【文学】文豪の未完の遺作を、ファンが引き継ぐのは、アリか?無しか?
太宰治の遺作「グッド・バイ」は
未完のまま。
伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』
(双葉文庫)。
これは、最初、編集者がやって来て、
太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」の
続きを書いてみませんか?と
云われたのがきっかけだったらしい。
と後書きで知り、少なからず動揺しました。
実は「グッド・バイ」の未完の続きを
書いてやる、と秘かに企んでいたから。
なあんだ、もう色んな人が
それを思い付いてるのかあ?
考えたら、そりゃそうですよね。
太宰治の全作品を読み込んで、
太宰ファンを落胆させずに
「グッド・バイ」の続編を書くなんて、
残りの人生全てをかけないと?!
夏目漱石『明暗』の未完の続きを
『続・明暗』として書いて、
デビューを果たした水村美苗さんがいる。
夏目漱石の続編となると、
プレッシャーも強かったでしょうけど、
やりのけた度胸はすごい。
大好きな作家の未完の遺作を
引き継ぐというのも、
本好き人間には、もしかしたら
禁断の喜びかもしれない。
リスペクトする余り、
畏怖し畏敬する気持ちが高いなら、
未完を引き継ぐなんて
烏滸がましいんじゃないか?という
方もきっと沢山いるでしょう。
手塚治虫先生の未完の遺作、
いくつかは別の漫画家が
続きを書いていますが、
あまり知られていない…。
内容が手塚治虫作品としては
厳しかったかな?
今なら人工知能に書いてもらう手も
ありますね?
ベートーベンの評伝
『ルートヴィヒ・B』や
ゲーテの名作に挑んだ
『ネオ・ファウスト』
また、日本商社マンの波乱万丈を描いた
『グリンゴ』の3つはどれも
本当に続きが読みたい作品でした。
また、時代小説家・隆慶一郎の未完
『死ぬことと見つけたり』も
名作『葉隠れ』の人物たちを描いて
続きが気になる作品でした。
自分が好きな作家の未完を
引き継ぐって、その作者自体を
研究しまくる必要もある。
想像力を広げる楽しみもありますね。
安部公房の『飛ぶ男』も
未完の遺作。
ただ、安部公房はあまりにシュールで
独創的すぎて、続きがなかなか
凡人の私には思い浮かびそうもない。
まあ、太宰だって手塚先生だって、
凡人の私には、荷が重いんですが、
作品を大抵、読んできたファンとして
未完の遺作は、ずっと気になってしまう。
畏敬の思いを抱きつつなら、
巨人たちの顔に泥を塗らずに
書けるのではないかしら?
いや、やはり凡人の私ごときが
太宰の遺作を引き継ぐなんて、
烏滸がましいかな?
うーん、悩みます~。
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