、この偏りはすごいです。

『文庫で読む100年の文学』
海外翻訳の紹介が、60冊。
日本文学の紹介は、40冊。

正直言って、この書評集を
読み終わるまでに、
何冊で、我慢できるかしら?
いや、惹かれたら、
もう抗わずに、  
本を買ってしまおうか(笑)。

中でも、私が特に気になったのは、
フォークナーについて語る
ページでした。

難解さとは何か?
フォークナー研究者は
難解さについて、こう語ってる。
「偉大な文学は明快な真実を
教えるのではなく、
混沌とした現実を突きつけること。
フォークナーの小説が
難解なのは現実が複雑であるからに
他ならない」。

彼の小説を2回3回読んでも
まだよくわからない人に
アドバイスを求められた
フォークナーはこう語っていたらしい。
「4回読んで下さい」。

これは簡単なジョークではない。
尊い真実かもしれません。

今どきの、わかりやすさ、
さっと読めるわかりやすさは
それはそれとして、
難解な小説を読むのも
たまには必要かもしれない。

もちろん、
書く側の人にとって、
難解さは、 
疎ましく不必要な厄介物でしか
ないかもしれませんが。

わかりやすさは
多様化を極める現実のごく一面を
さらりと切り取って、
読者に優しい本を書こう、伝えよう、
そう考えてしまうからですね。
でも、単純にしては表現できない、 
もっと現実のカオスを
スキャニングしようとしたら、 
「難解」にならざるを得ない。

私はマンガの編集者として
20年あまり働いていましたが、
その頃は、難解さは、 
徹底的に排除しようとしてきました。
それが間違いだったと、
今は、現役から離れてますが、
難解さの必要を、日々痛感しています。

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