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【読書】田中康夫「なんとなく、クリスタル」ブランドに汚染された女子大生の日常と、少子高齢化を予測した賛否両論の問題作

みなさん、わたしのnoteをご覧いただきまして、ありがとうございます😀

自分は志望大学に全落ちして、仕方なく滑り止めの大学へ入学しました。
全部に落ちていれば、浪人も考えたのですが、その大学は当時、学費が40万くらい。国公立並みに安い。(今は120万くらいになっています)
決して裕福ではない家庭ですから「仮面浪人」も視野に入れつつ、とりあえず大学生になってみることに。

バブル下、ドン底の落ちこぼれ・・・

就職は出来ても、恋愛が出来ない・・・・


しょーもない大学だけど、働くよりはマシだ。くらいに考えていました。

バブル期でしたから、就職に困るようなことはなく、なんとかなるだろう、と楽観視していたのです。

何しろ大学への進学率は、25%程度。うち、5%は夜学や通信制。
学士号さえあれば、何100社でも余裕で採用される時代でしたからね。

氷河期世代やZ世代の方々には申し訳ないですが、リクルートからの情報によれば、一人の大学生に対して、数1000社レベルでお声がかかっていたことは本当のこと。

それだけ、就活は完全な売り手市場で、就活自体、マトモにする人は余りいませんでした。

面接に行けば、企業の人事から大接待を受けて、お金までもらえるような時代。風俗に連れていくようなバカげた会社もありました。
今の日本ではとても、考えられませんよね。

とは言うものの、一流企業や上場企業には確固たる学歴フィルターが存在していますから、自分のような低偏差値大学生は、身の丈に合った中小・零細企業への道しかありませんでした。

これに関しては、今と変わらないことなのです。

大学へ入ってまず思ったことは。

1) 思っていたほどバカはいない。

2) 付属から来た人や推薦入学はイマイチ。受験して入った人は高校の偏差値が高い。概ね、60以上でしたかね。(受験倍率は4倍でした)

3) 勉強の出来ない富裕層の倅が多い。

4) 地方から来た人はなんか地味。訛りがすごい、聞き取れない。

5) 女子がほとんどいない

6) 浪人生が約半数。

7) 非モテや素人童貞が多い

そのようなことから、自分を含めてだいたいの同級生はこう考えていました。

1) 合コンやサークルは無理。相手にされない、諦めよう。

2) 彼女を作るのも、結婚も諦めよう。

3) ブラック企業への就職は覚悟しよう。

今の若い世代が「草食化」とか「気合が足りない」など、いろいろとオジサン世代に揶揄されているのと同じく、自分たちも、上の世代からは、

「3無世代」「シラケ世代」「無気力世代」などなど、様々な言葉で、見下されていました。

「自分が若いころにはこうだった、ああだった」

「戦争を体験した人間は根性があった」

などと毎度説教されていたので、

「うるせー、クソジジイ、お前らのせいだぞ。さっさとくたばれよ!」と反発していましたね。

そう言っていたバブル世代が今の若い人たちをバッシングしている。

なんとも見苦しい限り。

歴史は繰り返すです。

また、流行語には「マル金、マルビ」というのもあって、大学生の中でも、貧富の差があり、金持ちの道楽息子のような大学生は、
車を乗り回して、スキーやサーフィン、テニスやゴルフをするのが鉄板で、ブランドものを見せびらかして、合コンでお持ち帰りする富裕層の男女が、マル金と呼ばれていました。

自分はもちろん、マルビのほうでした。

お金がなくて、デートすらできなかったぼくたちと、リッチな大学生たちの光と影


女友達はいても「お金」がなくてデートが出来ない。
友達以上には発展しない。

女友達は、お金持ちの一流大学生や、社会人男性と付き合っている。
それが現実。

昔も今も変わりません・・・・・

そのころ、こんな本が話題になっていました。
未読の方はぜひ、どうぞ。

「なんとなく、クリスタル」

Amazon.co.jp: なんとなく、クリスタル (新潮文庫) : 田中 康夫: 本

なんとなく、クリスタル』は、田中康夫1980年に発表した小説である。日本におけるポストモダン文学の嚆矢(こうし)とされる。1980年の第17回文藝賞受賞作品で、1981年に第84回芥川賞の候補になった。略称は「なんクリ」。 2014年に続編の『33年後のなんとなく、クリスタル』が発表されて以降は、ロバート・キャンベルの命名により、それぞれを「もとクリ」「いまクリ」と呼び分けている。単行本は河出書房新社から1981年に刊行され、以後文庫本も含め複数回出版されている(書誌情報を参照)。

概要

発表当時一橋大学法学部4年生であった田中のデビュー作である。売り上げは100万部を超え、田中の著書の中でも最大発行部数となっている。

東京に暮らす女子大生ファッションモデルの主人公・由利の生活を中心に、1980年当時の流行や風俗を独自の視点と文体で描いた。東京で生まれ育った比較的裕福な若者しか理解できないブランドレストラン、学校や地名などの固有名詞がちりばめられており、それぞれに田中の視点を基にした丁寧な442個もの註・分析が入っており、註の多さとその分析が話題になった。作品の最後には人口問題審議会の「出生力動向に関する特別委員会報告」と「昭和54年度厚生行政年次報告書(昭和55年度版厚生白書)」から抜粋の、少子高齢化を示唆するデータも記されていた。注釈に関しては田中は新潮文庫版のあとがきにてあくまで理解を手助けするために付けたものであると語っている。注釈は第2作『ブリリアントな午後』を含め、田中の後の小説(後述の続編を除く)には引き継がれず、本作(およびその続編)のみのものとなっている。ただし初期の作品集『ぼくたちの時代』には注釈が付された随筆や手記も収められている。

当時は「ブランド小説」と呼ばれ、本作にちなんで女子大生は一時期「クリスタル族」とも呼ばれた。その独特の文体から当時のいわゆる文壇関係者の間では賛否両論が渦巻いた。江藤淳が激賞し、その後のバブル景気におけるブランドブームを先取りした小説として評されることが多い一方で、田中は後の著書において「頭の空っぽな女子大生がブランド物をたくさんぶら下げて歩いている小説」「みずみずしい心が描けていない」との評価が下されることが多かったとたびたび記している。また『新・文芸時評 読まずに語る』にて「注釈ばかり取り上げられ、小説のラストと最後に記された出生率のデータを結び付けて論じた評論家は皆無だった」と述べている。田中は後述の続編刊行時のインタビューで、このデータ(高齢化率も含む)を掲載した意図について「出生率が低下し、高齢化が進行するデータを見て、大学生の僕は思ったんです。日本は、右肩上がりという言葉で捉えられる社会ではなくなるかもしれない、と」とコメントした。

映画化

題名の『なんとなく、クリスタル』は流行語となり、映画化にあたり各映画会社の争奪戦となったが、松竹がニューシネマ第一作として、新感覚で映画化すると熱意を見せ映画化権を獲得し、1981年に松竹で制作された。

あらすじ

両親がシドニー勤務で不在のため、女子大生の由利は青山の高級マンションで淳一と同棲していた。由利はファッションモデルのバイトをしていて、毎月四十万円の収入(1981年当時の大卒初任給は10万円そこそこ)があった。淳一も大学生だがプロのミュージシャンとして活躍しており、ツアーで全国を飛び回っている。由利はディスコで正隆という男と知り合い関係を持つが、淳一のときのような快感を得ることができなかった。淳一がツアーから帰ってきて数日後に、シドニーの両親から「もうすぐ帰国する」という手紙が届いた。


作者・田中康夫について Wikipediaより抜粋して引用。

反小泉・竹中

小泉純一郎竹中平蔵の打ち出したアメリカ的な経済政策を導入する新自由主義経済路線を弱肉強食だと強く批判し、最下層の幸せを確保する最小不幸社会を主張している。小泉の路線と自らの改革とは、車座集会とタウンミーティングその他や就任当時の高支持率など類似性が多いと『サンデープロジェクト』など政治番組で問われた場面もあったが、その際には小泉路線はまやかしであると答えた。その後も小泉路線を「なんちゃって小泉・竹中へなちょこ構造改革」と表現している。

経済への考え方

サッチャーの様に利権にまみれた旧体制を壊した後に、ブレアの様にクリーンで公正な社会を再構築する、という両方の役割を一人でこなす政治家だと自負している様に、イギリスの(市場原理を積極的に取り入れつつも福祉を重視する)第三の道に考え方が近い。さらにハイエクケインズの融合を目指しているほか、新党日本のマニフェストではベーシックインカムの導入も掲げている。

執筆活動

第17回文藝賞受賞作品となり、「社会現象」とまでいわれたデビュー作『なんとなく、クリスタル』は、『純文学』的なものを良しとする風潮がまだまだ強かった文学界やマスコミを中心に賛否両論を巻き起こした。

『なんとなく、クリスタル』の脚注に対しての「作者の批評精神あらわれ」(江藤淳)との評をはじめ「現代における“古典”といった趣き」(川村湊)、「80年代以降の都市風俗に取材した稀有な記録文学の書き手」(斎藤美奈子)、「近代文学における保守本流の批判的継承者」(佐藤清文)などの肯定的な評価もあるが、「作家ギルド」的な集まりに生きる昔ながらの文芸評論家や旧来の文学界の人間からは否定的に評価されるか、黙殺されるかであった。


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