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【映画】ネタバレあり。デ・パルマ監督のエロチック・サスペンス・スリラー「殺しのドレス」

『殺しのドレス』(ころしのドレス、原題: Dressed to Kill)は、1980年に公開されたアメリカ合衆国のホラー映画、サスペンス映画。

本作は、ホラーとエロスをテーマに扱っている。

そして、この映画は監督のブライアン・デ・パルマが、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画『サイコ』に影響を受けて製作されたと言われている。

原題の『Dressed to kill』は、「魅力に溢れ、とても素敵な女性が男性を悩殺するような服装をしている」という意味の表現であった。

その、ストーリー とは、以下の通り。

ケイトは夫であるマイクとの性生活に不満を抱えていた。彼女は精神分析医であるエリオットのカウンセリングを受けた帰りに美術館である男性と出会い、情事に走ってしまうこととなる。

しかし、その後、彼女は建物内のエレベーターで何者かによって刃物で襲撃され、命を奪われてしまう。たまたまそれを目撃した娼婦リズは、ケイトの息子ピーターと協力して事件の謎を追い求めることになったのだ。

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✅16歳で観た官能サスペンス・スリラー

高校1年の時、学校をサボって友人と飯田橋の佳作座でこの映画を観ましたた。千葉県からチャリンコでですよ。いったい何キロあったのか。夏で汗だくでしたよ。まぁ、そんなことはどーでもいいか。

 ブライアン・デ・パルマ監督の異色の才能と、サスペンス、スリラーに特化した官能的ホラー要素が強調されていて、非常に魅力的でした。

 もうこの作品の魅力は皆さんがたくさん語っているみたいですね。

 私はとにかく美術館でのシーンが一番印象的でしたね。セリフのない長いシーンの心理劇は本当に圧倒的な迫力がありました。

 そして、エレベーターでの売春婦ナンシー・アレンの超スローモーションと超クローズアップも絶好という感じでしたね。見ているだけで息をするのを忘れるくらいでした。ハラハラドキドキの連続です。

 見どころを挙げるならば、その他にもデ・パルマ監督が好む映画の技法がたくさん盛り込まれています。こんなマニアックなこだわりを持った映画製作者は今はもう存在しないのでしょうかね? 

 本作品で、彼の目標としていたヒッチコックの「サイコ」まんまっていう描写もオマージュとしてありました。偏執狂的な官能サスペンスとでも言うのかな。。。。

 エロティック・サスペンスとしてはかなりドギツめですが、それがまた面白さにつながっています。感傷的な要素はほとんどありませんが、真剣に純粋なミステリーとしての魅力に拍手を送りたいです。

 ただし、注意点としては冒頭がかなり過激なシーンとなっているため、家族団欒で見ることはおすすめできませんね〜。かなりエグいAVビデオみたい。夜中に暗い部屋で一人静かに没頭するための映画ですね。

 さて、今度はDVDや配信でおさらいしてみました。
10代で観るのとは、また異なる感想になりました。

✅ネタバレあり。キャスト・スタッフは「サイコ」×ブライアン・デ・パルマの異色サスペンス

 注目すべき点は、ヒッチコックの映像手法を多く取り入れ、映画の中で有名なシャワー・ルームでの殺人を伏線として用いていることです。冒頭では官能的な主婦ケイトがシャワー・ルームで襲われるシーンが描かれ、そしてラストでは娼婦リズがシャワー・ルームからでてきた直後に首を切られる夢のシーンがあります。

 これによって、殺人が起こる予感が高まり、観客自身も襲われてしまうかもしれない恐怖を想像することができるのです。さらに、探偵役も面白くて魅力的。被害者ケイト・ミラーの息子ピーターと、偶然殺人現場を目撃してしまった娼婦リズのコンビは、若者らしい推理力で鮮やかな活躍を見せます。

 官能的なシーンと異色のコンビによる推理劇は、本作の見どころのひとつとなっています。 そして忘れてはならないのは、犯人が女装癖を持った男性であることです!

 ヒッチコックの名作「サイコ」でも、女装癖を持つ男性がサイコ・キラーとして描かれましたよね。本作でも「サイコ」の持つ魔力がしっかりと受け継がれており、「サイコ」ファンにとってもたまらない作品に仕上がっています。

✅マイケル・ケインの名演技で魅せる、2重人格者の恐怖。

 今や完全に、「サイコ・キラー」の犯罪は珍しくなくなっていますが、再び映画で見ると、やはり恐怖が植え付けられます。

 犯人の巧妙さ、周囲が気付かないうちに忍び寄る陰など、ホラー映画と同じかそれ以上のスリルがあります。

 また、マイケル・ケインの演技も見事で、途中まで本当に騙されてしまいます。 精神科医エリオットのオフィスに残された留守番電話には、エリオットの顧客を名乗るボビーから、「先生のカミソリを借りたよ。先生は僕を治してくれない・・」というメッセージがありました。まるで殺人告白のような内容かつ罠です。

 こうして、エリオット医師は一人で二役を演じていたのです。冷静で患者思いの医師から、女装癖のある残忍なサイコ・キラーへと変貌していくのです。 執拗に娼婦リズを殺そうとするシーンも必見です。何の怪しい雰囲気もなく、サイコ・キラーに変わった時の存在感がなんとも不気味極まりない。

 マイケル・ケインの今作の役柄や展開は、非常に衝撃的でしたね。二重人格の男という複雑な役ですが、すぐに彼の魅力に引き込まれてしまい、最後まで彼が犯人だとは思いませんでした。

 彼の正体を知り得た上で再度観ると、それまでのあらゆる行動や言動が、逐一怪しく感じられてしまい、また観てみたくなることでしょう。
デ・パルマ監督の最高傑作の一つだということに尽きますね。


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