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文章のみがき方

図書館の岩波新書の置いてある書架で一冊の本に目が止まった。
「文章のみがき方」著者は、天声人語を一時期担当されていた辰濃和男氏。

私自身、いつも直観に任せてなりゆきな感じでブログを書くことが多く、書くこと、表現することでエネルギーを得ることに重点を置いているため、文章の出来上がりという要素においてはなおざりになっている。

そういう意味では、改めて頷かされたりすることが多々ある反面、誤字・脱字・推敲の必要性等という点は頭が痛い部分もあった。

本書は、辰濃和男氏が作家も含めさまざまな方々の文章論や作品から書き抜いた内容がまとめられており、その中からいくつか紹介したい。
あの人のようないい文章を書きたいという路線ではなく、この世で自分の日常を誠実に表現することで、そこにかけがえのないオリジナリティーなものが醸し出されるのではないかと思う。

・小さな発見を重ねる
「どんな小さなことでもいい。毎日何かしら発見をし、「へえ、なるほどなあ」と感心をして面白がって働くと、努力も楽しみのほうに組み込むことが出来るように思う」(向田邦子)

「文章のみがき方」より一部抜粋

私もブログ、俳句、写真に共通するのは、まさに日常の中に落ちている、出会った小さな発見を表現したいという楽しさがあり、そこに豊かさがあり、エネルギーが生まれてくるように思う。



・肩の力を抜く
作家、宇野千代もまた、文章を気楽に書きはじめることをすすめています。
実に懇切な言葉で、こう書いています。
①毎日、机の前に座る。座る、という姿勢があなたを規制します。
②なんでもいいから、書く。間違っても「巧いことを書いてやろう」「人の度肝を抜くようなことを書いてやろう」などと思ってはいけない。
③最小限の単純な言葉で、あなたの目に見えたこと、あなたの耳に聞こえたこと、あなたの心に浮かんだことを書く。素直に、単純に、そのままを書く。

「文章のみがき方」より一部抜粋

宇野千代氏のこの文章は、もう流石としか言いようがないくらい練れている。
ハウツーというよりもただ座るという姿勢から生まれてくるものを待つという姿勢は、野口整体における身体が動いてくるのを待つという姿勢とも重なる。
なかなかこのような形では文章が毎日生まれてはこないが、同じ机に座ると確かに書きたいことが湧いてくることが多いので頷くばかりである。



・書きたいことを書く
手紙でもいい、日記でもいい、書いて、言葉が止まらなくなるときは、ためらうことなく、書きつくすことです。だれかに見せる場合でも、見せない場合でも、書いて書いて書きなぐることです。

「文章のみがき方」より一部抜粋

これはネイタルチャート3室という書く、表現、学ぶ部屋に太陽と水星がある私においては、書きたい、伝えたいという衝動的なエネルギーがある。
それは、他者からの評価(月星座の関与が大きい)を気にすることなく、自分の太陽の衝動を発揮し続けたいという純粋な欲求である。



・借りものではない言葉で書く
①自分にしか書けないことを
②自分の感覚、心でとらえ
③借りものでない自分の言葉で
④だれにもわかる文章で書く
そのためには、まず、身近な人、自分がいちばん興味をもっていることなどを書くことで習練を積む。

「文章のみがき方」より一部抜粋

ネイタルチャートの5室という家庭、遊びの部屋で蟹座金星があり、身近な暮らしの中で豊かさ、楽しさを味わいたいという要素が強い。
そして3室水星十60度のサポートする関係にあるので、日常的なことを表現して発信する感じである。
また、アセンダントが水瓶座であることで、反骨精神が強く、正直にありのままに語るというのが基本スタンスであるので、この感覚も頷くばかりである。



・具体性を大切にして書く
些細なこと、微小なことをいい加減にするなと作家、竹西寛子は書いています。具体的なことをしかと見つめ、感じ、ゆるがせにするな、そういう確かなことの積み重ねこそが大切なのだ。その積み重ねが土台になって、はじめて一つの抽象が説得力をもつのだ。そういう教えです。

「文章のみがき方」より一部抜粋

私自身、一般論、抽象的なレベルの表現で終わるのはいつも避けたいと心掛けている。
誰かの文章を引用する場合でも、そこに必ず自分の身近な事例等をからめるよう意識している。
というのも具体的な事例を通して、はじめてそこに含まれる普遍的な要素が伝わっていくと思うからで、上記の内容にもとても共感できた。


最近は岩波新書はあまり読まないが、こうして書架をめぐり、背表紙を流し見する中で出会う本は、まさにタロットとも通じるものがあるように思う。
図書館の書架をゆっくりと本を探し、本と出合う喜びは私においてはかけがえのないものである。


長い文章になりました。
最後までお読みいただきありがとうございます。




紅葉且つ散る足音に振り返る

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