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【tiktok筒井康隆9万部重版】本の紹介記事で大切なのは何だろう?

tiktokで紹介された筒井康隆の
20数年前の実験的な小説
『残像に口紅を』(中公文庫)。

筒井康隆ファンなら、
何を今更騒いでるの?という位の
代表作品で、筒井ワールド全開の
奇妙な実験小説。

tiktokの投稿記事は、
歌うような紹介の仕方で、
20代前半のキリッとした
投稿者のバストアップ画面が続く。
時間は約30秒もなかった。

私なら一番先に書きたくなる
筒井康隆の作家性を知らない人にも
関心を引くような、
ミステリー小説みたいな謎めいた
引っ張り方でした。

この際、筒井康隆はどんな作家かは
要らないんだという鮮やかさ。

投稿者の語る中身紹介の台詞は、
裏表紙や巻末解説に
あちこち書いてあった気がする。
(笑)

言ってる内容は、
オビや裏表紙や巻末解説を読んだら、
誰でもすぐに書けそうな
薄い台詞ばかり。

あれで、文庫が重版8万5千部とは!? 
色々な偶然が重なったんでしょう。
それにしても、
約8万5千部重版とは、凄い。

軽快な歌みたいに、
今風なラップみたいに
語っていたのが新鮮でした。
しかも30秒もない時間で。

私がちゃんとした投稿を
見つけられていないからでしょうか?

本の紹介について、
大いに考えさせられますね。

作品に対して的を射た解説が
できているだろうか?
その作家の作品たちから見たら
定番か新鮮か実験的か?
……と言った「書評」的な
関心や縛りは全くない。

たくさん本を読み、
面白いよと歌にする、
画面の編集にはアニメ技術も
使われていて、
台詞も歌みたいに、
つい口ずさみやすい。

それで、紹介した本がバズって、
重版で何万部も追加!
って事態になったら、
著者、出版社、書店がみんな嬉しい。
誰もが得をしている。

ウジウジネチネチと
でも的を射た「書評」と、
どちらが良いんだろう?

音痴だし、動画編集など
できっこない私には、
tiktokで『残像に口紅を』を
バズらせた青年みたいなことは
逆立ちしてもできません。

それは十分わかった上で、
そんな本紹介に、
別の切り口と価値観で
しっかり対抗できる本の記事を
書いていく技術と覚悟を
見つけなければ、、、。

本の紹介記事は、
自己満でいいとすら
これまでは思ってきましたが、
(個人的には、もはや自分まで
作家気取りな書評タイプにだけは
なるまい、と思ってきましたが)
やはりその本を書いた人、
つまり作者や作家が喜んで
くれたり、書店が活況になるのが
一番理想かもしれません。

そこまでの影響力を持てるには
いくつもの山や壁があって、
大変そうだけど、 
でも、価値観をガラっと変えるなら
tiktokで、ラッパーみたいに
口ずさむ本の紹介投稿、
アリですよね。

ああ、憎むべくは、
リズム感全くなく、
大の音痴で、活字文化のため
むしろ音楽を憎んで生きてきたこと。

地道な文字の記事で
あれに対抗できるような
才能を是が非でも、
身に付くよう、日夜
努力するのが私には一番早いかな?
(笑)

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